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特定外来生物キョンの生態や農業被害、駆除対策について

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近年、房総半島や東京都の伊豆大島で繁殖し続けているキョンという動物がいます。

キョンとは、本来は日本に生息していなかった外来種で、小型のシカの仲間です。

現在、生息地近辺ではキョンによる食害が深刻化して大きな問題となっています。

さて、一体キョンとはどのような生物なのか、またキョンに対してどのような対策がとられているのか。

今回は、特定外来生物キョンの生態や農業被害、駆除対策についてについて詳しくご説明したいと思います。

 

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キョンとは

キョン

キョンは、シカ科ホエジカ属に属している小型のシカです。

もともとは日本に生息していない種で、中国南東部や台湾が原産です。

 

日本に生息するようになったのは、千葉県勝浦市にあった観光施設で飼育されていた個体が逃げ出したことがきっかけのようです。

その逃げ出した個体が野生化し、繁殖を続けたことにより千葉県で急増することとなりました。

伊豆大島についても、動物園で飼育していた個体が、台風の影響で柵が壊れ逃げ出したことにより野生で繁殖してしまったようです。

 

キョンによる多くの被害が出ているため、日本では特定外来生物に指定され駆除の対象となっています。

 

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体の特徴

キョンの体長は70~100cm程度で、肩高は50cm程度、体重は10~18kgになります。

基本的にはオスのほうがメスよりも大きいです。

日本に普通に生息するニホンジカなどは体重40~100kg近くにもなるので、いかにキョンが小さいシカかお分かりでしょう。

 

体色は黄褐色や赤褐色の個体が多く、頭から鼻にかけては黒色です。

オスには15cm程度の短いツノがあり、眼下腺が発達していてちょうど目のようにみえるため四目鹿(ヨツメジカ)とも呼ばれています。

 

ちなみに、キョンの鳴き声はイヌに似ているのも特徴です。

 

生態

キョン

また、シカの仲間は群れることが多いですが、キョンは基本的には単独で生活します。

 

非常に繁殖力が高い種で、メスは生後半年で妊娠、生後1年が経過すれば出産が可能になります。

繁殖期は特にありませんが、4~6月頃がピークです。

メスは約210日の妊娠期間を経て、基本的に1仔を出産します。

 

なお、野生下での寿命は10~12年と言われています。

 

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生息地と生息数

日本におけるキョンの生息地は、前述したように千葉県と伊豆大島です。

千葉県においては、具体的に観光施設のあった勝浦市、鴨川市、いすみ市、君津市、市原市など南東部の9市町に分布しています。

当初は勝浦市のみだったのが徐々に生息域を広げ、個体数についても平成14年には約1000頭だったのが、平成28年には約49500頭と恐ろしいまでに急増しています。

 

伊豆大島についても約15000頭にまで増え、島民約8000人の1.8倍に相当する数になっています。

 

なぜ、キョンはこんなにも繁殖していってしまったのでしょうか。

原因としては、キョンの天敵であるオオカミやクマがいない環境であると考えられています。

繁殖力が高いうえに天敵がいないとなれば、自然と増えてしまうというのも納得ですね。

 

キョンの食性と農業被害

キョン

キョンの食性は草食で、木の実や木の根、果実を食します。

活動時間は早朝と夜間で、森林や低木林に生息しています。

 

キョンは常葉広葉樹やシイ・カシ類の堅実を食す傾向にあり、ニホンジカなどが食すイネ科植物や枯れ葉などはあまり食べず、良質な食べ物を選んでいると考えられています。

特に好んで食べるのはカクレミノのようです。

また、ニホンジカが嫌うアリドオシを食べることが知られています。

 

ただ、キョンが食べるのはこれらだけではなく農作物も食い漁ります。

イネやイモ、その他野菜類、大豆、イチゴ、ミカンなど、その被害品目はさまざまです。

さらに、民家に近づき花壇の花や植木なども食べるという生活上の被害も報告されています。

 

個体数の増加とともに被害数も増加し、千葉県や伊豆大島の農業被害は深刻化しています。

千葉県における農業被害額は分かっているだけで年間約100万円、伊豆大島における被害額は年間300万円以上とのことです。

伊豆大島の被害額が多いのは、特産品であるアシタバを中心とした被害が深刻化しているためのようです。

 

キョンの駆除対策

キョン

千葉県と東京都では、キョンの個体数を減らすべく防除計画がそれぞれで立てられています。

キョンを駆除するために用いられているのは主に”箱罠”です。

千葉県南部で農作物を荒らすのは、キョンだけではなくサルやイノシシなどもいます。

よって箱罠は共用のものを用い、おびき寄せるえさにはカキや米などを使用しています。

草食性のキョンを多く捕らえるには、さらに有効なえさを検討する必要性があるという状況のようです。

 

箱罠以外の駆除方法としては、地元猟友会による狩猟です。

キョンを銃でとらえ、尻尾を自治体へ持参すると報奨金がもらえます。

しかし、イノシシなどに比べると報奨金額が低いこと、キョンは小さくて狙いにくいと言った理由で、狩猟による駆除も思うように進んでいないようです。

 

伊豆大島でも箱罠や狩猟による駆除を行っており、箱罠以外にも首くくりわなを用いています。

そしておびき寄せるえさにはアシタバを使用しています。

また、千葉県、伊豆大島のいずれも、農作物をキョンや他の動物から守るために電気柵の設置が進んでいます。

 

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現状と今後の課題

キョンの捕獲実績はそれぞれで出ているものの、キョンの繁殖スピードのほうが上回るために個体数の減少にまでは至っていない状況のようです。

そのため、千葉県、東京都のいずれも防除計画を見直す必要に迫られています。

千葉県では、野生のキョンにGPSを取り付けて行動を把握することも検討しているようです。

もはや個体数が増えすぎて山奥にまで入り込んでいるため、キョンの個体数を把握するのも難しくなってきているのかもしれません。

 

キョンによる被害は農作物被害だけではなく、キョンに付着したヤマビルが人の住む地域に運ばれ吸血されたという被害も出ています。

また、キョンによる交通事故も多発しています。

 

さまざまな被害が出ている今、一刻も早くキョンの個体数を減らす必要があります。

しかし、キョンは外来種で有効な駆除方法が分からないこともあり、千葉県、東京都いずれも積極的に駆除に乗り出せていません。

 

原産地の中国南東部では食用とされていることから、キョンの肉を食用として用いると良いのではという意見もありますが、恐らくそれについても積極的には進まないでしょう。

千葉県では在来種であるニホンジカよりも個体数が増えてしまっているようです。

生態系がこれ以上崩れないためにも、駆除を強化していかなければならないでしょう。

 

まとめ

キョンとは小型のシカで、日本では特定外来生物に指定され駆除の対象となっています。

繁殖力が高いうえに天敵がいないキョンは近年爆発的に生息数を増やし、生息地では深刻な農業被害を出しています。

箱罠や狩猟による駆除を行っていますが、キョンの繁殖スピードのほうが上回るために個体数の減少にまでは至っていない状況です。

今後も個体数が増え続けないように、早急な対策が求められています。

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