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イタヤラ(ゴリアテグルーパー)はサメもひと飲み!?その生態や危険性について

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イタヤラ(ゴライアスグルーパー)は、「巨大人食い魚」「殺人魚」「モンスターフィッシュ」としてその名を知られていますが、「怪魚釣り」の対象としても魅力的な魚になります。

今回の記事では、イタヤラ(ゴライアスグルーパー)の生態や危険性について解説しますね。

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イタヤラの種類

イタヤラはタマカイの異種とされ、スズキ目・ハタ科・マハタ属に属する魚です。

学名は「Epinephelus itajara」、英名は「Atlantic Goliath Grouper」「Goliath grouper」、和名は学名や英名に由来する「イタヤラ」「ゴライアスグルーパー」「ゴリアテグルーパー」などになります。

 

世界的にはゴライアスグルーパーと呼ばれていますが、日本では、「旧約聖書」の日本語訳の影響か、「天空の城ラピュタ」の影響か、「ゴリアテグルーパー」と呼ばれることも多いですね。

若い人には後者の影響が大きいでしょう。

作中では、ファンタスティックな世界に突如として現れた、大型空中戦艦「ゴリアテ」のクールなカッコ良さが印象的でした。

魚の方の「ゴリアテ」にもちょっと似ていますよね。

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分布域、どんな場所に生息してる?

イタヤラの分布域は、北の方から順に、アメリカのフロリダ州・バハマ・カリブ海・ブラジルになります。

まれに一部の個体は、北は大西洋側のアメリカ合衆国の北部、南はペルー・東は大西洋側のアフリカ大陸・西は太平洋側の北米大陸南部と南米大陸北部にも分布しています。

 

生息地は、熱帯水域で、水深が浅い沿岸部のサンゴ礁・岩・泥底・難破船などを住処にしています。

幼魚は、淡水と海水が混じる汽水域・マングローブの湿地・牡蠣の養殖場などを住処にしていますね。

5~6年ほど経ち、体長1mほどに成長すると、サンゴ礁などに移動します。

 

体の特徴

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)

出典:wikimedia

イタヤラは成長すると、体長約2.5m、体重約360㎏にもなります。

タマカイと同じくらいになり、大西洋で最大の魚になりますね。

 

体色は、茶色がかった黄色・灰色・緑色などで、体には黒い斑紋があります。

成長するほど体色は濃くなり、体長1m未満の若い個体では3~4本の褐色の縦縞が側面に見られます。

 

小さい目と大きなタラコ唇が意外とユーモラスですが、いかんせん巨大すぎるので、ダイビング中に遭遇したらパニックを起こしそうです。

下あごには、3~5列の歯が生えていて、鋭い歯は獲物を噛みちぎるためではなく、逃げないように押さえつけるためにあるので、獲物はいつも丸のみです。

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食性、サメもひと飲み!?

イタヤラの食性は動物食で、主にカニ・エビ・ロブスターを食べています。

他には、その他の甲殻類・魚類・タコ・若いウミガメなども餌にします。

成長して大きくなったイタヤラは、レモンサメやバラクーダといった大型で危険な魚すら食べてしまいます。

 

繁殖期以外は単独行動をしていて、餌が豊富なサンゴ礁などに潜み、獲物が近づくのを待って狩りをします。

餌が豊富にあるのでほとんど動かずに狩りができますが、日和見性の魚なので「あ!チャンス!」と思えば、積極的に住処から出てきて狩りをすることもあります。

釣り人の竿にかかった体長1.2mほどのサメを「さっきから同じところでサメがジタバタしてるけど、もしかして食べれそう?」と思ったらしく、イタヤラが横取りした例もあります。

イタヤラが1.2mほどのサメをひと飲みにする動画↓

 

イタヤラは危険な魚?

イタヤラはダイバーを襲う魚としても知られていて、餌だと勘違いすると、ソ~っと、ゆっくりとダイバーに近づいて食べようとします。

凶暴な性格ではありませんが、なにやら地味に恐ろしい魚です。

近寄ってきたイタヤラがダイバーの足に・・・↓

 

異種であるタマカイも含めると、世界各地で人が巨大魚に丸飲みにされたという話も残っています。

UMAやオカルトを扱うアメリカのTV番組「モンスタークエスト」では、1950年代、フロリダ州フロリダキーズの橋で海に飛び込んで遊んでいた少年が、イタヤラに襲われて死亡したとも報告しています。

もし超巨大なイタヤラがいれば、人間と食べてしまうことも可能でしょうね・・・。

 

繁殖の方法

詳しいことは不明ですが、イタヤラは産まれた時はメスばかりで、ある年齢に達すると一部がオスに性別を変えます。

 

オスは生後4~6年で体長110~115㎝以上、メスは生後6~7年で体長120~135㎝以上になると繁殖が可能です。

昔は繁殖期の6~12月(主に7~9月)になると、受精率を高めるために100匹ほどの群れを作っていましたが、現在では生息数が減ったため20~40匹ほどの群れになっています。

産卵場所は難破船や岩棚などです。

 

天敵は? 捕食者はいる?

成長したイタヤラは、海の中では食物連鎖の頂点にいるため捕食者はいません。

以前は美味な魚として人間に捕獲されていたので、人間が最大の捕食者でしたが、アメリカやカリブ海では1990年代から捕獲が禁止されました。

体が小さいうちは、自分よりも大きなバラクーダやサメといった肉食魚の餌になります。

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イタヤラは絶滅危惧種?

イタヤラは、ほとんど動かず、繁殖期になると群れる習性があります。

そのため、巨大で恐ろしい外見に似合わず、あっさりと人間に捕まってしまい、20世紀の終わりには絶滅寸前にまで生息数が激減しました。

さらに環境破壊によって生息地が減少したことにより、いっそう数は減り、今では絶滅危惧種…しかも3段階に分けられたうち、最も絶滅のリスクが高い「絶滅寸前(CR)」にカテゴライズされました。

 

そのためアメリカやカリブ海では現在も保護されており、最近では少しずつですが個体数を戻しつつあるそうです。

 

まとめ

イタヤラ(ゴリアテグルーパー)は、アメリカからブラジルにかけて生息する、体長約2.5m、体重約360㎏にもなる巨大な魚です。

 

イタヤラは比較的身近にいて調査しやすい魚と言えますが、生息数が激減したこともあり、その生態は不明な点が多いですね。

寿命は50年ほどと推測されます。

楽園のような海を住処にするには少々ゴッツイ魚ですが、うっかり人間を食べようとすることはあっても、実際は特別獰猛な魚ではありません。

無事に生息数が回復すると良いですね。

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