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クズリは北欧動物最強!?勇猛果敢な小さな悪魔

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クズリという動物をご存知でしょうか。

イタチやラッコの仲間ですが、姿は小型のクマに似ており、獰猛な性質を持つため、小さな悪魔と呼ばれています。

日本の動物園では飼育されていないため、その姿を見たことがある方は少ないのではないでしょうか。

今回は、クズリの生態や人との関係性についてご紹介させていただきます。

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クズリの生態

クズリ

クズリ 出典:wikimedia

学名Gulo gulo
英名wolverine
分類食肉目イタチ科クズリ属
分布・生息域中国北部、モンゴル、北欧、ロシア、北米
大きさ体長65~105cm、体重10~15kg

クズリは、イタチ科クズリ属に属する哺乳類です。

主に地上で生活し、繁殖期以外は単独行動をしています。

単独でかなり広いテリトリーを持っており、オスは600~1000kmのテリトリーを持つと言われています。

オスのテリトリーの中には、2,3頭のメスのテリトリーが含まれています。

肛門の左右に1対の肛門腺をもち、肛門腺からの分泌物を木などにこすり付けてマーキングを行います。

 

夜行性ですが、餌を求めて日中も行動することがあります。

冬眠はしません。

 

平均寿命は5~7年程度と考えられていますが、飼育下では17年を超えたという報告もあります。

やはり、野生より環境の良い飼育下での方が長く生きられるようです。

これはクズリに限らず、他の動物にも言えることではないでしょうか。

 

食性は肉食傾向が強い雑食性で、ウサギやリスなどの小型の哺乳類からヘラジカなどの大型哺乳類、果実や種子も食べます。

持久力に優れており、1日に40km以上移動したり、10~15キロメートルを休まず走り続けることができるため,獲物が疲れるまで追い続け、疲れたところに襲い掛かり、捕えることもあります。

また、クズリは、冬眠している他の動物の巣穴を掘り返し、捕食することもあるようです。

ちなみに、大型の哺乳類など、一度に食べきれないときは、雪か土の下や木の上にばらばらにして貯蔵する習性もあります。

 

分布域は寒い地方

クズリは、ユーラシアクズリ(中国北部、モンゴル、北欧、ロシアなどのユーラシア大陸に分布)とアメリカクズリ(アメリカ合衆国やカナダに分布)に分けられます。

分類学では、亜種と考えられています。

 

主に寒帯、亜寒帯の針葉樹の茂ったタイガや樹木の生えていないツンドラ地帯に生息していますが、冬は低地、夏は高地へというような季節による移動もみられます。

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からだの特徴

体長は65~105センチ、体重はオスが平均15kg、メスが平均10kgで、ずんぐりとした体形をしています。

寒い地方に生息しているため、全身が長い毛で密に覆われています。

体色は黒から濃い褐色で、体の側面、尾の付け根にかけて明褐色の帯模様が入っています。

冬には足の裏が毛で覆われるため、雪の上でも獲物を求めて時速40kmで走り回ることができます。

 

歯は上下合わせて38本あり、長くしっかりとした4本の犬歯を持っており、クズリの獰猛さを感じさせます。

犬歯の後方には上下8本のしっかりとした前臼歯があり、あごの力も非常に強いため獲物の骨まで噛み砕くことができます。

 

小さな悪魔、北欧最強!?

クズリ

クズリ 出典:wikimedia

クズリは現地の人からは小さな悪魔と呼ばれ、北欧の動物界では最強だとも言われています。

 

前述したように、大型哺乳類に致命傷を与えられるほどの嚙む力の強さと、無尽蔵とも思えるスタミナを持ち、

・オオカミの群れに出会っても、避けることなく単独で向かっていく

・オオカミやピューマやクマなど、他の肉食獣が捕えた獲物を横取りする

・冬季で食料が乏しくなると、雪で身動きの取れなくなったトナカイやヘラジカなど、体重が自身の何十倍もある大型の哺乳類を襲って食べる

といった、勇猛果敢な性質を持つためでしょう。

我々から見ると、クズリは相手が誰であろう恐怖心がまったくなく、常に相手を倒すことに命をかけているようにさえ見えますね。

ちなもに、大型の哺乳類を捕える際には,木の上などから急所を狙って攻撃するそうです。

 

また、クズリは決して大きな動物でもなく、他の肉食獣と生息域が重なっているのにもかかわらず、捕食されることがないようです。

要は、実質的に天敵はいないということですね。

小さな体でこの強さなので、もしもっと大きなサイズだったら間違いなく最強だっただろうと言われています。

クズリのその負けん気の強さから、マスコットキャラクターやチーム名にしている学校やスポーツチームもあるようです。

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クズリの繁殖と子育て

多くの動物がそうであるように、クズリも一夫多妻制です。

ただし、ハーレムを作るのではなく、テリトリー内にテリトリーを持つメスと順繰りに交尾を行います。

繁殖期は4月下旬~7月です。

受精卵の着床が遅いため、着床は11月~翌年3月で、実際の妊娠期間は30~50日程度と言われています。

 

出産は1月~4月で1度に平均2~4頭の子供を出産します。

誕生時の体重は100g程度で白くてふさふさした毛に覆われています。

目は閉じており、歯も生えていません。

 

授乳期間は2カ月程度で、その後乳歯が生えてくると、固形物を食べ始めます。

ちなみにクズリは、近くに住むお祖母ちゃんクズリが母クズリの代わりに母乳をあげることもある、珍しい動物だそうです。

クズリの子供は成長が非常に早く、生後約1年で親と同じ体重になります。

 

生後1~2年までは母親と行動を共にしますが、その後は母親のそばを離れ、テリトリーを持つようになります。

性的成熟に至るには2~3年かかるようです。

通常1~2年に1回繁殖、出産を行いますが、食物不足など環境が悪化すると繁殖行動をとらないため、繁殖能力が強い種とは言えないようです。

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人との関係性

クズリは獰猛で危険な生物ですが、人を殺めたというような報告はありません。

 

また、クズリは子供の頃から飼うと、少しは人間にもなつくようです。

しかし持ち前の気の荒さからか、機嫌が悪いと襲い掛かってくる危険性はあるそうです。

 

クズリの毛皮は、雪をはじくうえに暖かいため帽子などに最適だとして、かつては商業目的の乱獲が行われていました。

また、ヒツジなどの家畜を襲う害獣として駆除の対象とされています。

さらに、近年クズリの生息地への人の侵入により、餌となる動物や生活場所が減少し、徐々に生息数が減少しています。

 

まとめ

クズリは、その小さな体で、どんな大きな動物にも怯まず戦いを挑む勇猛果敢な動物です。

アメコミのヒーローや、マスコットキャラクターにもなっている不思議な魅力のある生き物ですね。

 

しかし、人が生活地を拡大するにつれて、クズリの生息地は減少しており、また、生息地が人の生活地と重なることで、害獣として駆除される機会も増加しているようです。

今は絶滅危惧種に指定されていませんが、個体数は確実に減少しています。

1種類でも種が絶滅すれば、その生態系は大きく変化してしまいます。

クズリの絶滅を防ぐためにも、人とクズリの共存できる方法を考える必要もあるのではないでしょうか。

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