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イシガキダイ(クチジロ)の毒素、シガテラ中毒について

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「イシガキダイ」という魚をご存知ですか?

私は水族館で一度イシガキダイの子供を見たことがあったので、観賞魚なのかと思っていました。

ですが、実際は高級な食用魚としての一面があり、釣り人には人気の魚として知られているそうです。

普段あまり耳にしない名前ですが、その生態、危険性とは一体なんでしょうか。

今回は、イシガキダイ(クチジロ)の毒素、シガテラ中毒についてご紹介させていただきます。

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イシガキダイとは

イシガキダイは、スズキ目イシダイ科イシダイ属に属する魚です。

日本では、基本的に暖流の地域にいますが、北海道から最南端にある沖ノ鳥島まで、幅広い生息が確認されているようです。

肉食の魚で、ウニ、エビ、カニ、貝、サンゴなどを強靱な歯で噛み砕いて食べます。

 

全長は50cmほど、大きいものでは90cmにもなるそうです。

グレー地に黒の斑点模様で覆われている、独特な見た目が石垣を思わせることからイシガキダイと名付けられました。

その由来を聞くととても印象深いその斑点模様ですが、オスは成長につれて細かくなっていき、やがて老成すると消失してしまいます。

それと同時に口の周りが白くなるため、老成したオスのイシガキダイを「クチジロ」と呼ぶそうです。

クチジロ

クチジロ  出典:http://www.aouo.com/photo.htm

 

イシガキダイの産卵期は4~7月で、群れで南下し南日本で産卵を行います。

ちなみに、老成したクチジロは繁殖には加わらないそうです。

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イシガキダイとイシダイの違い

イシガキダイによく似た魚で、イシダイという魚がいます。

生息地も同じで、日本近海に生息するイシダイ科の魚はこの2種類のみです。

 

 イシガキダイ 出典:opencage.info   イシダイ 出典:wikipedia

 

一見どうやったら見分けがつくの?と思いますが、その違いは体の模様で、

・イシガキダイのもつ斑点模様に対し、イシダイは黒の横縞模様

になっています。

 

昔とても大きなイシダイが釣れたという報告があり、一度は日本最大といて記録されたものの、クチジロである可能性が上がり大論争にまで繋がったというエピソードがあります。

それほどまでにこの2種は見分けづらい魚ということなんですね。

ちなみに、イシガキダイとイシダイは近縁種のため繁殖は可能で、交雑個体は斑点模様と黒の縞模様とが入り混じった模様をしているそうです。

 

イシガキダイは高級魚

イシガキダイは生息環境の厳しさ、個体の少なさから釣り人に人気の高い高級魚で、味もとても美味しいため市場では常に高く売られています。

その調理法も様々で、お刺身にすると脂がのっていて味にコクがあり、塩焼きにすると皮目のよい香りとしっとりした身の味わいがたまらないそうです。

 

あまり耳にしない名前だったので食べたことがなかったのですが、それを聞いたら是非一度は食べてみたいなと思う魅力を感じますね。

ちなみに、全長40cmほどまでの個体が美味しく、それ以上大きい個体は味が落ちてしまうそうです。

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イシガキダイの毒素、シガテラ中毒

さて、そんな魅力たっぷりのイシガキダイですが、実は危険な一面も持っています。

実は、シガテラ中毒の危険性があるのだそうです。

特に、大きな個体(重さ2.7キロ以上、全長45センチ以上)がシガテラ中毒の危険性が高くなるということです。

大きいイシガキダイを釣ることができたら嬉しいことですが、かえって食べることができないのは残念ですね。

 

このシガテラ毒は海藻に付着している植物プランクトンが作り出しており、イシガキダイがそれを食べることで体に蓄積されてしまいシガテラ中毒の原因をつくっているそうです。

そのため、他にもシガテラ毒を持っている魚もいます。

具体例として一例を挙げると、

・バラフエダイ、バラハタ、カンパチ、ギンガメアジ、オニカマス、ウツボ

もシガテラ毒を持っている可能性があります。

 

シガテラ毒を持っている魚は、上記以外にも百種類以上あり南方系の魚が多いとのことです。

サンゴ礁に住む魚は食用には向かないというのも頷けますね。

 

しかし、普通に市場で流通している魚はそうそう問題ないので、あまり神経質に怖がる必要はありません。

 

シガテラ中毒の症状

シガテラ中毒を摂取すると、30分〜1時間ほどで、

・腹痛、嘔吐、下痢、血圧低下、関節や筋肉の痛み、しびれ、めまい

などの症状が現れます。

 

実際、シガテラ中毒による死亡例というのはかなり少ないようですが、「ドライアイスセンセーション」と呼ばれる危険な症状を起こしてしまいます。

ドライアイスセンセーションは冷たい物に触れると痛みを感じる温度感覚異常です。

また、冷たいものだけではなく普通の温度の物でも刺激を感じてしまうので、日常生活に大きな支障をきたします。

完治までに時間が掛かることもあり、人によっては1年かかったという例もあるので注意が必要です。

 

焼けば大丈夫なのではないか、と思い調べたところ、シガテラ毒は加熱しても消えないそうです。

感覚に異常が出るというのは本当に恐ろしいことで、普段の行動に全て異常を感じるそのストレスは想像するだけでつらいですね。

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料亭からイシガキダイが消えた事件

これは1999年に千葉の料亭で起きた有名な事件で、イシガキダイの洗いや兜焼きを食べた客が下痢や嘔吐症状を訴え、しびれや発疹などの食中毒症状まで生じました。

この事件は裁判まで発展し、裁判所は店側の過失を認め1200万円の支払いを求めたそうです。

 

その後、イシガキダイを扱う料亭が激減してしまい、大きな爪痕を残しました。

美しいものにはトゲがある、と言いますが、美味しいものには毒があり、食べ方や取り扱いを誤ると大変なことになってしまうんだなと他人事ではないことを学びました。

 

まとめ

今回、イシガキダイの生態や危険性をご紹介させていただきました。

イシガキダイは人気の高級魚であり、とても美味しいため市場では常に高く売られています。

しかし、シガテラ毒をもっていることがあり、特に大きな個体(重さ2.7キロ以上、全長45センチ以上)は危険性が高くなります。

また、大きな個体ほど味が落ちるそうなので、小さな個体を食べた方がいいということでした。

知名度が低くなかなか食べる機会がない魚ですが、正しい知識を持って、釣って楽しい食べて美味しいイシガキダイの魅力をぜひ一度体感してみたいものですね。

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