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オニカマス(バラクーダ)の生態や危険性、シガテラ毒について

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夏とともに旬を迎え、釣り人たちからも人気の「カマス」。

でも、ひとくちにカマスと言っても、様々な種類があります。

バラクーダの名でお馴染みの「オニカマス」も、そんなカマスの仲間ですが、あまり身近な魚ではないのでご存知でない方も多いかもしれません。

有名なアニメーション「ファインディング・ニモ」で、主人公のカクレクマノミを襲ったあの魚、と聞けばわかるでしょうか?

今回は、オニカマス(バラクーダ)の生態や危険性、シガテラ毒についてご紹介させていただきます。

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オニカマスの生息地と生態

オニカマス(バラクーダ)

出典:wikimedia

英語名・バラクーダ、和名・オニカマスはスズキ目カマス科カマス属の魚で、和名の由来はカマスの中でも大型(鬼=オニは動物名では大きいという意味から)になることからきています。

生息域は東部太平洋をのぞく太平洋、インド洋、熱帯大西洋など、日本では沖縄、小笠原のほか、九州周辺の海域や相模湾以南の太平洋側にも分布しています。

沿岸のサンゴ礁域や岩礁域から、やや沖合にかけて生息するとされています。

オニカマスはカマス属としては珍しく、幼魚期に河川の汽水域にはいることで知られているが、川を遡上するなどして純淡水域に入ることはないとされています。

 

体長は80cm~150cmほどで、大きな個体は2m近くまでなるそうです。

カマス科の中では大型のオニカマスですが、その体形は多くのカマスの仲間たちと同じように、細長く円筒形をしています。

特徴的とも言える大きな口には、鋭く強靭な歯を備えています。

肉食性で、主に小魚や甲殻類をを捕食しています。

 

幼魚期は茶褐色で体側に黒色斑がありますが、これは擬態の一例とされています。

成魚になると体は銀色になり、体側体側の上半部には横帯が現れてきます。

2つある背びれの間隔は広く離れており、胸びれは体側のやや低い位置についています。

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カマスの中では最大種

日本で釣れるカマスは主に2種類あります。

本カマスと呼ばれる「アカカマス」と、ミズカマスこと「ヤマトカマス」です。

他にも多くの種類がいるカマスですが、バラクーダことオニカマスはカマスの中では最大種です。

 

その大きさと力強さから釣り人は、糸の太さなど、釣り道具の規定を定め、指定された魚の釣れた重量で記録を競う、トローリングやゲームフィッシングなどで人気があります。

 

食物連鎖によって蓄積される毒、シガテラ

オニカマス(バラクーダ)

出典:wikimedia

日本では食用として重宝されているカマスですが、これがオニカマスのような大型種のカマスになると話は別です。

産地によってはシガテラ毒を持つため、食品衛生法によって販売禁止とされているのです。

 

ただし健康被害の原因となるシガラテ毒は、主に珊瑚の海で繁殖するプランクトンが生成し、食物連鎖の頂点に立つオニカマスに蓄積されたものと考えられています。

つまりオニカマス自身が、もともと持っている毒ではないんですね。

 

これはフグなども同じで、毒を持つ多くの魚介類が、毒性を持つプランクトンを食べることによる食物連鎖によって、その体に毒性を宿すものです。

ピラミッド型の食物連鎖は、上に行けば行くほどその毒性が強くなります。

これを「生物濃縮」と言います。

珊瑚の海で繁殖するプランクトンが原因なので、珊瑚礁のない海域のパラクーダは毒性がさほど強くないともされています。

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加熱しても効果なし!神経毒の一種

シガテラ毒の原因となるシガトキシンは、神経細胞に強い影響を与える神経毒の一種です。

症状としては、

・腹痛、下痢、嘔吐などの消化系障害や頭痛、めまい、皮膚の温感異常、筋肉痛、麻痺などの神経系障害、血圧降下、心拍数の異常など循環器系障害

も現われるとされています。

 

シガテラ毒は加熱料理しても、その毒性が分解されることはありませんので「火を通しても危険な毒」ということを覚えておきましょう。

 

もしも摂取してこれらのような症状が現われた場合には、すぐに医療機関を受診して下さい。

実は現在もシガラテ毒に効果的な治療法はありません。

そのため症状を軽減するための対症療法で治療が行われます。

日本ではオニカマスのシガテラ毒による死亡例はありませんが、重症化した場合は回復までに長期間要することなどからも、ちょっと試しに食べてみよう、などどは考えない方がいいですね。

 

「生きる魚雷」オニカマスは人も襲う?

以前から危険な魚としてその名を知られているオニカマスですが、それは毒性だけではありません。

過去に何度かニュースにもなりましたが、このオニカマス、時に人を襲うこともあるのです。

鋭い歯を持つ大きな口に噛まれでもしたら、大怪我どころが命にもかかわってきます。

それゆえ、地方によってはあのサメよりも恐れられていることもあるようです。

 

人を襲う原因としては、行動の乱れや不規則な動き、光っているものに反応する、などありますが、真相はわかっていません。

人が海に潜っている時だけでなく、ボートに乗っていて急に海の中から飛び出して攻撃してくる報告もされているので、何が原因で襲ってくるのか謎ですよね。

 

アメリカでは「生きる魚雷」とも呼ばれ、恐れられており、特に東部、フロリダ州ではオニカマスによる事故も多く発生しています。

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「オニカマス」と「オオカマス」

ダイビング雑誌やネット映像、テレビなどで、オニカマスが渦を巻いているように群れている様子を見る機会があります。

神秘的で美しい映像や写真ですが、実はこれオニカマスではないのです。

なかにはしっかり「オニカマス」と表記されているものもありますが、これらはオニカマスではなくオオカマスという仲間の魚なんです。

見た目がそっくりというわけではないようですが、間違えるほどには似ているということです。

 

オニカマスはその生態として、渦を巻くような群れは形成しないとされています。

オニカマスはたいてい単独か、または数尾であまりかたまらずに生活しているようで、まれに数十尾の群れをなすこともあるようですが、ほとんどと言っていいほど群れて行動することはないとされています。

ましてや、渦巻状になったりもしないので、これはよく似たオオカマスに間違いないようです。

 

今後もしもこういったパラクーダの映像または写真を見た場合には、「パラクーダでなくてオオカマス」と認識して見る様にしないといけないですね。

 

まとめ

オニカマスは、最大で2mにもなる大型のカマスです。

シガテラ毒を持っている危険性が高いため、販売禁止となっています。

 

人を襲ったりシガテラ毒を持っていたりと、あまり親しみやすい魚とは言えませんが、それでも釣り人たちやダイバーたちには大きな人気を誇っています。

種類の多いカマスの中でも、最大種でもあるオニカマスが、群れずに悠然と海を泳ぐ姿は確かに迫力があり魅力的かもしれませんね。

なかなか、一般人にとってはお目にかかることのない魚ですが、水族館で展示しているところもあります。

釣り人を魅了するオニカマスを一目見てみたいものですね。

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