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スベスベマンジュウガニの生態と毒性について。食べるな危険!

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スベスベマンジュウガニ、いかにもアニメのキャラクターなどでありそうな名前ですが、実在する蟹の名前なのです。

2003年にはNHKの“みんなのうた”で「恋のスベスベマンジュウガニ」いう曲が話題になりましたが、思わず何それ?と思ってしまうくらい面白い名前ですよね。

しかし、このスベスベマンジュウガニ、かわいらしい名前ではありますが実際は毒を持つ危険なカニなのです。

今回は、スベスベマンジュウガニの生態と毒性について取り上げてみましょう。

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スベスベマンジュウガニとは

スベスベマンジュウガニは、エビ目オウギガニ科に属す海水生のカニで、甲長が5cm程度の小型のカニです。

体色は全体的に赤褐色や茶褐色で、鋏の先端は黒っぽい色をしています。

甲羅には乳白色の網目模様があり、この模様は個体によってさまざまです。

甲羅は楕円形で突起物もなく滑らかで、全体的に丸みを帯びていて光沢もあるため、その姿からスベスベマンジュウガニと呼ばれるようになったようです。

スベスベマンジュウガニ

出典:wikimedia

生息地はインド洋や西大西洋で、日本では房総半島から沖縄あたりの太平洋岸に生息しています。

基本的には岩礁やサンゴ礁の潮間帯から水深100mあたりまでの岩の窪みや石の下などに潜んでいます。

岩場で主に海藻や貝類を食べて生活しています。

 

活動時間帯は夜ですが、動きがゆっくりであるため磯遊びの際に見つけることができます。

小型で一見どこにでもいるような蟹ですが、スベスベマンジュウガニには毒があるため食べることはできません。

それも死の危険性があるほどの猛毒を持っているのです。

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スベスベマンジュウガニの毒性

それではスベスベマンジュウガニの毒性についてみていきましょう。

 

スベスベマンジュウガニには、

・麻痺性貝毒成分である、ゴニオトキシン、サキシトキシン、ネオサキシトキシン

・フグ毒成分である、テトロドトキシン

といった神経毒が蓄積されています。

 

その成分比や毒の量は生息地によって異なり、ほとんどの個体は毒を持っていますが中には無毒の個体も存在します。

なぜなら、スベスベマンジュウガニの毒は餌となる海藻や貝類などが原因とされているからです。

そのため、生息地域によって毒の比率や蓄積量が異なるのだそうです。

毒性の強い個体だと、成人10人分ほどの致死量の毒を持っている場合もあるようです。

 

毒は主に体表部(殻)と脚の筋肉に蓄積されており、特に鋏の付け根部分に多く存在しています。

そのため、スベスベマンジュウガニを触ったり鋏に挟まれただけでは問題ないですが、食した場合は中毒症状が出る可能性があります。

スベスベマンジュウガニの持つ毒は、加熱しても毒性が消えないので決して食べないようにしましょう。

 

幸い5cmと小型の蟹であるため食べよう思うことはなく、現時点で日本での被害は報告されていません。

しかし、同じオウギガニ科であるウモレオウギガニとツブヒラアシオウガニについては、過去に沖縄県や鹿児島県などで被害が報告されています。

スベスベマンジュウガニも食べた例がないだけであって、危険な蟹であることに変わりないのです。

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もし食べた時の症状は?

もしスベスベマンジュウガニをうっかり食べてしまったら、どういった中毒症状が出るのでしょう。

先ほども述べたように、スベスベマンジュウガニにはサキシトキシンやテトロドトキシンといった猛毒が含まれています。

 

もし食べてしまったら、食後30分ほどで痺れ麻痺吐き気といった症状があらわれ、麻痺はやがて全身に広がります。

そして意識障害呼吸困難といった症状がおこり、最悪の場合死に至る可能性もあります。

 

サキシトキシンやテトロドトキシンには現時点で有力な治療法や解毒剤は存在しません。

もし食べて中毒症状があらわれた場合は、できる限り食べたものを吐いて早急に病院へ行ってください。

死の危険性があるため、一刻も早く病院で処置を施すことが何より大切なのです。

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毒は防衛手段

さて、スベスベマンジュウガニはなぜ毒を持つようになったのでしょうか。

 

蟹は、外敵に襲われた際の防御手段として、自らの脚を切断する自切行為をすることが知られています。

スベスベマンジュウガニの場合も同様で、自切を行う行動が確認されています。

ではなぜ毒を併せ持つのか、はっきりしたことは分かっていませんが、自切行為とともに毒を防御に役立たせていることが考えられています。

つまり、外敵に襲われた際に、自切をすることで最初に食べられる部分(鋏の部分)に毒を多く蓄積させることで身を守っているということです。

また次に襲われないために、猛毒を置いていくってことですかね。

 

小型なうえに動きも鈍いとあれば外敵に襲われる機会は多いはずです。

どうしたら身を守れるのか、生き延びるうえで身に付けた手段なのかもしれません。

 

まとめ

スベスベマンジュウガニは5cm程の小さなカニですが、ヒトを死亡させるほどの猛毒を持っています。

スベスベマンジュウガニが毒を持つのは身を守るためです。

もし、海岸で見かけても蟹のほうから襲ってくることがまずありません。

触ったくらいでは問題ありませんが、もしスベスベマンジュウガニを見つけても絶対に食べないようにしましょう。

ペットを連れているときも、注意してあげてください。

 

日本で確認されている有毒の蟹は、現時点でスベスベマンジュウガニを含めて9種です。

そのほとんどがオウギガニ科に属しています。

蟹を見つけたらつかまえて食べようなんてことになるかもしれませんが、何の知識もなく口に入れるのは危険です。

とにかく知らない蟹は食べないように気をつけてください。

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