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ラッパウニの生態や毒性、刺された時の対処法について

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ラッパウニを見たことがありますか?

主に暖かい海に住んでいますので、沖縄近辺には普通にいるそうです。

房総半島あたりでも、たまに見られるそうですので、近くにお住いの方は海で見られるかも?

ただしこのラッパウニ、毒をもっていますので、要注意です!

今回は、ラッパウニの生態や毒性、刺された時の対処法についてご紹介させていただきます。

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ラッパウニってどんな生き物?

ラッパウニ

ラッパウニ 出典:wikimedia

ラッパウニは、ホンウニ目サンショウウニ亜目ラッパウニ科に属する生き物です。

 

暖かい海に生息し、国内では相模湾以南に見られます。

基本的には潮が引いても海水が残っている場所(潮間帯)や、潮が引いても海水に浸っている場所(潮下帯)に生息しています。

岩の上にへばりつくように生息していますが、身を隠すために貝殻などをくっつけている場合があります。

 

大きさは、せいぜい10センチ程度です。

海の中で見たときに叉棘が開いていると、もう一回り大きく見えます。

叉棘を閉じるとまるで石ころみたいに見えるので、敵に襲われないようにしているのでしょう。

 

 

ウニの仲間は、大きく分けると「棘皮動物」というグループに属します。

「ヒトデ」や「ナマコ」が親戚になります。

特徴は、すべて石灰質の「棘」をもっていることと、この棘から「管足」と呼ばれる管が無数に伸びるのが特徴です。

 

管足は、移動・餌を食べる・呼吸など様々な役割をもちます。

みなさんがご存知のウニは、たくさん棘がありますが、海の中で静かに置いておくと、その棘の1つ1つから、管足を出して、呼吸したり移動します。

ラッパウニは、なんとその棘が他のウニより短いのですが、2~3本がセットで間に膜が張り、まるで小さな「ラッパ」のような形に見えるのです。

そして、その叉棘から無数の管足が出ますが、とても長く、管足の先端には吸盤があるので、貝殻などを引き寄せたり、海藻を体につけたりしてカムフラージュします。

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毒がある? 食べられない?

ラッパウニは、『叉棘」と呼ばれる棘をたくさん持っていますが、この棘に毒があります。

刺す、というよりは、叉棘が内側に曲がっているので、「噛みつく」というイメージの方が正しいようです。

 

タイプ的には神経毒なので、瞬間的にはかゆみしびれを感じるくらいですが、人によっては何の症状も出ないこともあります。

しかし、量が多かったり毒に弱い体質だと、しびれが麻痺に変わり、動機息切れなど重症化します。

国内ではダイバーがおぼれて死亡する事故も起きているので、決して素手で触ってはいけません。

 

このラッパウニ、毒にさえ気を付ければ、中身は他のウニと同様ですので、食べることはできるそうです。

 

毒のあるウニの仲間は?

有名なのが、「ガンガゼ」です。

ガンガゼについてはこちらを参考に。

ガンガゼの生態や毒性、刺された時の症状や治療法について

 

ムラサキウニと見た目が良く似ていますが、棘に毒があるので注意が必要ですし、被害が多いそうです。

ムラサキウニよりも、なんか棘がやたら長いなぁ? と言う場合はガンガゼかもしれません。

 

日本には、実は100種類以上のウニがいますが、その中で毒が少なく普通に食べられているのは「バフンウニ」「ムラサキウニ」「エゾバフンウニ」「キタムラサキウニ」の4種類です。

もし海にもぐってウニを見かけても、「バフンウニ」か「ムラサキウニ」ではない場合は、毒に注意、です。

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刺された時の対処法

もしラッパウニに刺されてしまった時は、下記のように対処しましょう。

 

1、刺された部分に残っている叉棘はできるだけ取り除きましょう。

この時、なるべく素手では触らないようにしましょう。

 

2、40~45℃くらいのお湯に30分ほど患部つけ、毒を不活性化させる。

やけどに注意し、入浴の際より少し熱めのお湯を目安とするとよいでしょう。

ラッパウニの毒は、タンパク質であるため、熱によって変性し、不活化するため、痛みを和らげることができるのです。

 

3、体の麻痺や動機、息切れを感じる際は、病院を受診し手当てを受けることが大切です。

体質によっては重症化する恐れもありますので、何らかの症状が出た場合は自己判断せず病院へ行きましょう。

また、痛みが長引く場合も病院を受診するようにしましょう。

 

ウニの雑学あれこれ

ラッパウニ

ラッパウニ 出典:http://opencage.info

日本は、ウニの消費量が世界で一番多い国だそうです。

我々日本人が愛してやまないウニ。

ここで、ウニに関する雑学をいくつかご紹介します。

 

ウニの仲間は比較的行動に発達した体をしている

たとえば、イカやタコのような動物は軟体動物といいます。

これらの動物は、口があり、胃などの消化管はありますが、なんと「肛門」がありません。

正確には、肛門として独立した器官が無く、口と兼ねているのです。

したがって、餌を食べると胃で消化してまた口から出すしかないのです。

 

棘皮動物の仲間は、管足にある口→胃→腸(直腸)→肛門と一通りそろっているので、実は軟体動物よりは進化していると言えるのです。

驚きですね。

しかも、精巣や卵巣まであり、とても美味しい場所です。

そしてそれらを守るために体の外側に「石灰質」の骨を進化させています。

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ウニに、頭や脳はありません

頭や脳は?

残念ながらありません。

そもそも、脳をもっているのは「脊椎動物」くらいです。

その他にも昆虫の仲間が「梯子型神経系」をもち、脳の代わりをしていますが、実は脳などの中枢神経を持たない動物の方が多いのです。

目もなく、鼻もなく、海中ですので耳も必要ありません。

 

エサは海藻などを好んで食べますが、海藻が少ない暖かい海では、プランクトンやその死骸、魚などの死骸をはじめ海中の有機物を管足で吸い取って食べます。

動き回ってエサを探す必要が無いので、感覚器官があまり発達していません。だから、頭も脳もいらないのです。

 

なんと寿命は200歳!?

ウニの仲間は、あまりエネルギーを海中で使わないので基本、長生きします。

種や環境にもよりますが、アメリカに生息する赤ウニには最大で200年以上も生きるそうです。

また、100歳くらいでも生殖能力が失われていない事も分かったそうです。

すごくたくましい生物ですね。

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基本的に五角形

ウニをはじめ棘皮動物の仲間は、基本的に正五角形です。

ヒトデを考えてもらえばわかりやすいですね。

 

ウニがそんな風には見えない? 棘を除いて裏側にある「口」の部分を見ると良くわかります。

きれいに五角形に分かれています。

 

ラッパウニも同様で、死んだ殻を見ると、きれいに五角形の模様がついているのがわかります。

ラッパウニが生育する海岸では、五角形に模様のついた10cmくらいの殻を拾えます。

海に行ったら探してみてください。

 

まとめ

ラッパウニは暖かい海に生息していて、叉棘に毒を持ちます。

体質によっては、麻痺や呼吸困難などの重症例を起こすので注意が必要な生き物です。

 

今回は、ラッパウニの話から、ウニの色々なミニ知識まで書いてみました。

暑い夏、岩場のある海で泳ぐときには、海の中の生き物を探してみてください。

とても多くの生き物が工夫しながら暮らしていますし、静かに覗いてみると、ラッパウニのように変わった生き物の姿を目にできます。

ただし、毒には注意、ですよ。

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