沖縄といえばきれいな海ですよね。
旅行に行ったらグラスボートでサンゴ礁を見に行ったり、ダイビングやシュノーケルを楽しんだりする方も多いと思います。
しかし今、沖縄県ではサンゴの減少が問題になっています。
それは沿岸の埋め立てや密猟、土砂がかぶってしまったことによる死滅などさまざまな原因がありますが、オニヒトデの大量発生による食害も深刻化しています。
このオニヒトデは毒を持っているので、人間が刺されてしまうこともあり注意が必要です。
それではもし刺されてしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
今回は、オニヒトデの生態や毒性、刺された時の症状と処置についてご紹介させていただきます。
オニヒトデの生態
オニヒトデはアカヒトデ目オニヒトデ科の海の生き物です。
国内では主に南西諸島に生息しますが、本州では紀伊半島~奄美にかけても生息が確認されています。
サンゴを好んで食べる大型のヒトデで、ウニやナマコと同じ棘皮動物です。
体長は30cm前後ですが、中には60cm近い大きさになる個体もいます。
10~20本の腕を持ち、体表は多数の棘で覆われています。
体色は灰色やオレンジ色、青色などさまざまですが、棘の先は赤色である個体が多いです。
石灰藻、サンゴを食しますが、食べるときは口から胃を裏返して広げてえさに押し付け、そのまま体外で消化吸収を行います。
また、多数の腕の中に栄養貯蔵器官と生殖巣がつまっており、沖縄近海では、6月から7月にかけて雌雄のオニヒトデが約1000万個の卵を放卵します。
受精卵は幼生を経て稚ヒトデとなり、約半年かけて10~20本の腕を持つ1cm程度のヒトデになります。
その後成長とともに大きくなり、3年目を迎えると繁殖ができるようになり、6~8年で寿命を迎えます。
オニヒトデの毒
オニヒトデの体表を覆っている多数の棘には、強い神経毒があります。
誤って刺されると、個人差はありますが、激しい痛みや腫れが生じます。
腫れに関しては、すぐに症状が出る人もいれば数日経ってから腫れる人もいて、出方は刺される場所によって異なります。
症状のひどい人は、手が赤いグローブのようにパンパンに腫れたり、1か月近く痛みが続くような状態になるので、かなり強烈な毒と言ってよいと思います。
他にも喉がかゆくなる、吐き気、低血圧といった症状も出る場合があります。
オニヒトデはサンゴに張り付いているため、ダイビング中や駆除作業を行っているときにうっかりオニヒトデに触れてしまい刺されることが多いようです。
オニヒトデに刺されたらアナフィラキシーショックが起こり、重症化して死に至る可能性もあるので、もし刺されたらすぐに処置する必要があります。
それでは次に、刺された時の対処法についてご説明します。
オニヒトデに刺されたら?
もしオニヒトデに刺されたら、
1、まず、できるだけ早く海から出ましょう。
2、次に、患部に棘が残っている場合はすぐにその棘を抜き、患部を圧迫しながら毒を体外に絞り出してください。
ポイズンリムーバーという毒を絞り出す道具があるので、もしオニヒトデに近づく可能性がある場合には念のため準備しておくと良いでしょう。
3、毒を除去したら、次に患部を45℃以下のできるだけ熱いお湯に浸けます。
オニヒトデの毒は熱によって痛みを和らげることができます。
やけどに注意しましょう。入浴時より少し熱めのお湯程度です。
できれば30分~1時間ほど浸けると良いでしょう。
4、ここまで処置したらなるべく早く病院へ行ってください。
もし毒を除去した後に、急にくしゃみや鼻水が止まらなくなったり、呼吸困難や全身じん麻疹といった症状が次々に現れたらアナフィラキシーショックの可能性があります。
すぐに病院へ行きましょう。
サンゴの減少とオニヒトデの駆除の必要性
近年、沖縄近海でオニヒトデの大量発生が起こり問題となっています。
大量発生は自然現象によるものなのですが、海域の富栄養化や過剰な漁業活動による生態系の撹乱など、人間の環境破壊が大量発生を助長し、さらに大量発生のサイクルを早めていると考えられています。
オニヒトデが増えると、えさとなるサンゴが食べつくされ、サンゴの減少につながります。
そしてサンゴが減少すると美しい海中景観の損失、ダイビングやグラスボートなどの観光業や水産業への損害といった問題が出てきます。
そのため、オニヒトデが大量発生した場合はサンゴ礁保全のために駆除をする必要があるのです。
オニヒトデの駆除方法はこれまで、ダイバーの手によって1匹ずつ捕獲し、カゴや網袋などに集めて陸揚げしたのち、処分場で処理されるのが一般的でした。
また、水中で袋詰めにし、酸欠により死滅させる方法もあるようです。
しかし、これらの方法だと、捕獲する際に誤ってオニヒトデに刺されてしまう事故が多発し、重症化して死亡するケースもありました。
厚手のグローブをはめて細心の注意を払っていても、グローブを突き破るほどの鋭い棘ということもあり、どうしても刺されることが多いようです。
そんな中、岡山理科大学の研究グループが酢酸の注射によるオニヒトデ駆除法を発表しました。
実験だと、約30cmのオニヒトデに対し濃度20%の酢酸10mlを注入すると3日ほどでほとんどが死滅したとのことです。
この方法は、1個体あたり4円と低コストで安全なため、近年ではこの方法の導入により駆除効率も上がっているようです。
まとめ
オニヒトデによる被害は観光客や一般人に対してもあります。
遊泳中や海岸に打ち上げられたオニヒトデを触って刺されたといった被害が出ています。
オニヒトデに刺されたら、毒を絞り出し、45℃以下のできるだけ熱いお湯に患部を浸して、医療機関を受診しましょう。
沖縄のきれいな海を見るとつい泳ぎたいと思ってしまいますが、海中には毒を持つ生き物もいるということを認識しておかなければならないと改めて感じました。
観光だと浮かれていることもあり、あまり危険性まで考えないことがあります。
観光中にうっかりオニヒトデを触って刺されてしまったなどということがないように、海に入る危険性について調べてから行動しましょう。