南アメリカに世界最大のムカデがいることをご存知でしょうか。
大きいだけではなく、猛毒を持つ世にも恐ろしいムカデの名はペルビアンジャイアントオオムカデです。
今回は、ペルビアンジャイアントオオムカデの生態・毒性・危険性について解説します。
目次
ペルビアンジャイアントオオムカデとは
ペルビアンジャイアントオオムカデは、オオムカデ目・オオムカデ科・オオムカデ属に属する昆虫です。
学名は「Scolopendra gigantea」、英名は「Peruvian giant yellowleg centipede」「Amazonian giant centipede」、和名は「ペルビアンジャイアントオオムカデ」です。
他にも、「ダイオウムカデ」「ペルーオオムカデ」「ギガスオオムカデ」とも呼ばれます。
分布域、どんな場所に生息している?
ペルビアンジャイアントオオムカデの分布域は、南アメリカ西部や北部で、ブラジル・ペルー・ジャマイカ・カリブの島々などです。
ペルビアンとは「ペルーの」という意味になります。
生息地は熱帯雨林や亜熱帯雨林で、湿気の多い場所を好むため、湿った土壌・落ち葉・朽ちた倒木などにいます。
体の特徴
ペルビアンジャイアントオオムカデの体長は20~30㎝で、最大では40㎝を超える世界最大のムカデになります。
個体としては体長62㎝ほどのガラパゴスアイランドジャイアントが発見されましたが、種としては世界最大であることに変わりはないでしょうね。
体色は有毒生物に多いド派手な「警告色」で、頭の色は赤色、胴体の色はワインレッド、関節の色はピンク色、足の色は黄色となります。
平たくて硬い体をしていて、胴体は21~23個の節があり、それぞれに1対の足があります。
ムカデは漢字で書くと「百足」ですが、このムカデの場合、42~46本の足しかありませんね。
頭は盾のようになっていて、なんと呼吸は口ではなく、胴体の節々に小さな穴があってそこから酸素を取り込んでいます。
生態
ペルビアンジャイアントオオムカデの食性は動物食です。
昆虫類・クモ・サソリ・タランチュラ・トカゲ・25㎝ほどの小さいヘビ・10㎝ほどカエル、そして哺乳類のマウス、果ては小鳥やコウモリまで、“殺して”食べられるものなら何でも食い尽くしてしまいます。
コウモリなんてどうやって食べるのか不思議ですよね。
実はこのムカデ、洞窟の壁をよじ登り、天井からぷら~んとぶら下がると、飛んできたコウモリを空中でキャッチするというから驚きです。
こんなハンティングの仕方をするヘビもいますよね。
夜行性で、通常は地面を物凄いスピードで移動しながら餌を探しますが、時には木に登って餌を探すこともあります。
攻撃的な性格をしていて、獲物と格闘する場合には相手の体にたくさんの足をしがみつかせ、ときにはしがみついたまま獲物を食べてしまいます。
威嚇のポーズはヘビのように首を持ち上げるスタイルです。
このあたりもヘビに似ていますね。
ちなみにこのムカデはオスとメスが非常によく似ているため、区別が難しいとされます。
繁殖期になると、メスはフェロモンを出してオスをおびき寄せます。
オスには交尾器官がないので、精子は絹のような敷物の上に乗せて、メスがそれを受け取ります。
このムカデは生命力が強いことでも知られていて、昆虫でありながら、飼育下では大切に育てて10年以上も生きたという報告があります。
ペルビアンジャイアントオオムカデは危険? 毒はどんなもの?
ペルビアンジャイアントオオムカデの牙は鋭く、顎の力は強く、性格は獰猛なため、触ろうとするとすぐに噛みつこうとします。
毒成分は「アセチルコリン」「ヒスタミン」「セロトニン」「プロテアーゼ」などとされます。
ハチ毒に似ているため、ハチと比較されることが多いですね。
このムカデは体が大きいため毒の量も多いと推測され、小動物や体の小さい赤ちゃんや子供にとっては致命的となります。
過去に、4歳の子どもが噛まれて死亡したという事件もありました。
大人の人間が噛まれても致命傷にはなりませんが、激痛・腫れ・寒気・発熱などの症状が出ます。
ただ、子どもでも大人でも、首筋を噛まれると死ぬ危険性があります。
また、アレルギー作用が起きた場合は、ごく少量の毒が注入されただけでもアナフィラキシーショックにより呼吸困難に陥り死んでしまう事もあります。
ムカデに噛まれた時の対処法についてはこちらをご参考ください。
ペルビアンジャイアントオオムカデは飼える?
ペルビアンジャイアントオオムカデは、日本のとあるペットショップで7万円の値がつけられ、アメリカでは300ドルほどで売られています。
結構良いお値段ですよね。
餌は冷凍マウスやラットか、活マウスやラットになります。
比較的丈夫なのですが、飼育環境は高温多湿(28℃・80%)を好むため、体を弱らせないためにも20度以下の低温にならないよう注意が必要です。
あと、絶対に噛まれないようにしましょうね。
まとめ
ペルビアンジャイアントオオムカデは、最大では40㎝を超える種としては世界最大のムカデです。
毒があるだけではなく、顎の力は強く性格は獰猛です。
ペルビアンジャイアントオオムカデの、その毒性についてまだ詳しい研究がされていません。
それだけでも未知の恐ろしさがありますが、実はこのムカデ、ゴキブリも餌にしているそうです。
個人的にはゴキブリを食べてあの体が出来上がったのかと思うと、そちらのほうが毒性うんぬんより遥かに恐ろしいですけどね。