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ソウシハギの猛毒に注意!その生態や見分け方について

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ソウシハギという魚をご存知でしょうか。

カワハギ科に属する海水魚で、フグの70倍の毒を持つと言われる猛毒の魚です。

フグ毒でもその毒性は青酸カリの約1000倍といわれているのに、その70倍の毒を持つソウシハギとはどのような魚なのでしょうか。

間違えて食べてしまわないために、ソウシハギについて知っておきましょう。

今回は、ソウシハギの特徴や見分け方、毒の危険性をご紹介します。

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ソウシハギってどんな魚?

ソウシハギ

ソウシハギ 出典:flickr

ソウシハギはスズキ系フグ目カワハギ科ウスバハギ属に属する海水魚です。

世界中の暖かい海に分布しており、日本では本州中部以南に生息するとされています。

しかし、温暖化の影響で分布域が徐々に北上しており、近年では愛媛県や山口県などの瀬戸内海沖や鳥取県や石川県などの日本海側、さらには北海道の苫小牧沖や宗谷地方でソウシハギが獲れたとの報告もあります。

温暖化による海水温の上昇で勢いの強まった暖流に乗って、日本海側や北海道沖など分布域以北へたどり着いたのではないかと考えられています。

 

ソウシハギの全長は50~100cmで、からだは平べったい楕円形をしており、灰色もしくは黄色っぽい体色、全身に青い波模様と黒い斑点があります。

成魚は水深30mより浅い岩礁域やサンゴ礁に生息しています。

幼魚は緑色をしていて、海面を漂っている海藻の間に倒立し、海藻に擬態して生活しています。

 

ソウシハギは群れを作らず、単独で生活していることが多いようです。

食性は、海藻やイソギンチャクなどの刺胞動物、ホヤなどを食べる雑食性です。

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要注意!内臓に毒あり

ソウシハギは、フグ毒の70倍も強力な毒を持つ魚とされています。

では体のどの部分に毒を持っているのでしょうか。

ソウシハギには、内臓(肝臓と消化管内容物)に毒があります。

その毒はパリトキシンという猛毒で、生物が持つ自然毒の中で最も強い毒のうちの1つです。

 

中毒症状としては、激しい筋肉痛呼吸困難歩行困難胸部の圧迫けいれんが挙げられます。

潜伏期間は12~24時間程度で、最悪の場合は死に至ることがあります。

ソウシハギの他にも、アオブダイやハコフグもパリトキシンを持っており、これらの魚による食中毒事故が過去36件発生し6人が死亡したという報告もあります。

 

ソウシハギやアオブダイはもともと体内にパリトキシンを持っているわけではありません。

捕食した生物に含まれていた、パリトキシンが肝臓や消化管に蓄積したものなのです。

ソウシハギは藻類やイソギンチャクなどを捕食していますが、その餌の中にイソギンチャクの1種であるイワスナギンチャクが含まれています。

イワスナギンチャクは組織や粘液にパリトキシンを持っており、ソウシハギはそのイワスナギンチャクを捕食することで体内にパリトキシンを蓄積してしまうのです。

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見分ける方法は?ソウシハギの特徴

ソウシハギは猛毒のパリトキシンを持っているため、都道府県では捕まえても食べないようホームページなどで注意喚起されています。

しかし、鍋や刺身で食べられているウマヅラハギやウスバハギと体の形が非常に似ているため、間違って食べないよう特徴を知っておく必要があります。

 

ソウシハギ 出典:wikimedia      ウマヅラハギ 出典:wikimedia

 

ソウシハギは、青い波模様と黒い斑点が全身にみられます。

ウマヅラハギやウスバハギに青い波模様はありません。

 

また、尾びれがウマヅラハギやウスバハギに比べて、大きくうちわ状をしています。

 

この2点に注目することで、捕まえた魚がソウシハギなのかそうでないのか判断することができます。

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ソウシハギ、実はおいしい?

猛毒をもつソウシハギですが、沖縄などでは刺身や鍋、みそ汁などの調理法で食べられています。

センスルーやサンスナーと呼ばれ、一般の食用魚として親しまれているようです。

定置網や刺し網、追い込み漁で漁獲される魚に混じって漁獲されます。

 

フグと違い、ソウシハギを調理するために特別な資格や許可はいりません。

 

身は透明感のある上質な白身で、比較的安価な魚であるため流通している地域では人気が高い魚です。

骨などからは美味しいだしがとれるそうです。

ただし、内臓は猛毒のパリトキシンが蓄積しているため、取り除いて調理されます。

内臓に蓄積したパリトキシンは過熱しても分解しないので、絶対に食べてはいけません。

 

まとめ

ソウシハギは、内臓に猛毒(パリトキシン)を持つことがある魚です。

ソウシハギの特徴としては、

・青い波模様と黒い斑点が全身にみられる

・尾びれがウマヅラハギやウスバハギに比べて、大きくうちわ状をしている

が挙げられます。

 

ソウシハギは以前までは南の魚で、見たこともないという人が多かったのではないでしょうか。

しかし温暖化の進んだ今、ソウシハギは私たちの身近な魚になりつつあります。

内臓を取り除けば大丈夫とのことですが、毒の除去に慣れていない方は安易に食べないようにした方が良いのではないかと思います。

都道府県でも食べないよう注意喚起されていますしね。

釣り上げたら、逃がしてあげると良いのではないでしょうか。

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