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危険なクモ

セアカゴケグモの生態や毒性、噛まれた時の症状や治療、駆除方法について

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日本で毒グモと言えば、まずその名が上がるのが「セアカゴケグモ」です。

外来種であるセアカゴケグモが、1990年代に日本で発見された際には、連日テレビで大きく取り上げられました。

そんな影響からも、その名を記憶している方も多くいるのではないでしょうか。

しかしこのセアカゴケグモ、今ではどうなっているんでしょう?

発見から20年以上経った現在、セアカゴケグモは日本ですっかり定着し、その生息地をどんどん広げているんです。

今回は、セアカゴケグモの生態や毒性、噛まれた時の症状や治療、駆除方法についてご紹介させていただきます。

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外来種のセアカゴケクモ、どうして日本に?

セアカゴケグモ

出典:opencage.info

セアカゴケグモは、クモ目ヒメグモ科ゴケグモ属に分類されるクモです。

 

今ではすっかり日本各地に定着したセアカゴケグモですが、もともとはオーストラリアなど温暖な地域に生息している外来種のクモなのです。

セアカゴケグモは、1995年11月に日本で初めて大阪府高石市で発見されました。

その後も兵庫県神戸市の港湾都市でも相次いで発見され、岩手県から沖縄県まで発見報告がなされています。

2015年6月には、北海道の北見市内でも発見され、セアカゴケグモと確認されました。

本来は温暖な地域で生息しているクモですが、温暖化の影響なのか日本では極寒地である北海道にまで生息地を広げているのです。

 

外来種であるセアカゴケグモが日本で発見された原因としては、船舶などによる輸入品に紛れ込んでしまったことがあげられます。

定着する外来種生物に共通して言えることは、その適応力の強さです。

セアカゴケグモもそのひとつで、日本の気候に適応し越冬、繁殖に成功した結果、日本各地に生息地を広げることができたのです。

物流の便利さが、本来であればいないはずのものまで運んできてしまうのですから、人為的な恐ろしさを感じます。

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セアカゴケグモの特徴、毒はメスだけ

セアカゴケグモは、オスが体長3~5mm、メスが体長10~20mm程度の大きさです。

オスはメスに比べてかなり小さく細身で体色も薄め、背中に赤い模様は無く、茶色っぽい色をしています。

反対にメスは胴体部分が大きく体色は真っ黒、背中には鮮やかな赤い模様があるのが特徴で、オスメスともにお腹に赤い斑点があります。

背中が赤いのはメスだけ、そして毒を持っているのもメスだけです。

ですから、よく見るセアカゴケグモの写真はメスのものなんですね。

セアカゴケグモのオス   セアカゴケグモ

オス  出典:wikipedia        メス  出典:wikimedia

日本には他にも赤い色をしたクモはいるので、赤い背中=セアカゴケグモ、と断定はすることは難しいです。

それらしいクモを見つけた場合には、興味本位に近寄らないようにしましょう。

なんと言っても毒グモですからね。

 

繁殖と寿命

セアカゴケグモは、25~30日ごとに産卵します。

1回の産卵で8~12個ほどの卵のうを産卵して、約3000~5000程の卵を産むとされています。

卵は12~16日で孵り、卵から孵ったメスは、60~300日約4ヶ月で成熟します。

オスは約40~150日程度で成熟するので、天敵の少ない環境であればかなりの数で繁殖していることも考えられますね。

 

メスの寿命は、約2~3年、オスは約6~8ヶ月です。

交尾をすませた際に、オスはメスに食べられることが多いようです。

これも自然界では少なくありませんが、その寿命の長さの違いにちょっと気の毒な気もしますね。

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日本の生息地

それではセアカゴケグモはどのようなところに生息しているのでしょうか。

まず、2015年9月時点で41都道府県での存在が確認されていますが、発見されていないのは青森県、秋田県、山形県、長野県、富山県、長崎県です。

しかし、長崎県では同じく毒グモであるハイイロゴケグモは発見されています。

こんなに拡散したのは生息地域からの車や荷物に付着していたためと考えられるため、現時点で発見されていない県でもいないとは言い切れません。

 

どんな場所にいる?

