キリンと聞くと、
首が長い、背がとても高い、草食動物でおとなしい、まつげが長くて可愛い、動物園の人気者、etc.
このようなイメージを持つ方が大半であると思います。
キリンは、子供から大人まで誰もが知っているメジャーな動物ですが、その生態と思わぬ危険性についてはあまり知らないのではないでしょうか?
今回は、キリンの知られざる生態、長い首や舌の秘密、思わぬ危険性についてご紹介したいと思います。
目次
キリンの生態
キリンは、偶蹄目キリン科キリン属に分類される動物です。
野生のキリンは、アフリカ大陸のサハラ砂漠より南に多く分布しており、サバンナや草原地帯に生息しています。
キリンは、多くて20頭ほどの群れを作りますが、あまり繋がりが強いわけではなく、個体数や構成は頻繁に変わるようです。
草食性で、地面に生えている草よりも、主にアカシカの木の葉を好んで食べています。
また、葉から水分を摂れるため、あまり水を飲まなくても生活でき、乾燥した地域を好む傾向があります。
キリンの妊娠期間はとても長く15ヵ月ほどです。
1回の出産で1頭の子供を産みます。
生まれた子キリンは最初から体長2m近くあり、1年ほど母キリンから母乳をもらって育ちます。
キリンの首の秘密
キリンと言えば、最大の特徴はその首の長さです。
首の長さだけで2メートル近くあり、体の高さは5メートル以上に達します。
体重は1トン以上にもなることがあります。
スリムな見た目ですが結構重いのですね。
これは意外だったのですが、首の骨の数が7個で、実は人間の首の骨の数が同じなのです。
これは知りませんでした。
しかし、なぜこんなにも首が長くなったのでしょうか?
それは、高い場所にある植物の葉っぱを食べられるように進化していった、というのが最も有力な説です。
こうして他の草食動物との生存競争に打ち勝ち、現在の繁栄に至ったのです。
また、意外なのが、キリンの祖先はそんなに首が長くないという事実です。
不思議なのは首が長くなっていく進化で、中間となる祖先の化石がまだ見つかっていない事です。
今の姿になるまでは200万年程しかなく、これは生物の進化のスピードとしては異例の速さだそうです。
もしかしたらウイルスなどによる突然変異によって首が長くなったのかもしれないという説もあり、未だに詳しくは解明されていないのです。
キリンにも種類がある?
キリンってみんな同じに見えますよね?
でも実は種類がいくつかあります。
キリンは、これまでは大きく分けると1種類だけだと思われてきました。
※ただし、亜種に分けると12種類くらいに分けられます。亜種とは種の下位区分、生物分類上の単位の一つです。簡単に言うと別種と言うまでの違いはないが、生息する地域などによって、色や模様など見た目が異なる場合を亜種と呼ぶことがあります。
ところが、ドイツなどの研究チームがナミビアに住むキリンの遺伝子を解析したところ、4種類の異なる特徴を発見したそうです。
ちなみに動物園でよく見られるキリンの代表はアミメキリンとマサイキリンです。
アミメキリン マサイキリン
見分け方ですが、
・(網目の)模様がはっきりと分かれているのがアミメキリン
・模様がギザギザしているのがマサイキリン
だそうです。
ぜひ、この機会に覚えておきましょう。
キリンの雑学あれこれ
・キリンの走るスピードってどれくらい?
キリンは50km/hで走るそうです。
あの巨体で車並みの速さを出せるんですね。
・キリンの舌の特徴
キリンの舌は、長さが45cm位もあります。
とても器用に舌を使え、トゲトゲの木の葉っぱも長い舌で器用に絡めとって食べることができます。
そして、色は青紫っぽく、ちょっと見た目はグロテスクですね。
こんな色をしているのは、紫外線対策の為だそうです。
・キリンは超高血圧
キリンの血圧は非常に高く、上が260mmHg、下が160mmHgにもなります。
心臓から高い所にある脳まで血液を送りだすためにこれだけの血圧が必要なんですね。
人間の場合は140mHg/90mmHg以上あると高血圧と診断されてしまいますから、いかにキリンの血圧が高いかお分かりでしょう。
・キリンの睡眠時間
キリンは超ショートスリーパーです。
一度の睡眠時間は、なんと20分ほど!
短い睡眠を、一日で何度かとるみたいです。
ちなみにキリンは、ライオンなどの外敵から襲われないようにする為や、横になって眠ると自らの体重によって体が圧迫されてしまうといった理由から、野性下では立ったまま眠ります。
・キリンは飼える!
日本では、キリンをペットとして飼うことが法律上可能なんです。
もちろん、それだけの場所や餌を用意するのは簡単ではありませんが・・・
ちなみに、餌代は月10万円ほどだそうです。
・キリンの鳴き声
キリンと牛は、同じウシ亜目なので親戚のようなものだそうです。
だからなのか、キリンは「モー」と牛のように鳴くそうです。
しかし、キリンはめったに鳴かないので、動物園の飼育員さんもなかなか聞けないとか。
・小鳥を食べることも
キリンは草食なのですが、小鳥を食べることがあります。
これは他の草食動物にも見られる事で、タンパク質が欲しい時に食べるそうです。
完全に草食動物だと思っていただけに意外ですよね。
・キリンの同性愛
同性愛があるのは人間だけではありません。
キリンにも同性愛があり、なんと、キリンの交尾の9割はオス同士によるものだとか!?
これは、オス同士でケンカしているうちに興奮して性的な行為になる例が多いそうです。
キリンの危険な一面、意外にもケンカが強い
草食動物でおとなしいイメージのあるキリンですが、戦う時は戦います。
やはり体が大きいので、その攻撃力はかなりのものです。
強烈なキック
ライオンなどに襲われたときには、その長い脚を使って攻撃するのです。
具体的な攻撃方法は、後ろ蹴りです。
その威力は凄まじく、ライオンでさえ、まともに蹴りを食らえば数メートルもふっ飛ばされ、骨を砕かれ死んでしまう事もあります。
アフリカでは、人間が蹴られて死亡した例もあります。
ですから、決してキリンの後ろには立ってはいけません。(そんな機会はまずありませんが。)
長い首を使った打撃、ネッキング
また、キリンのオス同士がメスをめぐって戦うこともあります。
その際は、あの長い首を鞭のようにしならせて、自分の首や角を相手に打ち付ける様に攻撃するのです。
この行動を「ネッキング」と呼びます。
テレビで見た事があるのですが、すごい迫力でした。
ただし、相手が大けがを負ったり、死なせてしまう様な戦いはやらないそうで、そこにはちょっと優しさを感じました。
ちなみに、このネッキングが人に炸裂して大ケガを負ったという事故も起きているので、後ろ蹴りさえ用心していれば安心というわけにもいかないようです。
まとめ
ここまでのお話で、皆さんはキリンについて印象が変わりましたか?
今回、キリンについて色々と調べてみたのですが、知らない事が結構あり私自身、勉強になりました。
動物園に行く機会があったら、今までとは違った目でキリンを観察してみたいと思います。
万が一、キリンに近づく機会でもあれば、
・後ろ蹴りと、長い首を使った打撃
に気を付けましょう。
キリンは絶滅危惧種とはまだ認定されていないのですが、生息地の開発などにより、数が急激に減少しているそうです。
この地球上から姿を消してしまうのは悲しいですよね。
キリンについてもっと多くの人が知って、保護につながっていったら良いなと願うばかりです。