冬もそろそろ終わりを告げてアウトドアが盛んになるシーズンが近づいてきました。
晴れた日には山に遊びに行く人も増えてきます。
でも山には人間に被害が及ぶ生き物がいます。
その一つにはヤマビルがいます。
ヤマビルは、近年増加傾向にあり、被害にあったという人も増えています。
今回は、ヤマビルの生態や噛まれたときの対処法、対策に有効なアイテムについてご紹介させていただきます。
目次
ヤマビルの生態
学名 | Haemadipsa zeylanica japonica |
英名 | land leech |
分類 | 顎ヒル目ヒルド科 |
分布・生息域 | 秋田県以南 |
大きさ | 2cm~7cm程 |
ヤマビルとは、顎ヒル目ヒルド科に分類されるヒルの一種です。
陸に棲むヒルで、主に山奥や森などに生息しています。
国内では、南は沖縄から北は秋田県まで、幅広く日本各地に生息しています。
茶褐色で縦に縞模様があるのが特徴です。
体の長さは、円筒形で約2cmから5cm程度ですが、伸び縮みするので、体が伸びた状態では5cmから7cmぐらいになります。
シャクトリムシのように移動し、そのスピードは1分に1mほどだそうです。
体の腹の部分に吸盤がありますので、これを使い人や動物に引っ付き血を吸います。
ヒルは、血を吸う事で自分の体が何倍にも大きく膨れ上ります。
そして、これを支えるために強力な吸引力を持っています。
寿命は平均2~3年、長いもので5年程度です。
成体は、一度血を吸うと一年も吸わなくても生きられるそうです。
一度の食事で一年持つなんてすごいですね。
活動時期は4月から11月くらいまでになります。
一年の内で、一番活動を活発にするのは、生息や活動に適した時期にある6月から9月です。
この時には個体数も一番増えます。
日陰で湿気が多い所を好む傾向にあり、特に雨の最中や雨が降った後には元気になります。
ヤマビルは危険?
まず知っておきたいのはヤマビルというのは、毒や病気を移すような生き物ではない、という事です。
ですから、実はそんなにも危険な生き物とは言えません。
むしろ、血を吸う性質を利用して、あえて血を吸わせるヒル療法と呼ばれるものもあるくらいです。
しかし、血を吸われた傷口から感染症を起こす可能性がないとも言い切れませんし、何より気持ち悪いですよね。
また、ヤマビルは血を吸う際に、ヒルジンという物質を出します。
このヒルジンには、血液の凝固を邪魔する成分があるため、ヒルに血を吸われるとなかなか出血が止まりません。
長いと、5~6時間くらいは止まらないそうです。
その後も、かゆみが続き、完治するまでには1年以上かかったという話もあります。
ヤマビルの被害に合わないための服装
ヤマビルは隙を見つけたら、袖口やシャツの間や靴などいろいろな所から侵入してきます。
ですから、侵入を防ぐための服装が重要になります。
帽子をかぶる
そのためには、まずは帽子をかぶる事です。
ヤマビルは木の上にいる事もあります。
そして上から落下して吸血する時もあるのです。
これを防ぐためには頭を守る帽子が役に立ちます。
麦わら帽子のような形の、なるべくツバの長い帽子を選びましょう。
上着
次に上着の選び方です。
とにかく侵入する隙間を与えない事が大事ですから、ボタンタイプよりも、袖口がすぼまっているものがいいでしょう。
また、気づかぬうちに足元から這い上がってシャツの中に入られないように、裾はズボンの中に入れておくといいでしょう。
ズボン、ストッキング
もちろん半ズボンなど論外です。
長ズボンをはいて、ズボンの裾は靴下の中に入れるようにしましょう。
また、女性用のストッキングはヤマビルに非常に有効です。
網目でヤマビルは血を吸うことができないそうです。
男性の場合は、タイツやスパッツを履くことでヤマビル対策になります。
首にタオルを巻く
首にタオルを巻いておくと肌の露出を減らせます。
ヤマビルは上にも下にもいますから、這い上がってくる事もありますし、落ちてくる事もあります。
