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危険なクラゲ

カギノテクラゲの生態、刺された時の症状と治療について

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今から10年以上前、神奈川県横須賀市で潜水作業を行っていた人々が相次いでクラゲに刺され、全身症状を引き起こしたため救急車で運ばれるという事故が発生しました。

また、長崎県橘湾でも採貝漁業者が海藻近くで作業していたところあるクラゲに刺されて全身症状が出たとの報告が出ています。

このとき海を調べて発見されたのはカギノテクラゲという小さなクラゲです。

いずれもこのカギノテクラゲに刺されたことが原因と判明し、徐々にカギノテクラゲの危険性が認知されるようになりました。

さて、ではこのカギノテクラゲとはどの程度危険なクラゲなのでしょう。

今回は、カギノテクラゲの生態、刺された時の症状と治療についてご紹介させていただきます。

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カギノテクラゲの生態

カギノテクラゲ

カギノテクラゲ 出典:http://opencage.info

まず、カギノテクラゲの生態についてご説明します。

カギノテクラゲは、ヒドロ虫綱淡水クラゲ目ハナガサクラゲ科に属するクラゲです。

傘の直径は1~2cm程度と小さく、傘の形は少し深めのお皿状をしています。

その傘の縁から短い触手が90本近く出ており、触手は名前の通り先端近くがカギ状に折れ曲がっています。

触手間には平衡器が触手とほぼ同数あり、また、傘のお皿部分には十字のひだ状になっている生殖腺が存在します。

 

体色は体は透明ですが、触手は褐色です。

生殖腺はメスは赤色や紫色、オスは黄褐色をしており、全体的にきれいな見た目であるため、観賞用として飼育する人も多いクラゲです。

 

カギノテクラゲは日本各地の沿岸に生息しています。

生息場所はガラモ、ホンダワラのような海藻に付着しており、テトラポッドの内側などにも生息しています。

カギ状に折れ曲がっている触手の先端には付着細胞があり、それによって藻などに付着することができます。

 

また、触手には強力な毒針の入った刺胞が存在し、カギノテクラゲは藻に近寄ってきた小魚類をその刺胞毒を利用して捕食するのです。

 

カギノテクラゲが生息するのに適した水温は15℃~20℃程度と言われており、実際日本でよく見かけるのは4月~5月頃です。

10℃以下や30℃以上の場合は生息しにくいようです。

そのため、夏の海水浴シーズンに人間が刺される被害は少ないですが、春先に潜水作業等を行う場合は注意が必要です。

 

ただ、カギノテクラゲの毒性は、生息地域によって強さが異なるようです。

北海道や東北の日本海側に生息するキタカギノテクラゲは毒性が強いと言われていますが、本州南側に生息するカギノテクラゲではあまり毒性は確認されていません。

このキタカギノテクラゲとカギノテクラゲは、以前は別の種類とされていましたが現在は同種と言われています。

そのため、カギノテクラゲによる事故は東北地方以北でより警戒する必要があります。

 

カギノテクラゲは、個体が小さいことに加え藻などに付着しているため海中で存在を確認することは難しいので、知らないうちに刺されてしまうことが多いのです。

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刺された時の症状

では、カギノテクラゲに刺されるとどのような症状が起こるのでしょうか。

 

まず、クラゲの毒はタンパク性毒(タンパク質を溶かす)が主ですが、溶血毒(赤血球を破壊する)や神経毒(神経細胞に作用する)などさまざまな成分も含まれています。

カギノテクラゲの場合、溶血毒は弱いですが神経毒が強く、刺されると全身症状が起こります。

 

刺された時は患部はさほど痛くありませんが、1~2時間ほどすると筋肉痛のような激しい痛みやしびれが起こります。

また、呼吸困難頭痛吐き気チアノーゼといった症状もあらわれます。

高熱とインフルエンザのような症状が出て入院したケースもあります。

 

幸い、死亡するほどの毒性ではないようです。

しかし、海中で全身症状があらわれた場合は溺れる危険性がありますし、チアノーゼなど重症の場合はできるだけ早く病院へ行く必要があるので決して油断してはいけません。

 

ちなみに、カギノテクラゲと似た症状が出るクラゲが海外にも存在します。

それはオーストラリアに生息するイルカンジクラゲで、一連の症状をイルカンジ症候群と言います。

イルカンジクラゲについてはこちらの記事を参考に。

見えない怪物!?イルカンジクラゲの生態とイルカンジ症候群について

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刺された際の治療

まず、速やかに陸に上がり安静にしましょう。

痛みでパニックを起こしたり、ショック症状を起こして溺れてしまう可能性もあります。

意識障害が起きる可能性もあるので、一人でいる際は早めに周りの人に助けを求めましょう。

 

患部をこすらないように海水で洗い流し、クラゲの触手が皮膚に残っている場合は素手で取ろうとはせず、タオルを使ったり、ピンセットや毛抜きなどで取り除きましょう。

 

症状を確認し、重症でありそうなら病院へ行き、クラゲに刺された事を医師に伝えましょう。

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刺された時にしてはいけない事

真水で洗う・・・真水や水道水で洗い流すと毒液が発射され、体内に入りやすくなります。

砂でこする・・・毒針のある刺胞を患部に擦り込むことになり悪化してしまいます。

触手を素手で除去する・・・取り除こうとした、指や手にも刺胞が刺さる危険性があります。

酢はNG!・・・酢は全てのクラゲに有効ではありません。カギノテクラゲの場合は悪化する恐れがあります。

 

刺されないためには

カギノテクラゲ

カギノテクラゲ 出典:http://opencage.info

さて、カギノテクラゲに刺されないためにはどうすればよいのでしょう。

 

カギノテクラゲは前述したとおり、藻などに付着しています。

よって、とにかく藻などカギノテクラゲが生息している可能性のある箇所に近づかないことが大切です。

 

漁などでどうしても近づかなければならない場合は、長袖長ズボン、潜水帽、グローブなどの着用により肌の露出を防ぎましょう。

 

春先に浅瀬で遊ぶような場合も注意してください。

ちょっとだからと油断せず、決して裸足で海に入ったり素手で何かを触ったりしないようにしましょう。

もし、泳いでいる際に少しでもチクッとした感覚があれば、何らかの有毒生物に刺された可能性を疑ってください。

全身症状があらわれるかもしれないので、すぐに海から出て確認をしましょう。

 

まとめ

カギノテクラゲは藻などに付着していることが多い小さなクラゲです。

毒性が強く刺されると、痛みやしびれのほか、咳や頭痛、チアノーゼといった全身症状も現れます。

 

クラゲというと海水浴シーズンである7月~9月頃に多くあらわわるイメージがあり、春先はどうしても油断しがちです。

実際、カギノテクラゲによる被害は春先にいたるところで起きています。

海に入る際は、春先にもクラゲに刺される危険性があることを認識し、クラゲに刺されないための対策を十分に行いましょう。

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