セアカゴケグモ

出典:flickr

セアカゴケグモの主な生息場所についてですが、セアカゴケグモは住宅街や公園など、いたるところに生息しています。

多くのクモと同じように、セアカゴケグモも日陰に潜んでいると思いきや、実は日当たりの良い場所で生活しています。

もともとが温暖な地域の生き物ですから、暖かい場所を好むのでしょう。

 

報告されている発見場所は、住宅街であれば

・植木鉢やプランターの裏側、使用していない自転車等、エアコン室外機の裏、外に置きっぱなしのサンダル、自動車のタイヤ周辺

 

公園などの屋外では、

・遊具の裏や階段部分、ベンチの裏、ブロックやフェンスの隙間、排水溝の側面やふたの裏側、、自動販売機の底、低木の下

など私たちの身近でも生息しています。

 

 

オーストラリアでは、家に入ってくることもあるそうですが、日本ではまだその報告はなされていないようです。

しかし、意外と身近に潜んでいるので注意は必要ですね。

 

セアカゴケグモが人を咬む時期は6月~10月が多く、活動するのに最適な温度は25度前後と言われています。

冬になると活動が弱まってきますが、室外機の裏など暖かい場所に潜んでいる場合は越冬することもあるので油断はできません。

 

セアカゴケグモの巣

セアカゴケグモの巣

出典:wikipedia

セアカゴケグモはクモの巣を作りますが、それは私たちが一般的に認識しているクモの巣とはちょっと異なります。

というのも、円形や多角形のように張られたクモの巣ではなく、立体的な袋状のような形なのです。

そしてその中で卵を産み孵化させるのです。

比較的に地面に近いところ、日当たりがよく水はけのよいところを好んで巣を作ります。

もしも、そんな形の巣を見つけらセアカゴケグモのメスが潜んでいる可能性大なので気をつけなければいけませんね。

セアカゴケグモの巣

セアカゴケグモの毒性と症状

まず、セアカゴケグモはおとなしいので自ら襲ってくることはありません。

しかし、その存在に気付かずに近付いてしまうと、身を守るために攻撃される可能性があります。

 

セアカゴケグモの毒はαーラトロトキシンと言う、タンパク質が主成分の神経毒です。

咬まれると、針で刺されたようなチクリとした痛みを感じます。

その後、咬まれた部分が毒の影響で赤く腫れあがり、30分後くらいから痛みが強くなっていきます。

 

これだけの症状で済んで、後は回復する場合が多いのですが、抵抗力の弱い子供や老人などの場合には重症化する危険もあります。

痛みが全身に広がったり、発熱、発汗、頭痛、嘔吐、下痢、発疹などの症状が現われる場合もあるのです。

重症化すると筋肉麻痺といった症状が出る場合もあります。

 

とはいえ、咬まれてもほとんどの場合は少量の毒を注入されるだけで、全身症状が出て治療が必要になるケースは20%程度です。

少量の毒であれば治療をしなくても1週間程度で回復します。

 

幸い日本において、セアカゴケグモの毒によっての死亡報告はありません。

しかし血清が普及される以前のオーストラリアでは、死亡例も少数ではありますが存在しているので、その毒性を侮ってはいけませんね。

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もし咬まれてしまったら?治療、対処法

もしも咬まれてしまった、もしくはその疑いがある場合は、まず咬まれた傷口をお湯、または水で洗い流します。

セアカゴケグモの毒はタンパク質が主成分なので、45度前後の熱いお湯の方が有効とされています。

 

また、ポイズンリムーバーという毒を絞り出す道具があるので、念のため常備しておくのも良いでしょう。

 

 

その際、出血している場合に注意してほしいのは、血が出ているからと言って、止血はしないでほしいのです。

そのまま出血させた方が、毒を体外に出すことになるのからです。

 

