海には毒をもつ生物も多くいます。
特にオニダルマオコゼは、その見つけにくい姿から、知らずに触ったり踏んだりして刺されると、最悪の場合命に関わることもあります。
今回は、海の生き物の中でも特に注意が必要な、オニダルマオコゼの生態や危険性、刺された時の症状と処置についてご紹介します。
オニダルマオコゼってどんな魚?
オニダルマオコゼは、カサゴ目フサカサゴ科オニオコゼ亜科に分類される魚です。
背びれの棘に猛毒を持つことでも有名かと思います。
英名では“Stone fish”と呼ばれ、その名のようにゴツゴツと岩のような姿をした魚です。
上向きの大きな口があり、その名前の通り鬼のような荒々しい顔相をしています。
オニダルマオコゼは大きめの魚で、全長40cmくらいになるものもいます。
その体は、厚い皮膚に覆われていて、鱗はまとっていません。
オニダルマオコゼは、生息している場所の石や岩、砂の色などに合わせて、色・姿を擬態しているのが特徴です。
そのため、色は、生息している場所によって、黒褐色などの黒っぽいもの、赤っぽいもの、黄色っぽいものなどさまざまです。
オニダルマオコゼの生態
オニダルマオコゼは、太平洋やインド洋の暖かい浅海に生息していて、日本では、沖縄や小笠原諸島、奄美大島などに生息しています。
オニダルマオコゼは、浮き袋を持っていない魚で、泳ぐ姿を見る機会はとても少ないようです。
岩場や砂に埋もれて、じっと獲物となる小魚や甲殻類が近づいて来るのを待ち、大きな口を開けて獲物を捕獲します。
そのため、じっとしていると岩に見えるので、オニダルマオコゼを見つけるのはとても難しく、シュノーケルやダイビングなどで知らずに踏みつけてしまい刺されるという事故が起こっています。
オニダルマオコゼを探せ↓
シューノケリングやスキューバダイビング中などで岩場や海底などを手で触れたり、足をついたりする場合は、オニダルマオコゼの存在に充分注意が必要です。
また、砂の中にもぐっていたり、子供でも足がつくような浅瀬にもいたりするので非常に注意が必要な魚なのです。
猛毒を持つ背びれの棘
オニダルマオコゼの背びれには、12~14本の棘があり、その棘の根元に神経毒をもっています。
オニオコゼ亜科の魚は、背びれに毒を持っていますが、その中でもオニダルマオコゼの毒は特に毒性が強く、その有毒成分はストナストキシン(stonustoxin)で、ハブ毒の30倍以上の毒性があるといわれています。
オニダルマオコゼ1匹で、体重60kgの大人4人が死に至るといわれるほどの猛毒です。
さらに、オニダルマオコゼの棘は、ゴム靴の底を貫通するほど丈夫なので、ダイビングシューズなどを履いていても、踏みつけてしまったりすると刺されてしまいます。
2010年には、沖縄県でオニダルマオコゼに足の裏を刺された、ダイビングインストラクターの男性が死亡するという事故が起きています。
刺されたときの症状
オニダルマオコゼに刺されると、まず、その直後からものすごい激痛に襲われます。
痛みで意識を失って溺れてしまう恐れもあるほどです。
その後、刺された患部は腫れて、紫色に変色し、場合によっては壊死してしまうこともあるそうです。
重症になると、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、けいれん、呼吸困難などがみられる場合もあります。
また、まれに低血圧やアナフィラキシーショックを起こし、死に至ることもあるのです。
刺されたときの対処法
オニダルマオコゼに刺されたときの対処法についてご紹介します。
1、まず、直ぐに海から上がりましょう・・・痛みで意識を失って溺れてしまう例もあるので、とにかく陸に上がることが大切です。
2、刺されたところに棘が残っていたら取り除きます
3、真水で傷口を洗いましょう
4、刺されてすぐであれば、傷口から毒を絞り出します
5、45℃以下のできるだけ熱いお湯に30~90分患部を浸します・・・オニダルマオコゼの毒のたんぱく質は熱によって分解され、不活化して、痛みを和らげることができます。やけどに注意しましょう。入浴時より少し熱めのお湯程度です。
6、医療機関を受診し、手当てを受けましょう・・・オニダルマオコゼの毒は猛毒です。自己判断せず急ぎ病院へ向かいましょう。
また、ポイズンリムーバーという毒を絞り出す道具があるので、海へ行く際は念のため準備しておくのも良いでしょう。
オニダルマオコゼの毒の血清は、現在日本にはないそうです。
治療は対処療法となるでしょうが、万一に備えて必ず医療機関を受診しましょう。
オニダルマオコゼは実は高級魚
ここまで、その危険性をご紹介してきたので食べたいとは思わないかもしれませんが、オニダルマオコゼは非常に美味であり高級魚とされています。
肉は白身で、刺身、唐揚げ、汁もの、焼き物などで食され、その刺身はフグより美味しいとも言われることも!
旬は夏だそうですが、残念ながら食材としてのオニダルマオコゼはあまり流通していません。
お値段は、一匹5千円を超えることもあるのだとか。
機会があれば、ぜひ食べてみたいですが、自分で捕まえて捌くとなると、誤って毒針に刺される恐れもあるので、扱いには細心の注意が必要です。
まとめ
オニダルマオコゼは、暖かい浅い海に生息するオニオコゼ亜科の魚で、背びれに毒棘を持っています。
その姿は、岩や砂に擬態していて、なかなか存在を見つけることが難しく、シュノーケリングやダイビング中に知らずに手で触れたり、足で踏みつけたりして刺される事故があります。
オニダルマオコゼに刺されると、激痛を起こし、重症な場合は、けいれんや呼吸困難を起こすことがあり、最悪の場合死に至ることもあるため、刺されないように十分に注意する必要があります。
もしも、オニダルマオコゼに刺されたら、患部を真水で洗って清潔にし、45℃以下のできるだけ熱いお湯に患部を浸して、至急、医療機関を受診しましょう。
オニダルマオコゼは、海水浴ができるくらいの浅い海底でも確認されることがあるそうです。
海水浴中でも遭遇する可能性があるということですね。
海での経験が豊富なダイバーでもオニダルマオコゼの存在に気づくのは容易なものではないといわれているため、海水浴中に気づくというのは難しいかもしれません。
もしもの時に対処できるように対処法を知っておくことが大切ですね。