巨大ヘビとして有名なニシキヘビとアナコンダ。
特にアミメニシキヘビは世界最長なうえに人を襲うことが多いとして恐れられています。
しかし、そんなアミメニシキヘビよりもずっしりと太く重たいのはアナコンダです。
南米アマゾンに生息するアナコンダは、その迫力もあって日米共同制作の映画にもなったほどです。
今回は、このアナコンダの生態や危険性について詳しくみていきたいと思います。
アナコンダとは
アナコンダは、有鱗目ヘビ亜目ボア科アナコンダ属に属するヘビの総称で、世界最大種のオオアナコンダや少し小型のキイロアナコンダなどが挙げられます。
一般的に、アナコンダと言うとオオアナコンダを指します。
同じく最大種と言われるニシキヘビ科のアミメニシキヘビとは、科が違うものの非常に近い系統であると言われています。
“アナコンダ”は、南インド地方のタミル語で“ゾウの殺戮者”という意味で、もともとはインドニシキヘビに付けられた名と言われています。
昔南米に入植したスペイン人などは、“Matatora(ウシ殺し)”などと呼んでいたとも言われています。
アナコンダの特徴、最大サイズは?
それでは、アナコンダの特徴についてみていきましょう。
まず、オオアナコンダの体色は暗茶色または褐色でやや緑がかっています。
背中には2列に並ぶ楕円形の斑点があり、さらに体の両側には小さな白色斑点も並んでいます。
この斑点模様は個体によって異なりますが、その体色はジャングルで身を隠す保護色の役割を果たしています。
オオアナコンダは胴周りが太くずっしりとしていますが、頭部は比較的細くなっています。
また、眼と鼻が頭の上の方についており、水中にもぐって身を隠しながら獲物を待ち構えるのに適しています。
鼻が水の侵入を防ぐ遮蔽盾で覆われているのも特徴の一つです。
アナコンダの体長は性別によって異なり、一般的にメスのほうがオスよりもはるかに大きくなります。
これまで体長は、学術的には最大9mと言われていました。
しかし、2016年にブラジルのダム工事現場において体長10m体重400kgもの個体が発見されました。
残念ながら、この巨大アナコンダは撮影している時点で死亡してしまっています。
記録に残るほどの巨大アナコンダも、人間の環境破壊の犠牲となってしまったのは悲しいですね。
現地では、10mを軽く超えるアナコンダを見たという目撃情報も多数あり、実際にはどこまで大きな個体がいるのか分かっていません。
性格は獰猛!?
オオアナコンダは非常に獰猛な性格であり、日本においては危険な動物で飼育に許可が必要とされる特定動物に指定されています。
一方、キイロアナコンダも気性の荒い性格をしていますが、今のところ特定動物には指定されていません。
キイロアナコンダの特徴はオオアナコンダとほぼ同じで、体色は名前の通り黄褐色地に黒い斑点模様が広がり、体長は最大でも3mと言われています。
3mとはいえ、ヘビの中では十分大きいです。
キイロアナコンダは、特定動物に指定されていないヘビの中ではもしかしたら一番危険なヘビかもしれませんね。
アナコンダの生態
さて、ここからはアナコンダとはオオアナコンダを指すものとしてご説明していきます。
アナコンダの主な生息地は、南アメリカ北部のアマゾン川流域やオリノコ川河口にあるトリニダード島の南部湿地帯です。
国で言えばコロンビア、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、ブラジル、トリニダード・トハゴなどです。
アナコンダは乾燥に弱く水生で、水辺を中心に生活しています。
夜行性のため、日中は日差しを避けて淀んだ水中に潜っていたり、川辺にある木の枝に体を巻きつかせて休んでいたりします。
一日のほとんどを水の中で過ごしますが、川辺で日光浴をする姿も目撃されているようです。
アナコンダは基本的に単独で生活しますが、たまに数匹の群れを作ることもあるようです。
巨大なヘビが群れている光景は、考えただけでも恐ろしく足がすくんでしまいそうですね。
アナコンダの食性は肉食で、魚類から哺乳類までなんでも襲います。
しかし、大型ゆえ小さな獲物ではお腹を満たすことはできないため、中型以上の獲物を狙う傾向があります。
大きなワニや牛、ジャガーなどを襲っているところも目撃されています。
基本的には水中で頭だけ出して獲物を待ち構え、近づいてきたところを襲います。
毒は保有していないため、狩りの時は長い体を獲物に巻きつけて絞め殺すという方法をとります。
死んだ獲物は丸のみするため、大きな獲物であればあるほど飲み込むのに時間がかかります。
そのため、飲み込むのが難しい場合は諦めたり途中で吐き戻したりすることがあります。
飲み込んでいる最中は無防備な状態であり、他の肉食動物に襲われる危険性があるためです。
また、大型の獲物の場合襲っている途中で反撃されることもあり、返り討ちにあって捕食されてしまうこともあります。
ワニのような凶暴な動物を狙う場合は、まさに命がけと言って良いでしょう。
繁殖形態と共食い
アナコンダの繁殖形態は卵胎生で、約7カ月間の妊娠期間を経て20~80匹の幼体を産み落とします。
アナコンダの属するボア科のヘビはほとんどが卵胎生で、近縁とされるニシキヘビ科は卵生になります。
アナコンダの繁殖において驚くべきことは、アナコンダには共食いの習性があり、交尾の後メスは一回り体の小さいオスを絞め殺して食べてしまうことです。
詳しい原因は分かっていないものの、メスは妊娠中食べ物を口にしないにも関わらず子どもの成長に体重の約30%が使われるため、重要なタンパク源としてオスを捕食しているのではないかと考えられています。
交尾後にオスを捕食する行動はカマキリなど昆虫の世界にあるのは有名ですが、ヘビにも同じ行動が見られるとは驚きですね。
子どもを育て上げるためにやむを得ないこととはいえ、オスにとっては切ない最後なのかもしれません。
アナコンダは人を襲う?
なんでも食べるアナコンダですが、人間を捕食することはほとんどないと言われています。
どちらかといえば、現地ではアナコンダはウシやブタといった家畜を狙う厄介者という印象のほうが強いようです。
映画ではアナコンダは人を襲うという設定が多い気もしますが、現実において巨大ヘビで人を食べる危険性が高いのは、圧倒的にアミメニシキヘビと言えるでしょう。
しかし、アナコンダに捕食された例が全くないわけでもないですし、捕食されずとも襲われたという報告はそれなりに多いようです。
また、人が食べられたという話は語り継がれるためアナコンダに対する恐怖心も強く、現地ではアナコンダを見つけ次第捕獲したり殺したりもするようです。
さらに、アナコンダの皮はハンドバッグや靴といった皮製品にも利用されるため、ハンティングの対象にもなっています。
年間で捕獲する個体数は決められているものの、アナコンダの生息数を心配する声も上がっています。
まとめ
アナコンダ(オオアナコンダ)は、南米に生息する最大体長10m体重400kgにもなる大型のヘビです。
毒はありませんが、獲物に巨大な体を巻き付けて絞め殺すという狩りを行います。
積極的に人間を捕食することは無いようですが危険であることに変わりはなく、日本では特定動物に指定されています。
日本でも上野動物園などで飼育されていますので、興味のある方はぜひ見に行ってください。