首にタオルを巻いておく事で侵入経路をブロックできますので、ヒルが侵入する事を許しません。
ヤマビルは、塩分を嫌うため塩水につけたタオルを使うと、なお効果的です。
靴下
次に靴下です。
これはできるだけ長くて、生地の厚いものがいいでしょう。
下にハイソックスを履いてから、ズボンの裾を靴下の中に忍び込ませたら、ヒルが侵入してくる通路を防げます。
靴は長靴やハイカットがいいでしょう。
これも、タオルと同じく塩水につけておくことで効果は増します。
スプレーを使って近づけない対策
ヤマビル対策専用のスプレーが販売されています。
ヤマビルに血を吸われる事を防ぐ事が目的です。
虫除けスプレーならぬヒル除けスプレーってことですね。
ヤマビルファイター
ヤマビル専用のスプレーだと、まずヤマビルファイターがいいでしょう。
この商品は忌避成分(ディート)をマイクロカプセル化しています。
使用の仕方は靴や長くつ、腕カバーやすねあてなどの上からスプレーします。
つまり保護したい部分にスプレーを吹っ掛ければかまいません。
ヤマビルファイターの特徴としては、ぞの効果が長く続く事で、1日中効果を持続します。
それどころかなんと、効果は1週間から長い時で2週間程度は続きます。
しかも水に強いので雨に濡れても大丈夫です。
これだけ持続性が長いのには理由があります。
この商品は忌避成分(ディート)を極小カプセルに閉じているので、空気中に拡散しにくいのです。
それに水性樹脂を含みますから、液剤は段々と固まっていき、雨や水にも流されにくい性質を持っています。
ヒル下がりのジョニー
このヒル下がりのジョニーは、ディートが使われていません。
ディートは、虫除けによく使われる成分で、非常に効果的で長持ちですが、人によってはアレルギーや肌荒れを起こす可能性があります。
肌が弱い人や、首にかけるタオルなど肌に直接触れるものに吹きかける際には、こちらのヒル下がりのジョニーがいいかもしれません。
血を吸われてしまった時は?有効なアイテム
いくら気を付けていても時には血を吸われる事もあります。
その時にはどうしたらいいでしょうか。
ヒルに咬まれた時には、そのままにしておくわけにはいきません。
1度吸いついたヒルは、例え自分の体がちぎれてもなおも吸いついているくらい力があります。
力任せにヤマビルを取り除こうとすると、傷跡が残りますし、焦って取ろうとしてもヒルの体はぬるぬるとしていますから、なかなか思うようにはいきません。
ですから、素手よりはピンセットを使うのがいいでしょう。
まず、ヒルをピンセットでつまみます。
そして、
・塩(塩水)、消毒用エタノール、アルコール、ヒル除けスプレー
のいずれかをかけると取れやすくなります。
また、ヤマビルにタバコやライターの火を近づけることも有効だそうです。
その際は、自身が火傷しないように気を付けましょうね。
しかし、何も持っていない時には、仕方ないので無理やりにでも、手で除去しましょう。
多少の傷が残る可能性はありますが、それは大した問題ではなくて、それよりもヒルにずっと血を吸われる方が問題です。
傷口の処置は?
咬まれた後には、まず血を押し出しましょう。
上で書いたように、ヤマビルはヒルジンという成分を分泌していますので、血と一緒に絞り出すようにしましょう。
その後、アルコール系のウェットティッシュなどを使い傷口を消毒して、綺麗に皮膚表面を拭き取ります。
最後に、ムヒなどの抗ヒスタミン剤をつけて、絆創膏やガーゼなどを張っておくといいでしょう。
まとめ
ヤマビルはそこまでは危険生物とは言えませんが、血を吸われると長い間血が止まらず、かゆみも続いてしまいます。
なによりも、茶色いナメクジみたいな生き物が、何匹も自分の血を吸いに来ると思っただけで気持ち悪いですよね。
山に入るときは、ヤマビル対処法を頭に入れておいて、血を吸われた時には冷静に対処しましょう。
・服装(帽子、首タオル、長袖長ズボン、ストッキング)
・所持品(食塩水、消毒用エタノール、アルコール、ヒル対策スプレー、ピンセット)
山に行く時にはヤマビル対策を万全に。