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特定外来生物ヌートリアの生態や被害、駆除、対策について

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特定外来生物とは、「外来生物法」より海外起源の外来種のうち、生態系や人間の生命、農林水産業に大きな被害を及ぼす、もしくは及ぼす恐れのある生物を指します。

有名な動物はアライグマで、農地や住宅地への侵入が大きな問題となっています。

アライグマ以外にも多くの動物が指定されていますが、その中にヌートリアという動物がいます。

おそらく東日本在住の方はご存じないかもしれません。

現在、西日本に多く生息し、アライグマと同様の被害をもたらしている動物なのです。

今回は、この特定外来生物ヌートリアの生態や被害、駆除、対策についてについて詳しく見ていきましょう。

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ヌートリアとは

ヌートリア

ヌートリアは、ネズミ目ヌートリア科に属する大型のげっ歯類で、南アメリカが原産地です。

“ヌートリア”とはスペイン語で“カワウソ(の毛皮)”の意味で、日本では昔、海狸鼠(かいりねずみ)、洋溝鼠(ようどぶねずみ)などと呼ばれていました。

 

ヌートリアはもともと日本には生息していない動物だったのですが、明治38年に上野動物園へ初めて輸入されました。

その後、第二次世界大戦中に毛皮は軍隊の防寒着用に、肉は食用に利用するために多数飼育されたのですが、終戦後は需要がなくなったため野に放たれました。

その後も飼育個体が放たれることによって野生化し、次第に西日本に定着するようになったのです。

 

現在、ヌートリアは人間や農作物に被害を及ぼす動物として特定外来生物に指定され、駆除の対象となっています。

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体の特徴

それではヌートリアの特徴についてご説明します。

ヌートリアは体長40~60cm、尾長25~45cm、体重5~10kgと大型のネズミで、見た目は小さなカピバラと言った感じです。

ヌートリア

体は毛で覆われており表面の毛色は灰褐色や黄褐色、内側の下毛は暗灰色をしています。

表面の上毛は長くゴワゴワしていますが、下毛は防水性が高く柔らかいです。

泳ぎが得意で主に水辺で生活しているため、このような毛質になっていると考えられています。

 

前後両足には鋭く強い爪があり、後ろ足には水かきもついています。

また、前歯は大きくオレンジ色で、げっ歯類であるため前歯はどんどん伸びていきます。

歯は非常に強力で、人間の指も簡単に切断できるほどの威力があります。

 

生態

ヌートリア

ヌートリアの日本における生息地は紀伊半島を除く近畿、中国、四国地方で、近年は東海、九州などにも生息域が広がってきています。

主に水辺に生息しており、湖沼や流れの弱い河川の土手に巣穴を掘って生活します。

巣穴は土手に穴を掘る以外にも、水辺にある草むらに草や枝などを集めて巣を作る場合があります。

 

ヌートリアが多く生息する地域ではいたるところに穴があり、ひどい場合には堤防が決壊する危険性が出るほどです。

食性は草食で、マコモやホテイアオイ、ヨシといった水生植物の葉や茎、地下茎を食します。

また、野菜や二枚貝を食べることもあるようです。

 

活動時間は朝夕で、昼間は巣穴で休んでいることが多いです。

非常におとなしい性格であるため人間に危害を加える危険性はありませんが、生態系や農作物には大きな影響を及ぼしているのです。

 

ヌートリアは繁殖期が決まっておらず、1年に2、3回出産します。

約130日の妊娠期間を経て、1~6頭の子どもを出産します。

子どもは十分に発達した状態で生まれてくるため1日もすれば自力で泳げるようになります。

母親が水面に浮かびながら授乳できるように、乳首は体側に4対ついています。

なお、ヌートリアの寿命は5~10年程度です。

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ヌートリアによる被害

さて、ヌートリアによる被害は実際どの程度なのでしょうか。

 

まず、生態系への影響です。

先ほども述べたとおり、ヌートリアは水生植物や二枚貝などを食します。

ヌートリアの個体数が増えるにつれて食べられる量も増加するため、既存の生態系への影響が懸念されています。

また、同じく水草や貝を食する水鳥との競合も心配されています。

 

次に、農作物への影響です。

ヌートリアはニンジンやサツマイモ、ダイコンといった根菜類、さらには水稲を食すため収穫量に大きな被害が出ています。

特に水稲の被害が深刻です。

また、田畑に巣穴を作ることで荒廃し、田んぼの畦を破壊することによる漏水藻問題となっています。

ヌートリア

ヌートリアによる損害額は、地域によっては年間1,000万円近く出ているところもあり、全国的にみると約1億円もの損害が出ています。

現時点でヌートリアには天敵がいないため、その個体数は増加する一方なのです。

被害を少しでも抑えるためには、捕獲や駆除を繰り返して個体数を減らすしかありません。

地域によっては、ヌートリアを駆除すると自治体から報奨金がもらえたり、農家を対象としたヌートリア駆除の講習会を開いているところもあるようです。

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ヌートリアの駆除対策と現状

では、実際にどのような対策が行われているのでしょうか。

 

まず、ヌートリアを捕獲するために”箱罠”の設置が行われています。

箱罠を設置する場所はヌートリアの巣穴の近くや休憩場所で、ヌートリアは主に水辺で生活するため、特に水辺に設置すると効果的のようです。

ニンジンやサツマイモなどの餌を用いて箱罠に誘導し、地道に捕獲していきます。

 

そして、田畑を守るためには、電気柵や防獣ネットを設置することによって侵入を防ぐことができます。

電気柵の周りに、ヌートリアの嫌いなネギやニラなどを植えるとさらに効果が上がるでしょう。

 

上記2点を農家に積極的に推進している地域が多く、平行して猟友会による捕獲も行われています。

 

ヌートリアによる被害を減らす環境作りも大切です。

ヌートリアによる田畑への侵入を防ぐために、農作物の収穫後は取り残しを放置しないようにと呼びかけています。

また、耕作放棄地はヌートリアが巣を作りやすいため、そういった場所を作らないことも大切です。

そして、田畑や巣穴の近くの草を定期的に刈り取ることによって、ヌートリアの移動経路を絶つことができるでしょう。

 

 

このように、ヌートリア対策に乗り出している地域が多く、地域によっては年間数百頭ものヌートリアを捕獲、駆除できているようです。

しかし、現状はなかなか農作物の被害額が減少しているというわけではなさそうです。

ヌートリアは年に2~3回も繁殖するため、駆除が追いつかないということもあるかもしれません。

 

また、京都などの観光地では、観光客がヌートリアに餌付けしてしまうため、本来夜行性のヌートリアが昼間も活動するようになってきているようです。

活動時間が増えれば当然被害も増えますね。

観光客だけでなく、理解のない地元住民による餌付けも行われているところがあり、自治体ではヌートリアへの餌付けをやめるよう呼びかけています。

 

まとめ

ヌートリアは、大型のネズミで見た目は小さなカピバラのような動物です。

農作物への被害や生態系への影響から、特定外来生物に指定され駆除対策がとられています。

 

もともと日本にはいなかったヌートリア。

人間による事情で野に放たれ繁殖していったにも関わらず、今は害獣として駆除されています。

何とも勝手な話ですが、生態系破壊といった事情も考えると、もはや人間の手で個体数を調整するほかないのでしょう。

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