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ヒョウモンダコの生態や毒性、噛まれた時の応急処置について

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近年、本来は日本ではほとんど生息していないとされていたタコの目撃情報が増えてきています。

そのタコの名前はヒョウモンダコ。

フグと同じ猛毒のテトロドトキシンを持つ危険なタコです。

2009年頃から九州地方を始め中国地方や四国などで発見され、最近では関東でもよく見つかるようになってきました。

日本人にはまだあまり馴染みのないヒョウモンダコ。

今回は、ヒョウモンダコの生態や毒性、噛まれた時の応急処置についてについてご説明します。

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ヒョウモンダコの生態

ヒョウモンダコ

出典:webhitode.com

ヒョウモンダコは、マダコ科ヒョウモンダコ属に属している、体長10~15cm程度の小型のタコです。

 

体色は薄黄色っぽい目立たない色をしていますが、危険を感じたり興奮したりすると体色が明るいオレンジ色に変化し、さらに体に鮮やかな青色のリング状や線状の紋様があらわれます。

これを警告色と言いますが、この紋様が豹柄に似ていることからヒョウモンダコと名付けられました。

 

ちなみに、外見は同じヒョウモンダコ属のオオマルモンダコにそっくりです。

ヒョウモンダコの胴体部分は線状の模様であるのに対し、オオマルモンダコは胴体部分もリング状という点で見分けることができます。

 

ヒョウモンダコ 出典:webhitode.com  オオマルモンダコ 出典:wikimedia

 

どちらのタコも危険を感じた際に警告色を発することに変わりなく、これは自分たちには毒があるぞということを外敵に知らせる威嚇の行動です。

彼らの体表には青っぽい色素胞の入った袋状の構造があり、その袋を筋肉で開閉させることにより色が変化すると言われています。

 

ヒョウモンダコのその他の特徴として体色をすばやく変えて擬態する能力があり、普段はさまざまなものに擬態しています。

岩や海藻の枯れ枝、エビなどに擬態することにより身を守っているのです。

 

このような特徴から、ヒョウモンダコは観賞用としても人気のようです。

しかし、性格はとても凶暴で、興味本位で触ろうとすると噛まれる可能性があります。

テトロドトキシンを持っているため、噛まれたら大変危険ですので、もし飼育する場合も眺めているだけにしてあまり刺激しないようにしましょう。

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ヒョウモンダコの生息地、日本を北上中!?

ヒョウモンダコは熱帯性のタコで、昔は小笠原諸島やオーストラリアにかけての暖かい海域に生息していました。

それが冒頭でも述べたとおり、近年は九州北部、三重、千葉などで相次いで発見されています。

そして太平洋岸だけでなく、鳥取県など日本海側でも目撃されています。

 

原因としては温暖化による海水温の上昇で、関東近辺の海でも越冬できる環境になったということのようです。

今のところ東北地方ではまだ確認されていないようですが、暖流に乗って北上しているとみられ、現在の生息地は房総半島以南と言って良いでしょう。

 

ヒョウモンダコは比較的浅い海の岩礁やサンゴ礁に潜んでいます。

これから先、温暖化が進めばさらに北上する可能性もありますので、海で遊ぶ際に派手な模様のタコを見かけた場合は決して触らないようにしましょう。

 

ヒョウモンダコの毒性

ヒョウモンダコ

出典:flickr

さて、それではヒョウモンダコの毒性についてご説明します。

 

テトロドトキシン

ヒョウモンダコの唾液には、フグ毒と同じテトロドトキシンという猛毒が含まれており、その強さは青酸カリのおよそ1000倍です。

噛まれたらもちろん毒が体内に注入されますが、威嚇のために唾液を吐くこともありますので注意しなければなりません。

 

テトロドトキシンは神経毒であるため、噛まれたら数分後に顔や首に痺れめまいを感じ、次第に呼吸困難嘔吐言語障害といった症状があらわれます。

麻痺は全身に広がっていき、ひどい場合には噛まれてから15分で呼吸麻痺状態になります。

最悪の場合、90分後には死に至ることもあります。

 

ヒョウモンダコに噛まれたときにすぐ対処できれば良いのですが、噛まれた時点で痛みを感じることが少なく気づかない場合が多いです。

そのため急に中毒症状があらわれる形になるため、何が起こったのか分からず対処に困り症状が進んでしまう可能性があります。

 

現時点では日本での死亡例は報告されていませんが、オーストラリアでは死亡例があります。

テトロドトキシンは口からの摂取よりも噛まれた時のほうが進行が早いため、できるだけ早く処置をする必要があるのです。

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ハパロトキシン

ヒョウモンダコの唾液に含まれる毒は主にテトロドトキシンですが、他にもハパロトキシンという毒やセロトニン、ヒスタミン、ドーパミンといった化合物も含まれていると言われています。

ハパロトキシンは餌となる甲殻類を見つけた際に海中に放出して、甲殻類を徐々に麻痺させるために使用するようです。

 

ただ、現時点でこのハパロトキシンという物質は確認されておらず、本当に存在するものなのか立証できていません。

まだまだ私たち人間が知らない物質というものはたくさんあるのかもしれませんね。

いずれにしてもヒョウモンダコは猛毒をもつ限り、人間にとっても脅威の存在です。

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噛まれた時の応急処置

もしヒョウモンダコに噛まれてしまったら、応急処置としてまず、

1、噛まれた部位より心臓に近いほうを縛り、毒が全身に回るのを防ぎましょう。

 

2、そして患部を水で洗い流しながら毒をできるだけ絞り出します。

この際、口で吸引するとテトロドトキシンが口から体内に入ってしまうので絶対にやめましょう。

 

3、そして一刻も早く病院へ行ってください。

時間との勝負なので、症状がひどい場合は迷わず救急車を呼びましょう。

次第に呼吸不全になることが多いので、その場合病院では気管内挿管をして人工呼吸を行うなど呼吸管理をする必要があります。

 

まれにヒョウモンダコの噛み傷が浅く毒が注入されないこともあります。

それでも何が起こるか分からないので、念のため病院を受診し様子を見ましょう。

 

テトロドトキシンに対する解毒剤や有効な治療法はまだありません。

噛まれた時点で可能な限り毒を絞り出し、早めに病院で処置をすることが何より大切なのです。

 

まとめ

ヒョウモンダコは10cm程の小さなタコですが、猛毒のテトロドトキシンをもつ危険なタコです。

もしヒョウモンダコに噛まれたら、患部より心臓に近いほうを縛り、急いで病院へ行きましょう。

もともとは、沖縄などの温かい海に生息していましたが、近年では九州の北部や千葉県でも発見されています。

海水浴など、浅瀬で遊ぶ際には特に子どもたちには見慣れないタコを見ても触らないように言い聞かせましょう。

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