都心に住んでいる人には、馴染みのない毒蛇。
せいぜい動物園やペットショップで目にするぐらいでしょう。
しかし、周囲を山に囲まれ、草木が生い茂る田舎においては毒蛇は身近な危険生物です。
代表的なのはマムシです。
今回は、マムシの特徴と噛まれた時の対処法や予防法についてご紹介させていただきます。
目次
マムシの特徴と生息地
学名 | Gloydius blomhoffii |
英名 | Pit Viper/Mamushi |
分類 | 有鱗目クサリヘビ科マムシ属 |
分布・生息域 | 北海道、本州、四国、九州 |
大きさ | 45cm~80cm |
マムシ(和名:ニホンマムシ)はクサリヘビ科マムシ属の毒蛇です。
マムシの見た目に関しては、全長は45cmから80cmほどになり、蛇の中では小型な方ですね。
胴が太く短いずんぐり体型で、頭は三角の形をしています。
濃い褐色~赤茶色で、銭形模様といわれる独特の模様があり、なおかつ柄の真ん中に色の濃い斑点があります。
マムシは南西諸島以外の日本のあちこち、北海道から九州まで各地に生息しています。
田舎では当たり前くらいに身近にいる生物で、皆それなりに対処法を心得ています。
水辺に姿を見せる事もあれば、土手、山の中、森林など広い範囲に生息しているヘビです。
基本的には夜行性です。
何を食べているかと言うと、主にはネズミ、トカゲ、カエルなどで、丸呑みにします。
前述したように、マムシは小型の蛇です。
それゆえ、見つけにくく思わず足で踏んづけてしまいその瞬間咬まれる事もあります。
このような蛇に出くわしたら危険信号を発動しましょう。
マムシの毒の恐ろしさ
マムシは毒蛇であり、その毒性の強さも知られています。
毎年3000人近く被害が出て、そのうちの10名くらいの方が亡くなります。
そして、マムシの毒は出血毒が主になります。
出血毒というのは、唾液と同じ消化液が高度に発展したものになります。
タンパク質を溶かしていき血管組織を壊します。
したがって、もしもマムシに咬まれてしまうと激痛に襲われた後、内出血が広がっていきます。
出血が起こるために患部は膨れ上がって、症状が重い時には循環障害のために筋肉細胞が壊死してしまう事すらあります。
手当が間に合わない時や、咬まれた箇所や注入された毒の量によっては循環器全体や腎臓にも障害が起こり、最悪は死んでしまいます。
こんな事で一足先にお墓に入るなんて嫌ですよね。
そこでマムシの被害を防ぐために予防について見ていきましょう。
マムシは案外臆病
マムシのイメージとしては、毒蛇ですごく凶暴そうに思うかもしれません。
しかし、この蛇は基本的に臆病者なのです。
ですから、多くの場合は自分から襲ってくるような事はありません。
もちろん、こちらから攻撃をふっかけると向こうも反応するかもしれませんが…。
また、マムシに気づかずに踏んづけたりしても防御反応で咬んできます。
マムシの危険な時期!
