夏と言えばレジャー。海や川でバーベキュー、キャンプなど楽しみがいっぱいです。
しかし、レジャーには楽しみだけではなく、危険も付き物です。
例えば虫。
自然にあふれた環境には当然ながら虫がたくさんいて、蚊やハチによる被害はもちろんですが、よく見落とされがちなのはアブやブヨによる被害です。
彼らはハエに似ていることもあり、近づいてきても特に注意を払わずいつの間にか刺されていたなんてこともあります。
虫に刺されて痛い思いをしたら、せっかくのレジャー気分が台無しですよね。
今回は、夏に被害の多い虫のうち、アブ(虻)の生態や刺された時の症状と対策について詳しく見ていきたいと思います。
目次
アブとは
アブ(虻)は、昆虫綱ハエ目ハエ亜目に属する昆虫の総称で、日本には約100種類ほどのアブが存在します。
そのうちの10種類程度が蚊のように人を吸血します。
アブは非常に種類が多いために分類上の判別が難しく複雑です。
アブは見た目がハナバチやヒメバチに似ている種が多く、一般的にアブは“見た目がハチに似ているが顔面はハエ目である昆虫”を指すことが多いです。
しかし、ハチっぽくないからと○○ハエと名付けられながら分類上はアブであったり、●●アブと名付けられながら分類上はハエである種が存在しており、アブの分類においては分類学者も頭を悩ませることだったのだろうと推察されます。
アブの特徴
アブは見た目がハエやハチによく似ていますが、ハチとは分類上は別種です。
ハチはお尻にある毒針で人を刺しますが、アブの場合は口で人の皮膚に噛みつき吸血するのです。
アブの体長は種によって異なり、イヨシロアブやキンイロアブのように小型の種は約9~12mm、日本最大と言われるアカウシアブの場合は約20~30mmにもなります。
大型種ともなればハエよりも大きいので、近づいてきたらすぐにハエではないと分かるでしょう。
アブの体色も種類によってさまざまですが、最大種のアカウシアブは黒地の体で腹部に黄金色の帯模様があります。
多くのアブに共通する特徴としては、
・触角がハエに比べると短い
・大きな複眼が2つありその境目に小さな3つの単眼を持つ
・腹部の中足と後足の間に"平均こん"と呼ばれるものがある
・背中が筋肉により少し盛り上がっている
などが挙げられます。
ちなみに“平均こん”とは退化した後翅のことで、これによりアブは空中を飛行する際にバランスを保つことができると言われています。
どんなところにいる?
日本におけるアブの生息地は、北海道から九州、南西諸島とほぼ全国に広がっています。
発生時期は種によって異なりますが、特に多い時期は6月中旬から9月にかけてのレジャーシーズンです。
アブは昼行性で、森林や川、沼、湿地といった水辺付近に発生します。
また、アブは吸血対象である家畜にまとわりつくため、牛舎のような家畜施設にもいます。
アブの生態
アブの卵は、発生源の近くにある葉っぱなどに産みつけられます。
1週間ほどで孵化し、1~3年ほどの幼虫期間を経て蛹となり成虫へと羽化するのです。
アブの種によっては家畜の糞尿に産卵するものもいて、家畜業者の間で厄介視されているようです。
アブの食性は、幼虫期間は土壌中の小さな昆虫などを食します。
成虫になってからの食べ物は種によって異なり、ハナアブは花の蜜を吸い、シオヤアブやアオメアブなどは他の昆虫を捕食するなどさまざまです。
吸血性のアブは、牛や馬などの家畜や人間の生き血を狙います。
吸血するのはメスのみで、鋭い口吻によって皮膚を刺し、傷口から出てきた血を吸うのです。
この吸血行動は蚊と同様、メスが産卵のためにタンパク質を必要としているためと言われています。
アブに刺された時の症状
では、人間がアブに刺されてしまったらどのような症状が起きるのでしょうか。
アブは皮膚を噛み切るように刺すため、刺された瞬間はチクッとした強い痛みを感じます。
噛み切るため当然傷口からは出血し、痛みとともに腫れや強いかゆみに襲われます。
腫れやかゆみは2日ほどで治まることもありますが、ひどい場合には2週間近く続くこともあります。
また、微熱を伴うこともあったり、アレルギーにより化膿してしまうケースもあるので、刺された時は悪化しないようにすぐ対処する必要があります。
刺されたらどうすればいい?