その後は、痛みを緩和させるため患部を冷やして、速やかに医療機関を受診しましょう。

もし全身に痛みが広がったり神経症状が出た場合は救急車を呼んだほうがよいでしょう。

 

局所的な症状であれば抗毒素を投与する必要はありませんが、セアカゴケグモに咬まれたことが明らかで全身症状が出た場合にはすぐに抗毒素を投与する必要があります。

咬まれてから1週間程度は抗毒素が有効なので、しばらく様子見てたけど悪化したなどといった場合にはすみやかに病院へ行きましょう。

 

病院へ行く際は、咬まれたクモを殺して、そのクモを持って行くことも適切な治療に繋がります。

しかし、必ずしも咬んだクモを殺せるとは限りませんよね。

咬まれたことに気が付くのが遅かったり、クモに逃げられてしまう場合があるからです。

そのため、何に咬まれたのかすらわからずにいることも多くあるのです。

先に述べたような症状があった場合には、セアカゴケグモに咬まれた可能性を疑ってみるようにしましょう。

 

もし見つけたら?駆除方法

家周りで成虫を発見した時には、繁殖されると厄介なので駆除することも大切です。

逃げられないよう、咄嗟に踏んだり叩き潰したりすることが多いですが、決して素手では行わずに靴など、側にあるものを使うようにして下さい。

 

また、クモは何らかの外的な刺激を受けると、擬死行為を行う習性があります。

つまり、死んだフリです。

死んだフリに騙されずに、確実に仕留めるようにしましょう。

 

成虫であれば殺虫剤の使用も有効です。

ピレスロイド系の殺虫剤は市販されている殺虫剤としては主流で、どの昆虫にも効果的なので家に備えておくことをおすすめします。

しかし卵のうは、外皮に邪魔されて殺虫剤の効果が薄まる場合があるため、叩き潰すか焼却などがよいでしょう。

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セアカゴケグモの被害に合わないために

セアカゴケグモの被害を少しでも減らすために、生息していそうな場所を普段から注意深く観察し、クモの巣を見つけた場合は棒で払うなどして被害を未然に防ぎましょう。

また、身近な場所での発生を防ぐために、人工物を置かない、側溝の落ち葉など巣の材料となるものをなくすことが大事です。

 

そして、屋外で作業をする際には帽子や長靴などの身につけるものを、長時間外に置きっぱなしにしないようにしましょう。

知らない間にクモが入り込み、着用する際に触れてしまう恐れがあります。

もしやむを得ず身につけるものを外に置く場合は、使用する前に中や裏側を十分に確認してください。

 

クモが潜んでいそうな場所を清掃する際は、素手でうっかり触れないように軍手を着用しましょう。

上着の袖やズボンの裾から入り込まないように注意を払うことも大切です。

 

最後に、もしセアカゴケグモを発見した場合は、これ以上拡散しないためにもお住まいの自治体にご連絡ください。

周囲にも潜んでいる個体がいたり、近くに卵がある可能性があるので細かく確認しましょう。

 

まとめ

特定外来生物に指定されているセアカゴケグモ。

大阪府で初めて発見されてから20年ほどであっという間に各地に広がり、いまや当たり前に存在するクモになってしまいました。

ちょっと咬まれたくらいなら死なないから気にしないなんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、毒性を持つ限りどの程度症状が悪化するか分かりません。

 

セアカゴケグモは大人しい性格で、自ら積極的に攻撃してくることは少ないとされています。

しかし、知らずにクモに接触してしまった時には、身を守るために攻撃される場合もあります。

巣を作っている場所に、踏み込んでしまった時や、屋外に放置してある靴など履く際には十分な注意が必要です。

セアカゴケグモの駆除が必要な場合や、詳しい繁殖地を知りたい場倍など、各都道府県のホームページからも確認するこができます。

家周りにはなるべく物を置かない、置いたままの状態にしておなかないなど、まずは簡単にできることから、セアカゴケグモ対策を始めてみましょう。

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