皆さんは、クラゲという生き物に対してどんなイメージを持ってますか?
クラゲは刺すから、危険な生き物だというのが大半の方が持つイメージだと思います。
確かに、夏場になると海水浴場で被害に逢う人が増えるという話をよく聞きますよね。
これが悪いイメージを持たれる最大の理由ではないでしょうか。
反面、その幻想的で綺麗な姿が癒されると、観賞用のペットとしての人気もあるそうです。
危険と癒しという相反する2つのイメージを持たれているクラゲですが、一体どんなふうに生きているのでしょうか?
今回は日本中の海で見られる最もポピュラーなクラゲの一つである、「ミズクラゲ」の知られざる生態や毒性についてお話をしていきたいと思います。
目次
ミズクラゲとはどんなクラゲ?
ミズクラゲは、鉢虫綱・旗口クラゲ目(ミズクラゲ目)・ミズクラゲ科に属するクラゲです。
北緯70度~南緯40度までの世界中の海に生息していて、日本でも最も多くみられるポピュラーなクラゲです。
ミズクラゲの大きさは約10~15センチ、大きい個体だと約30センチくらいになります。
体の表面に4つの花びらのような模様があるのが特徴で、この模様は生殖腺です。
この模様が4つの目に見えることから「ヨツメクラゲ」という別名もあります。
主に水中のプランクトン、時には小魚を食べて生活しています。
泳ぐ力は弱く、水の流れに乗り漂っています。
ミズクラゲには心臓も眼もない?
ミズクラゲには、心臓がありません!
不思議ですよね。
心臓がないのにどうやって生きているのか?と思われるかもしれませんが、実は、体全体の動きそのものが心臓と同じ役割を果たしているのです。
クラゲは常に傘を閉じたり開いたりしていますよね。
あの動きによって体全体に必要な栄養などを循環させているのです。
眼についてですが、私たちのイメージするような眼ではなく眼点という小さな感覚器が傘の縁についています。
映像がはっきりと見えるわけではなく、光を感じる程度と言われています。
ミズクラゲの世代交代
ここで、ミズクラゲの繁殖についてお話します。
まずは、オスが精子を水中に放ち、メスが体内に精子を取り込み受精させます。
すると卵から、楕円形のプラヌラと呼ばれる幼生が生まれます。
冬が近づいてきて、水温が下がり始めるとプラヌラは岩場や、ブロック塀などにくっつきポリプという状態に変化します。
ポリプは見た目がイソギンチャクそっくりで、触手を使ってプランクトンを捕まえて食べます。
ポリプは植物のように根を生やして、数が増えていきます。
やがてポリプの体にはくびれができ始め、ストロビラと呼ばれる状態に変化します。
春頃になると、くびれがどんどん増えてお皿が積み重なったようなエフィラと呼ばれる状態に変化します。
その1枚1枚は泳げるようになり、水中へと泳ぎだしていきます。
その姿は花びらの様です。
泳ぎだしていったエフィラはプランクトンを食べ、小さなクラゲの形に成長、やがて大人の姿になっていきます。
ミズクラゲは、有性生殖と無性生殖、2つの生殖方法で増えていきます。
受精からプラヌラ誕生までが有性生殖、ポリプ以降が無性生殖です。
これを繰り返すことを「世代交代」と呼びます。
ミズクラゲは、幼体の頃から姿、形を大きく変えながら私たちの知るクラゲの形になっていくのです。
ミズクラゲの毒性
自宅で飼育できて、観賞用になるくらいだし、ミズクラゲには毒は無く刺さないのでは?と思われる方も結構多いでしょうが、実は毒を持っています。
その毒の強さは、猛毒を持つことで有名なハブクラゲの4分の1だそうです。
ハブクラゲについてはこちらを参考に。
そこそこ、強い感じがしますよね。
しかし、ミズクラゲは触手がとても短い為、万が一刺されても皮膚の中まで届かず、気づかないことがほとんどなのです。
ただし、唇のように皮膚の薄いところを刺された場合や、子供や元々肌の弱い人は、かゆみ、腫れ、水ぶくれ、といった症状が現れ、チクチクした痛みを感じることがあります。
また、何回も刺されると呼吸困難などを起こすアナフィラキシーショックという重篤なアレルギーを起こしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
なんにせよ、ミズクラゲを見つけたら触らない、近づかないようにしましょう。
ミズクラゲに刺された時の対処法
ミズクラゲに刺される事で、大事に至ることはめったにありませんが、万が一ということもあります。
また、ミズクラゲ以外にも毒があるクラゲはたくさんいますので、刺された時の対処法を知っておきましょう。
1、刺されたら、まず、できるだけ早く海から出ましょう。
2、患部をこすらないように海水で洗い流し、刺胞がくっついている場合はきれいに取り除きましょう。
よく、酢やアルコールをかけるといった方法を聞きますが、刺された生き物によっては逆に毒の発射を促してしまうので、刺された生き物が不明な場合は、酢やアルコールは使用しないほうがいいでしょう。
また、患部を砂でこすってしまうと毒が広がるので絶対にやめましょう。
3、患部が腫れている場合は冷やす、薬を塗る
炎症を起こしている個所を冷やすことで、かゆみや痛みを抑えることができます。
冷やした後も症状が続く場合は、抗ヒスタミンやステロイドが配合されている薬を塗りましょう。
通常、ミズクラゲに刺された程度なら、これくらいで十分対処できると思います。
4、ショックが疑われるときは、早めに医療機関を受診してください。
急にくしゃみや鼻水が止まらなくなったり、呼吸困難や全身じん麻疹といった症状が次々に現れたら、アナフィラキシーショックの可能性があります。
すぐに病院へ行きましょう。
クラゲ対策グッズは通販で買える?
クラゲローションやラッシュガードなど、クラゲ対策グッズは通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーからそれぞれの検索結果をチェックしてみてください。
クラゲの大量発生による被害
海水温度が上昇することにより、クラゲの大量発生がおこり、年々被害が各地で増加しています。
特に漁業への被害は深刻だそうです。
具体例でいえば、
・クラゲが大量に網にかかることで、 網を揚げることができなかったり、網が破れてしまった
・クラゲと一緒にかかった魚が、クラゲに刺される事で鮮度が低下してしまう
・網にかかったクラゲを除去する手間と時間がかかり、作業効率が落ちる
といった被害が出ています。
また、クラゲの大量発生は全国の発電所にも大きな被害をもたらしています。
発電所の海水の取水口付近にクラゲが大量に押し寄せることで、出力が落ちてしまうといった被害が出ています。
ひどい地域では、一時的に運転が停止に追い込まれたこともあるのだそうです。
まとめ
以上、ミズクラゲについての紹介でした。
クラゲには悪いイメージを持つ人が多い一方で、最近ではふわふわと水中を漂う姿を見ていると癒しを感じるという人達もいて、ペットとして人気が高くなってきているそうです。
ミズクラゲの触手はとても短い為、刺されても被害が無い事がほとんどですが、子供や皮膚の弱い人が刺されるとかゆみや腫れといった症状が現れるかもしれません。
滅多に被害にあうことが無いとはいえ、ミズクラゲにも毒はあります。
観賞用に、クラゲをペットとして自宅で飼育する際も、念のため刺されないように気を付けましょう。