アブに刺された時の対処法ですが、
1、まず刺された場所からすぐに立ち去る必要があります。
アブがまた襲ってくることもありますし、血の匂いを嗅ぎつけて他の虫が寄ってきたりします。
できるだけ安全な場所に移動するようにしましょう。
さて、次に
2、アブに刺された患部を水で洗い流して、できるだけ毒素を傷口から絞り出しましょう。
体を激しく動かすと毒素が体内に回ってしまうので、落ち着いて安静にしていることも大切です。
また、ポイズンリムーバーという毒を絞り出す道具があるので、念のため準備しておくのも良いでしょう。
3、毒素を出して止血した後は、氷水や冷湿布などで患部を冷やしましょう。
4、そして抗ヒスタミンやステロイド入りの軟膏を患部に塗りましょう。
市販薬のムヒやウナコーワなどで大丈夫です。
患部のかゆみが強くて掻きむしりたくなるかと思いますが、掻きすぎると“とびひ”になる恐れがあります。
子どもにとってはつらいことではありますが、掻きすぎないように我慢しましょう。
皮膚が弱くて悪化してしまう恐れのある方、処置を施しても悪化してしまった方はできるだけ早く皮膚科を受診してください。
刺されないための対策
せっかくのレジャーシーズン、アブに刺されるのが嫌だからと外出を控えるわけにはいかないですよね。
アブの発生しやすい場所に行く際には、刺されないための対策をとる必要があります。
まずは、帽子、長袖長ズボン、靴下の着用です。
アブは足首やすねあたりを狙ってくることが多いです。
決して半ズボンにサンダルといった格好では行かないようにしましょう。
そして、虫よけスプレーや携帯用の蚊取り線香なども効果的です。
レジャーの際は忘れずに対処しましょう。
アブはハチの場合と同じく、柔軟剤の強い香りや黒系の色に反応します。
こういった衣服は避け、白や黄色と言った明るい色の衣服を着用すると良いでしょう。
また、飲酒した場合もアブは寄ってくることがありますので注意しましょう。
アブは外だけでなく、車の窓を開けていると車内に飛び込んでくることもあります。
外出する際にはフマキラーといった殺虫剤を携帯しているとより良いですね。
ハッカ油で虫除けスプレーを自作しよう!
薬局などで、1000円程度で購入できる「ハッカ油」、口に入れても安心な天然成分100%でできています。
このハッカ油はアブが嫌うので、できるだけ自然な物質を使って、アブから身を守りたい人にオススメです。
またアブだけではなく、蚊、コバエ、ゴキブリ、アリ、ダニにも効果があります。
体にスプレーする場合は、薬局に売っている無水エタノール10mlに、ハッカ油を20滴程度たらし、同じく薬局で100円程度で売っている精製水を90ml混ぜれば完成です。
100円均一で売っている、空のスプレーボトルに入れて持ち歩くのをオススメします。
ハッカ油は、アブを含めた虫に効果があるだけではなく、すーっとした冷感作用もあるので、夏の暑い日には助かります。
ハッカ独特の香りが苦手な人は、自分の好みのアロマオイルを足してもいいです。
こちらも、肌から有効成分が消えてしまうと効果がなくなってしまうので、こまめに塗りなおしましょう。
スプレーが余った場合は、玄関先や、靴にふっておけば、香りがある間は虫除けの効果があるのでおすすめです。
まとめ
アブはほぼ日本全国に生息しており、森林や川、沼、湿地といった水辺付近でよく見かけます。
刺されると、激痛とともに腫れや強いかゆみに襲われます。
もし刺されたら、患部を清潔にして冷やし、抗ヒスタミンやステロイド入りの軟膏を塗りましょう。
夏になると、川でキャンプやバーベキューなどする機会もあると思います。
アブやハチといった虫のせいで嫌な思い出とならないように、服装に気を付け、虫よけスプレーを忘れないよう、入念な準備をして遊びに行ってくださいね。