普段は臆病で大人しいマムシですが、比較的危険な時期というものがあります。
それは、6~9月頃の夏場です。
なぜなら、この時期のメスは妊娠しているので、神経質になり攻撃的だからです。
また、マムシは夜行性ですが、妊娠中のメスは昼夜問わず獲物を探して徘徊したり、代謝をあげるため日光を浴びたりするので、人間との接触が多くなる時期なのです。
マムシの対策予防
一番いいのは、とにかくマムシやマムシが居そうな場所に近づかない事です。
でも、近づかない方がいいとは言ってもどうしても、山の中や水辺に行きたい時もありますね。
また、いくら注意しても蛇はどこにでもいるので、全てを防ぐ事など現実的には難しいです。
お子さんがいる家庭は、特に注意して欲しいのは子供が蛇を見て、好奇心で捕まえようとすることですね。
蛇の危険性について、子供にしっかり教えておきましょう。
服装で予防
農作業や昆虫採集、キャンプや釣りで山に入るという機会もあるでしょう。
そんな時には、まず服装に注意する事です。
マムシ対策になる服装として、まずは履物を考えてみましょう。
まず、草履や素足は露出が多過ぎなので絶対だめです。
これではマムシが咬もうと思えば簡単に咬めてしまいます。
できる事なら、マムシ対策には登山靴か長靴がいいでしょう。
マムシの毒牙は短いため、厚手の服を着ているだけでも、予防となります。
なるべく、肌を露出させない方が良いので、上着も長袖の厚手のものが好ましいです。
ズボンに関しても、デニムや作業服といった厚手の物で、タイトなズボンよりもゆったりめの長ズボンがいいでしょう。
注意すべき行動
ここで、マムシが生息していそうな場所を歩く際に気をつけるべき行動をまとめてみます。
・茂みや藪の中はできるだけ避けて歩く
・岩陰や石垣の隙間、倒木の下、穴の中、などに確認せずに手を入れない(マムシが隠れる場所)
・山中や河原で座るときは、ちゃんと座る場所の周囲まで確認する
・夜に歩き回らない(マムシは夜行性)
・ガケなどを登るときは、次に手を置く場所をよく見てから登る
・死んでいるように見えるヘビにも触らない(気絶しているだけや、頭の筋肉がまだ生きており咬まれることもある)
また、山や草むらを歩く時などは、これから自分が歩く所の、地面や草むらめがけてガサガサを音を立てて、棒を振り下ろすといった方法もあります。
棒でたたく事により、臆病なマムシは人間の気配を察知して逃げていくという狙いですね。
しかし、意図せずマムシの頭を叩いてしまって反撃されたり、ハチの巣を叩いてしまったり、といった可能性もあるので注意しましょう。
咬まれた時の対処法
マムシの被害に合わないように予防はしていても、それでも防ぎきれない時もあります。
マムシに咬まれると、その直後は針で突かれたような痛みしかありませんが、次第にじんじんと痛み出します。
咬まれた時の対処法としては、まず、咬まれた箇所よりも心臓側の10cmの位置で、タオルや紐などを使い結んで圧迫します。
ですが、毒が回らないようにとあまりにも強く締めすぎて、血行が止まるとかえって良くないので、目安として指1本程度は入るくらいのゆとりを持って縛りましょう。
それから、できる事なら毒蛇に咬まれた時に、その毒を吸いだせるアウトドアグッズも所持していると便利です。
専用器具で毒を吸い出す事ができるからです。
それから何よりも大事な事は、慌てず安静にしつつ即座に病院に向かう事です。
可能であれば、確認のためにスマホで咬まれたヘビの写真を撮っておき、聞かれたら医師に見せるといいでしょう。
対処法と言っても、自分でできる事は応急処置でしかありません。
マムシに咬まれて人生を終えてしまう人もいますが、その人達の多くは何かしらの理由により病院に行かなかった人です。
死なないまでにしても、後遺症が残ってしまう例もあるので、病院へは必ず行くようにして下さい。
口で吸い出すのはNG?
よく聞く応急措置で、口で直接毒を吸いだすというものがありますよね。
しかしこの方法は、口の中に傷があった場合、体内に毒が回ってしまう可能性があるのでおススメしません!
虫歯、口内炎、歯周病など自分でも気付いていない傷があるかもしれないので、止めた方が良いでしょう。
アウトドアに出かける際は、できる事なら、毒を吸いだせる専用器具を持っていきましょう。
ポイズンリムーバーという毒を絞り出す道具があるので、念のため準備しておくのも良いでしょう。
まとめ
マムシ(和名:ニホンマムシ)はクサリヘビ科マムシ属のヘビで、出血毒を持つ毒蛇です。
基本は大人しい性格ですが、夏場は攻撃的になるので気をつけましょう。
河原の草むらや山に入るときは、厚手の長そで長ズボンを着用し、万一噛まれた際はすぐ病院へ行くようにしましょう。
田舎で暮らしている人は、マムシの怖さを小さい時から人の話を聞いて、学習していきます。
例えば、近所のおばあちゃんがマムシにやられて足がパンパンに膨れ上がったとか、犬を散歩していたら犬が咬まれて顔がブクブクに膨れたなど。
マムシは私たちの身近にいる危険生物ですから、いつあなたが咬まれても不思議はないのです。
対策はしっかりしておきましょう。
マムシについてはこちらの記事もご参考下さい。
⇒アオダイショウの幼蛇とマムシは似てる!?見分け方や違いについて!