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アンボイナガイ(イモガイ)の生態や毒性、刺された時の応急処置について

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海には多く毒性生物が存在します。

その中でも非常に致死率の高い毒を持つ、アンボイナガイという巻貝がこの日本に生息しています。

アンボイナガイの貝殻はとても美しく、見かけたらつい手にとってしまいそうなほどです。

しかし、うっかり手にとったら刺される危険性があります。

人を殺すほどの毒を持つ巻貝、アンボイナガイとは一体どのような生物なのでしょうか。

今回は、アンボイナガイ(イモガイ)の生態や毒性、刺された時の応急処置についてご紹介させていただきます。

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アンボイナガイの生態

アンボイナガイ

出典:wordpress

まずはアンボイナガイの生態についてご説明します。

 

アンボイナガイはイモガイ科の仲間で、殻の大きさが8~13cm程度とイモガイ類では大型の部類に入ります。

イモガイ類には貝殻の形が円錐形のものが多く、見た目が里芋に似ていることから“イモガイ”と言われるようになりました。

 

イモガイ類は貝殻が美しいことで有名で、コレクターの中では高値で取引されることも多いようです。

アンボイナガイの貝殻の模様は個体によってさまざまですが、まだら模様だったり三角形の白斑点のような模様があったり、はたまた幾何学模様だったりとそれぞれ独特の模様があります。

貝殻の色は明灰色や黄褐色、赤褐色をしています。

 

もし海に行った際に見つけたら珍しさでつい手に取ってしまいそうですが、イモガイ類は毒を持っており、その中でもアンボイナガイは最強の毒を持つと言われているのです。

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アンボイナガイの生息地は?

アンボイナガイはインド太平洋の熱帯域に生息しており、日本では紀伊半島以南に分布しているとされ、沖縄県の海では比較的よく見かけます。

沖縄県ではアンボイナガイのことを“ハマナカー”と呼んでおり、これは刺されると、手当てをする前に“浜の半ば”で死んでしまうということからきています。

ちなみに、アンボイナガイの由来は、インドネシアのアンボンという都市の近海で多産されるためと言われています。

 

さて、アンボイナガイは浅瀬のサンゴ礁などにいるため、比較的容易に見つけだすことができます。

しかし彼らは夜行性であるため、昼間は岩陰などに潜んでいることが多いです。

そして夜になると活発になる獲物を探し始めます。

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アンボイナガイの歯舌歯

アンボイナガイの吻には歯舌歯と呼ばれる器官があり、これによって獲物となる小魚をとらえます。

歯舌歯は銛のような形をしているのですが、先端には刺した後に抜けないように”かえし”が付いています。

また、これには毒があるので、銛で獲物を突き刺し毒を注入させることで獲物を麻痺させることができるのです。

毒は、小魚であれば即死するほど強力なものです。

アンボイナガイが小魚を食べる動画がこちら↓

歯舌歯は獲物をとらえるときだけではなく、外敵に対しても発射されます。

人間に対してももちろん、危険を察知した瞬間に刺してくることがあるのです。

 

アンボイナガイの毒性

それでは、アンボイナガイの毒性についてみていきましょう。

 

アンボイナガイの毒はコノトキシンという神経毒で、その毒の強さは世界に存在するどの毒ヘビよりも強く、世界最強と言われているインランドタイパンよりもおよそ2倍の強さを持っています。

 

アンボイナガイ

コノトキシンはイモガイ自身が作り出している多くのペプチドから構成される神経毒で、カルシウムチャネルを塞いで神経の伝達を阻害します。

カルシウムチャネルは痛覚の伝達にも関わっているため、コノトキシンは鎮痛剤として大きく期待されており、特に末期がん患者の疼痛管理に利用しようと研究が進められています。

 

さて、そんな作用もあり、アンボイナガイに刺された直後はあまり痛みを感じません。

しかし、数十分後には、患部の痛みや腫れ眩暈や痺れ発熱といった症状があらわれます。

重症の際は、血圧低下視力低下全身麻痺呼吸困難を起こし最悪の場合死亡します。

 

アンボイナガイに刺されたことによる致死率は6~7割と言われており、早ければ刺されて数時間で死に至る可能性があります。

海中で刺された場合は、麻痺症状により溺死するケースもあるので注意が必要です。

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刺された場合の応急処置

では次に、アンボイナガイに刺された場合の応急処置についてご説明します。

 

もし刺されてしまったら、

1、まずは陸に上がり、周りの人に助けを求めましょう。

 

2、そして、患部からできるだけ毒を絞り出してください。

 

3、次に、患部より心臓に近い部分をタオルなどで強く縛り、毒が早く回るのを防ぎましょう。

 

4、そのあとは一刻も早く病院を受診してください。

 

アンボイナガイの毒は非常に強力であり、あっという間に重症化してしまうことが多いので、すぐにでも病院で処置してもらう必要があります。

とはいえ、現時点でコノトキシンに対する血清はありません。

病院へ行っても有効な治療はできず、毒が体内から消えるまで生命維持対応を続けるしかないようです。

ただ、症状のピークは刺されてから5~6時間後で、12時間以上経過して毒が完全に消えてしまえば後遺症はほとんど出ないと言われています。

 

とにかく死なないためには、早めに病院で処置してもらうしかないのです。

 

まとめ

アンボイナガイは、イモガイ科の貝で非常に強力な神経毒を持っています。

もし刺された場合は、毒を吸い出し患部より心臓側を縛り急いで病院へ行きましょう。

 

アンボイナガイによる死傷事故は日本でも多く、特に鹿児島県や沖縄県で事故が多いようです。

これまでに少なくとも30人以上のダイバーが刺されたことにより亡くなっています。

溺死した人の中にも、アンボイナガイに刺されたことが原因の方もいるかもしれません。

 

死傷事故はダイビングや漁以外に、磯遊びや潮干狩りといった場合でも起きています。

浅瀬にいるため、子どもが手に取る機会も多いので注意しましょう。

アンボイナガイに刺されないためには、まずは見つけても触らないことです。

毒を持つと知らないで、きれいな貝だと触ってしまう人も多いでしょう。

毒性生物をすべて覚えるのは難しいと思うので、海へ行った際は、とにかく見慣れない生物は触らないと頭に叩き込んでいきましょう。

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