アジア最強の毒蛇と呼ばれるアマガサヘビは、白と黒のコントラストが美しい中~大型の蛇です。
その毒性は強く、オーストラリアに生息する猛毒蛇に次ぐとされます。
インドでは四大毒蛇として恐れられているアマガサヘビ。
今回は、アマガサヘビの生態や危険性、毒性に関して情報をまとめました。
アマガサヘビとは?
アマガサヘビは、コブラ科アマガサヘビ属に分類される蛇の総称です。
学名は「Bungarus multicinctus」で、英名では体の模様の特徴から「Many-banded krait」と呼ばれます。
日本では「キイロアマガサ」「タイワンアマガサ」「インドアマガサ」などが知られ、特定動物に指定されています。
生態
アマガサヘビは夜行性なので、狩りは夜に行います。
日中は石の隙間や穴の中に隠れています。
寒くなると休眠して、4~11月ごろの暖かい時期に活動しています。
動物食で、ウナギなどの魚類・カエル・ネズミやうさぎなどの小型の哺乳類・トカゲなどの爬虫類といった生き物を餌にしています。
特に魚類が好物のようです。
また、他のヘビ類も食べてしまい、有毒無毒関係なく卵まで食べます。
アマガサヘビの繁殖方法は卵生です。
交配は夏季で、メスは1度の産卵で3~12個の卵を産みますが、最多で20個も産むことができます。
産卵後はメスがそばにいて卵を守っており、卵は1ヵ月半ほどでふ化します。
アマガサヘビ(タイワンアマガサやマルオアマガサ)の性格は比較的大人しく、攻撃性は低いとされます。
しかし、インドアマガサは咬みつくとなかなか離れず毒性も強いことから、インドでは四大毒蛇の1つとして恐れられています。
分布域と生息環境
アマガサヘビの分布域は、
・中国南部(海南、安徽、重慶、四川、広東、広西、香港など)・インド・台湾・ベトナム北部・ラオス・ミャンマー
などです。
アマガサヘビは地上で生活をしています。
海面から1500mまでの標高の範囲で、平地・草原・湿原・沼地・熱帯雨林・マングローブ・竹林・低山地・山の斜面・農耕地・水路・居住区などの水辺や湿度の高い場所に生息しています。
さまざまな場所に生息していますが、特に平地の水辺を好むようです。
生息密度が高いため、人間の居住区にも現れ、アマガサヘビにかまれる被害が多く出ています。
また、下水溝から民家に侵入し屋内で咬まれる事故もあるようです。
体の特徴
アマガサヘビの体長は通常、1~1.5mの範囲内ですが、記録に残る最大サイズは1.85mです。
ふ化直後の仔蛇は25㎝ほどです。
毒蛇に多く見られる三角頭はそれほど目立たず小型で、頸部のくびれもわずかなので、ぱっと見は無毒の蛇に見えます。
牙は小さく、胴体は輪切りにすると三角形です。
体色は黒色で、21~30ほどの白色かクリーム色の横帯模様が入ります。
頭部は黒色、腹部は白色かクリーム色、舌はピンク色です。
小さい目は、顔の色と同じ黒色なので、どこにあるのか見えにくいです。
天敵や捕食者は?
アマガサヘビの天敵は主に人間です。
生息地を破壊して彼らの生息地を奪い、医学研究用として捕獲するからです。
捕食者も人間です。
広東料理や台湾料理では蛇を使った伝統的な料理があり、ヘビ専門のお店があるほどです。
蛇のスープが有名で、秋に食べると冬の間は風邪をひかないとされます。
3種のヘビを使ったスープ「三蛇羮」と5種のヘビを使ったスープ「五蛇羮」の、どちらにもアマガサヘビは使われます。
アマガサヘビの毒はどんなもの?
アマガサヘビの毒は、主に神経毒でブンガロトキシンと呼ばれています。
しかし、神経毒の割合が多いだけで、出血毒もわずかに持っています。
出血毒と比べ、神経毒は毒の回りが早いので致死率が高いとされます。
毒は強く、人間の致死量は2~3mgで、成人男性12人を殺すことができる量を持っています。
特に、インドアマガサは毒性と性格が相まって、噛まれると致死率が50%にもなると言われています。
咬まれた時の症状
アマガサヘビにかまれても痛みはなく、少しの痒みと麻痺を感じる程度です。
ただ、かまれてから1~6時間で徐々に症状が出始めます。
症状としては、瞼が下がる、視界がぼやける、胸の不快感、痙攣、筋肉麻痺、声が出ない、物が飲み込めない、呼吸困難、などですね。
毒の特徴として、筋肉の動きを止める作用があるため、主な死因は呼吸停止や心肺停止です。
まとめ
アマガサヘビは、アジア各地に生息する横帯の縞々模様が特徴の毒蛇です。
アマガサヘビ(タイワンアマガサやマルオアマガサ)は穏やかな性格なので、もし遭遇しても、大抵はヘビのほうから逃げてくれるか、フリーズして動かなくなるので、退路を塞いだり、脅かしたりしなければ、かみつかれません。
ただ、自分から好んで攻撃はしてきませんが、人間の近くでも数多く生息しているため、誤って踏まれたり、暖かい寝床に入り込んでしまったりして、かまれてしまう事故が多いようです。
アジア最強の猛毒蛇と恐れられているアマガサヘビですが、そのヘビですらスープの食材にしてしまう中国料理にはただただ驚きです。
とても美味だという口コミもあり、中国料理なら間違いなく美味しいと思うので、ちょっと食べてみたい気もしますよね。