春以降、暖かくなってくると海のレジャーに行こうと計画をされる方も多いかと思いますが、まさにこの時期、気をつけたいのがクラゲによる被害です。
万が一、クラゲに刺されてしまったらどんな症状が出るのでしょうか?
そして刺され時にはどう対処したらよいのでしょうか?
今回は、日本近海に多く生息する、アカクラゲの生態や毒性、刺された時の症状と対処法についてについて紹介していこうと思います。
目次
アカクラゲってどんなクラゲ?
アカクラゲは、鉢虫綱・旗口目・オキクラゲ科ヤナギクラゲ属に属するクラゲです。
北海道以南の日本の近海に広く分布し、春から夏に増えます。
アカクラゲは、その名前からも分かるように傘が赤っぽい色(赤褐色)をしており、16本の放射状の縞模様があります。
傘の大きさは15cm位、大きいものになると20cmを超えることもあります。
また、アカクラゲの特徴は長い触手です。
長さは1メートル以上あり、長いものでは2m位にもなります。
アカクラゲの長い触手には、刺胞と呼ばれる小さな袋がたくさん付いていて、この中に毒液の詰まった針(刺糸)があります。
本来はこの刺糸を使って小魚などを捕らえ、食べているのですが、人が触手に触れることでも刺糸は発射されてしまいます。
海中でクラゲの存在に気づくのは困難な場合もある為、サーファーや海水浴客などが、クラゲの存在に気づかないうちに刺されていたという事が多いようです。
また、釣り人が仕掛けに絡まったドロドロ、ヌメヌメしたものを手で取ろうとしたら、アカクラゲの一部だったという事で刺されることもあります。
もし、アカクラゲに触れた手で目をこすったりしたら大変ですね。
アカクラゲの別名
アカクラゲは、日本各地に生息しており、古くから馴染みのあるクラゲでもあるため、各地それぞれの呼び名があったりもします。
アカクラゲは、釣りの餌になっているため「アカンコ」とも呼ばれています。
また、傘には放射状に縞模様があり、これが日本軍の旗「連隊旗」に似ていることから別名「レンタイキクラゲ」と呼ばれてもいます。
さらには、死骸やちぎれた触手が乾燥すると空中に舞い上がることがあるのですが、この時刺糸(毒の針)を吸い込んでしまうとくしゃみを誘発するので「ハクションクラゲ」と呼ばれることもあります。
そして、このアカクラゲの粉末を戦に利用した人物の名前から「サナダクラゲ」という名前もあるのです。
その人物とは、大河ドラマで話題となった、真田信繁(幸村)だそうですよ。
アカクラゲの毒性、刺されるとどうなる?
アカクラゲに刺されると、火傷のように非常に強い痛みを感じ、患部はミミズ腫れや水ぶくれになってしまいます。
その後も、しばらくは痒みや痛みが続くようですが、1週間もあれば完治することが多いようです。
通常、アカクラゲの持つ毒は命に関わる程、強力なものではありません。
しかし、一度アカクラゲに刺されたことのある人が再び刺されてしまうと、呼吸困難など命に関わる状態を引き起こす、アナフィラキシーショックという重篤なアレルギー症状になる可能性もあり非常に危険です。
死骸が海岸に打ち上げられることがありますが、死骸にも毒は残っているので、決して素手で触ってはいけません。
刺されてしまった時の対処法
万が一、アカクラゲに刺されてしまったらどうしたらよいのでしょうか?
