日本でも動物園の人気者カバ。
大人しそうな仕草でのろのろと歩き、水中にぷかぷか浮かんでるイメージがありますが、カバは見た目からとは真逆の動物です。
本当はあの短い脚とデカイ体からは想像できないほど物凄く俊敏で、水中では人間なら絶対に逃げ切れないほど速く移動することができます。
今回は、そんな可愛らしくも危険なカバの生態についてご紹介させていただきます。
カバの生態
学名 | Hippopotamus amphibius |
英名 | Hippopotamus |
分類 | 偶蹄目(鯨偶蹄目という説もあり)カバ科カバ属 |
分布・生息域 | サハラ砂漠以南のアフリカ大陸 |
大きさ | 体長3~4m、体重2~3t |
カバは、偶蹄目(鯨偶蹄目という説もあり)カバ科カバ属の動物です。
カバの成体の雄は4.2メートル、体重2トン前後にもなり、陸上生物の中ではゾウに次ぎ、2番目に大きい動物です。
カバは、一日のほとんどを水中で過ごしています。
カバには汗腺はありませんが、皮膚から赤い粘液を出します。
これは、カバの皮膚を乾燥や紫外線なら守ってくれる作用があるそうです。
昔はカバは血の汗をかくと言われていたそうですが、近年の研究の結果、粘液が赤い理由は、血液中に含まれているヘモグロビンを粘液にも含んでいるからであることが分かりました。
カバは哺乳類であるため、水中では呼吸ができませんが、鼻の穴は荒い毛で覆われており、水中では鼻の穴を閉じることができるような構造になっています。
もし水中で眠ってしまったときでも、90秒ほどの間隔で息をするために水中に顔を出します。
ちなみに、カバは水中で生活しているのに泳げない(泳がない?)そうです。
移動は、川底を歩いているのですね。
カバの身体能力
カバの皮膚はとても厚く、胸の皮膚で約4センチ、一番薄いお腹の皮膚でも1.5センチもあり、さらにその下には3~5センチにもなる脂肪があります。
この脂肪のおかげで、水中で自由に動けると考えられています。
カバはのろそうな見た目ですが、陸上では時速40キロで走れると言われております。
人類最速のウサイン・ボルトでさえ100メートルを約10秒ですので、時速に換算すると時速36キロになります。
ボルトでさえ追いつかれてしまう計算ですが、カバは持久力がないため人類最速でなくとも逃げ切ることは可能ではあるそうです。
しかしカバは水中ではさらに早く、時速60キロにもなると言われております。
前述したようにカバは泳げませんので、水中で走ってこの速度になります。
カバの下あごには40~50センチにもなる巨大な犬歯が2本生えており、口は150度くらいまで開くことができます。
このため、ほとんどの外敵を咥えて投げ飛ばすことができます。
水中でサメに襲われたカバが噛み付いて、次々に陸まで投げたという記録もあるそうです。
カバの俊敏性に関しては分かりましたが、フットワークの軽さはあるでしょうか?
あの巨体でジグザグ走行ができるかどうかということです。
もし近くに林や岩山などがあれば、もしかすると足の遅い人でも逃げ切れるかもしれませんね。
カバは肉食?草食?
カバは草食動物に分類されております。
カバは基本的に水中で生活しますが、魚はほとんど食べず、主に草や根、木の葉などを1日40キロほど食べます。
極稀に、動物の死肉を食べていたという報告があるそうですが、これは病気などが原因の特例と言われています。
日本の成人男性の平均的な体重は約66キロ、そして成人男性が1日に食べる量は1.5キロから2キロくらいだそうです。
それに対してカバは1日に体重の75分の1しか食べませんが、成人男性は33分の1から44分の1も食べております。
人間よりもカバのほうが燃費がいいってことですかね。
これはカバには体温調節の機能がない、つまり汗をかかないため、エネルギー消費が人間よりもかなり押さえれることにあります。
カバの危険性。ワニより強い!?
カバは異常なまでに縄張り意識が強く、20体ほどの群れで行動します。
縄張りにはマーキングをしますが、カバでマーキングをするのは群れのボスだけです。
ちなみに、カバのマーキング方法は、犬や猫などのおしっこと違い糞によって縄張りを主張します。
縄張りに入ってきたものは、人間はもちろんワニだろうとゾウだろうとライオンだろうとすべてのものに攻撃を仕掛けます。
カバにとって天敵となるのは、ゾウと群れで襲ってくるライオンくらいです。
しかし、ゾウは同じ草食なのでカバを襲うことは滅多にありませんし、成体となったカバは群れで狩りをするライオンでさえ退けることがあるそうです。
もちろん、カバの生活環境化でカバに敵うものはいませんので、カバにとって本当に天敵となるものは陸上のライオンだけになります。
噛む力は全動物中2位の力を持っており、1位のナイルワニが2000~2300キロであるのに対して、カバは1000キロです。
しかし、ナイルワニは大きいものでも体重が500キロしかないのに対し、カバは2000~3000キロありますので、総合的には圧倒的にカバのほうが強いでしょう。
実際、縄張りに侵入したワニに噛み付いて真っ二つにしたという話もあります。
そして、カバが最も恐ろしいのは、その重さにあります。
カバが相手を殺す方法は、基本的にのしかかりであり、カバの口に生えた歯は隙間だらけです。
噛む力が1000キロであるのに対し、体重は2000~3000キロもありますので、カバに噛まれるよりは追い掛け回されたほうが危険ということになりそうです。
また原産地のアフリカでは、年間で約2900人もの人がカバに襲われて死亡しています。
よくサメの死亡事故を比較されますが、サメによる死亡事故は年間で10件程度です。
これを見てもカバが人間に対してどれだけ危険性が高いかが伺えます。
まとめ
カバは見た目と裏腹に、俊敏なうえ凶暴な動物です。
年間2900人がカバに殺されているというのだから、その恐さがわかりますね。
日本に住んでいて野生のカバに出くわすことなど絶対にありませんが、仮に動物園でカバを見ているときにふざけて柵から身を乗り出すようなことは絶対にやめておいたほうがいいでしょう。
カバは縄張り意識が強いため、間違って縄張りの中に入ったなら間違いなく大事故に繋がります。
もし、動物園のカバが脱走したというニュースがあっても探しに行くのもやめましょうね。