お寿司のネタでお馴染のシャコ。
柔らかくあっさりした味でお好きな方も多いと思います。
シャコにはたくさんの種類がいますが、暖かい地域に生息するシャコなどは見た目も派手なため観賞用としても親しまれています。
その中でもモンハナシャコは人気のシャコですが、モンハナシャコは強力なパンチ力を持っているということも有名です。
そのパンチが、時には人間に危険を及ぼすこともあるのです。
今回は、モンハナシャコの驚異のパンチ力と視力、生態や危険性についてご紹介させていただきます。
モンハナシャコの生態
学名 | Odontodactylus scyllarus |
英名 | Peacock mantis shrimp |
分類 | シャコ目ハナシャコ科ハナシャコ属 |
分布・生息域 | 相模湾以南 |
大きさ | 約15cmほど |
モンハナシャコはシャコ目ハナシャコ科に属するシャコで、東南アジアやインド洋、台湾などの浅い海のサンゴ礁や砂底に巣穴を掘って生息しています。
日本では相模湾より南の海域に生息しています。
人気漫画のテラフォーマーズにも登場した生き物なので、それで知ったという方も多いのではないでしょうか?
モンハナシャコの体長は約15cmで、体色は青、青緑、赤など様々で、体の下側は赤色をしています。
尾扇の縁も赤色、眼は青色と非常に色鮮やかな体の持ち主で、見ていてとても美しいです。
その体に円形のような斑紋が網目状にあり、それがモンハナシャコの名前の由来となったようです。
寿命は、飼育時・野生下ともに4~6年ほどです。
食性は肉食で、魚や甲殻類、貝類などさまざまなものを捕食します。
モンハナシャコは、捕脚肢といわれる前脚を高速で打ち出して相手を攻撃します。
これがいわゆるシャコパンチで、非常に強力なため蟹の甲羅や貝の殻などは簡単に砕けてしまいます。
このパンチは獲物を捕食するだけではなく、モンハナシャコ同士の縄張り争いの際にも使われます。
ちなみに産卵期、数万個の卵を抱えているメスは、このときばかりはパンチはしないそうです。
無防備になって卵が危険にさらされるため、孵化までのおよそ1ヶ月間は静かに卵を守っているのです。
見た目から特徴まで、非常に興味深い生き物ですね。
モンハナシャコの眼は世界一
モンハナシャコの眼は非常に優れており、世界一視力の良い生物とされています。
モンハナシャコには、人間の10倍である10万ほどの色を識別できるという特徴があります。
人間では確認できない、紫外線や赤外線も見ることができるそうです。
視界も広く、眼を360°動かすことができるため、獲物の追跡や外敵の発見に役立っています。
また、他のどんな生物でも見ることのできない“円偏光”というものを見ることができます。
円偏光とは、簡単に言うとらせん状に回転しながら振動する光のことで、円偏光が見えることにより、モンハナシャコは一つの景色からたくさんの情報を得ることができると言われています。
円偏光の見える生物はモンハナシャコを含むシャコの数種だけらしく、科学者の間では通信システムや映像機器などへの応用も期待されているそうです。
モンハナシャコの強力パンチ
さて、モンハナシャコの強力なパンチは、当然人間に対しても繰り出されます。
モンハナシャコは非常に凶暴な性格で、敵や獲物と見なした場合、普段は胸の下に折り畳まれている捕脚肢を勢いよく打ち出してきます。
そのパンチは時速80kmに達し、プロボクサーのパンチの約2倍と言われています。
他に例えるならば銃弾の初速並みのスピード、このとてつもないスピードで水中にキャビテーション気泡が生じるほどです。
一瞬にして捕脚肢の周りの水は沸騰状態になるということですね。
そんな強力なパンチを受けたらひとたまりもないですよね。
観賞用としても人気のモンハナシャコですが、そのパンチでガラス製の水槽が割れてしまうこともあるようです。
もしこのパンチを人間が受けてしまったら、いったいどうなってしまうのでしょうか。
モンハナシャコパンチの動画はこちら↓
モンハナシャコはサンゴ礁や砂底に生息しているため、ダイビングなどで巣穴から顔を覗かせている姿を見ることができます。
しかし、凶暴な性格であるとともに臆病でもあるので、通常はダイバーの姿を見るとさっと巣穴の奥に隠れてしまいます。
慣れているダイバーであれば、不用意に手を出してはいけないと分かっているでしょう。
しかし、良く知らずに興味本位で無理に近づいて触ろうとすると、たちまち強力なパンチを受けてしまいます。
もしその時素手で掴もうとしていたならば、簡単に爪を割られてしまうので危険です。
また、指を骨折したという例もあるようです。
観賞用で飼う際にも注意が必要ですね。
モンハナシャコは、強力なパンチだけではなく体に棘もたくさんあるので、市場で指を怪我することもあるようです。
中には、指を引きちぎられてしまったという報告もあるそうです。
とにかく、モンハナシャコは素手では触らない、ということが鉄則です。
もしモンハナシャコのパンチを受けて怪我をしてしまったら、すぐに傷口を真水で洗い消毒し止血してください。
爪を割られてしまったら、化膿してしまうこともあるのでしっかり処置をしましょう。
万が一骨折の恐れなどがある場合には、当然ながら病院を受診しましょう。
天敵はいる?
かなり優秀な能力を持つモンハナシャコは生態系において上位にいます。
ですが、ゴマモンガラなどの大型魚やタコに捕食されてしまうこともあるようです。
また、モンハナシャコ同士の縄張り争いで死んでしまう例もあるみたいです。
まとめ
鮮やかな見た目と世界一の視力など不思議な特徴を持つモンハナシャコ、知れば知るほど魅力的な生き物ですね。
とはいえ、人間の爪を割り骨折の恐れもあるくらい強力なパンチ力を兼ね備えています。
海でモンハナシャコを見かけても、その美しい姿を眺める程度にしておきたいですね。