応急処置の方法についてご紹介していきます。
1、刺されたら、まず、できるだけ早く海から出ましょう。
痛みでパニックを起こしたり、ショック症状を起こして溺れてしまう可能性もありますので、まずは速やかに陸に上がりましょう。
2、患部をこすらないように海水で洗い流し、刺胞がくっついている場合はきれいに取り除きましょう。
症状が軽微な場合、まず、刺されたところを海水で洗い流しましょう。「海水で」というのが重要なポイントです。
真水や水道水で洗い流すと毒液が発射され、体内に入りやすくなります。注意してください。
クラゲの触手が皮膚に残っている場合は素手で取ろうとはせず手袋をしたり、ピンセットや毛抜きなどを使って取り外しましょう。
3、患部が腫れている場合は冷やす、薬を塗る
刺されたところをアイシングすると、痛みを和らげることができます。
症状が軽い場合は応急処置後、市販の薬である程度対処ができます。
痒みがある場合は抗ヒスタミン薬の塗り薬を、腫れや赤み、炎症が強い様ならステロイドの入った塗り薬を塗りましょう。
4、アナフィラキシーショックが疑われるときは、すぐに医療機関を受診してください。
アナフィラキシーショックは、最悪の場合、死亡する例もあります。
アカクラゲに刺された後、呼吸困難、痙攣、吐き気など症状がある場合はすぐに病院に直行しましょう。
アカクラゲに酢はNG!
クラゲに刺されたらお酢をかければ良いという話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは少し間違いです。
刺されたクラゲの種類によって対処の仕方は変わります。
アカクラゲの場合はお酢の効果はありません。
お酢が効くのはハブクラゲなどの一部の種類です。
刺された生き物が不明な場合は、酢やアルコールは使用しないほうがいいでしょう。
クラゲに刺されないための対策
最近の海水浴場は、クラゲ侵入防止ネットが設置されているところも多いので、ネットがある海水浴場内で泳ぐようにしましょう。
しかし、台風の後などは、ネット内にも侵入していることがあるので注意しましょう。
防止ネットが設置されていない海水浴場もありますので、特にお子様連れのかたは、防止ネットがある場所を事前に確認しておくことをおすすめします。
また、クラゲ侵入防止ネットがある海水浴場で遊ぶ時も、ネットには近づかないようにしましょう。
ネットにクラゲやちぎれた触手が絡みついている可能性もあるからです。
服装としては、ウエットスーツやラッシュガード、ロングTシャツや長ズボンなどを着用することにより、クラゲ被害を最小限にでき、日焼け防止にもなります。
できるだけ、肌の露出を少なくして泳ぐようにすることが大切です。
また、クラゲ予防ローションというものも販売されています。
こちらは、日焼け止めも兼ねて肌に塗るものですが、ケチらずガッツリ塗るとそこそこ効果もあるようです。
クラゲ対策グッズは通販で買える?
クラゲローションやラッシュガードなど、クラゲ対策グッズは通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーからそれぞれの検索結果をチェックしてみてください。
まとめ
アカクラゲは、その長い触手に毒を持ち、刺されると激しい痛みに襲われ、ミミズ腫れや水ぶくれといった症状が現れます。
クラゲに刺されないためには、クラゲ侵入防止ネットがある海水浴場を選び、ラッシュガードを着用するようにしましょう。
刺された場合、応急処置はできますが、刺されたクラゲの種類の判断は難しく、刺されてからしばらくして症状が悪化する事もありうるので、刺されたらまず病院に行くということも考えておきましょう。
ふわふわと優雅に水中を漂う姿を見ているとなんだか心が癒されるという方も多く、水族館で人気が高まっているのがクラゲという生き物です。
最近では、ペットショップなどで購入ができるので、自宅で飼育している人がいる程です。
実際、クラゲにはヒーリング効果があるというのを聞いたことがあります。
仕事や、人間関係など、何かとストレスを感じることの多い現代社会、そこで生きる私たちの姿を投影しているのかもしれませんね。
でもやっぱり、刺すから危険な生き物だというイメージを持つ方も多いのは事実でしょう。
危険と癒し、全く正反対のイメージですよね。
このギャップこそがクラゲに多くの人が魅了される理由なのかもしれません。
クラゲに刺された場合の知識を持って、海のレジャーを楽しんできてくださいね。