突然ですが皆さんにクイズです!世界最速で走る事のできる動物と言えばなんでしょうか?
この答えは簡単ですよね!そう、ネコ科動物のチーターです。
では第2問です。
イヌ科の動物で最も速く走る事ができるのは何でしょうか?
これはなかなかの難問ですよね。すぐに答えられた人はかなり動物に詳しい方でしょう。
答えはオオカミ!と思われるかもしれません。オオカミも確かに走るのは速いですが、不正解です。
では、正解を発表します。正解は、「タテガミオオカミ」です。
やっぱりオオカミじゃないか!と言われてしまいそうですが、実はオオカミとは異なる動物なんです。
一体どんな動物なのでしょうか?
今回は、あまり知られていないであろう、タテガミオオカミの生態や危険性について紹介していきたいと思います。
タテガミオオカミとはどんな動物?
タテガミオオカミは、食肉目イヌ科タテガミオオカミ属に分類される動物です。
南米のブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ペルー、ボリビアなどの草木の生い茂った場所に生息しています。
食性は雑食性で、哺乳類や爬虫類、両生類などの小動物、昆虫、時には果実などの植物も食べます。
動物園では肉以外にバナナやサツマイモを与えることもあるそうです。
以外に甘い物が好きなんですね。
夜行性で、オオカミの様に群れは作らず単独で行動します。
オオカミと名に入っていますが、キツネに近い仲間です。
事実、タテガミオオカミ属という独立した種で、オオカミとは異なる属に分類されています。
ちなみに、タテガミオオカミを日本で見ることができるのは上野動物園のみということで非常に貴重な動物ですね。
タテガミオオカミの特徴
タテガミオオカミは体長120~130cmくらい、体の高さは90cm、体重は20数kg、体の色は茶褐色です。
名前の由来ともなっている黒く、長いたてがみのような毛が頭から肩にかけて生えています。
耳は大きな三角形で聴覚に優れ、獲物の出す音を捕らえるのに適しています。
顔はオオカミには似ておらず、普通のワンちゃんの様ですね。
離れて見ると体の色、顔の形、大きな三角形の耳、尻尾の形などから確かにキツネを思い起こさせます。
スーパーモデルの様な長い脚
タテガミオオカミはスラリと背が高く、脚がとても長いのが大きな特徴です。
まるでスーパーモデルの様な美脚の持ち主とでも言ったところでしょうか。
長い脚は、背の髙く生い茂った草の中を歩きやすくするためだと考えられます。
さらに不思議なのが歩き方です。
同じ側の脚をセットで同時に動かす側対歩を行います。
この歩き方、キリンやラクダ、ゾウなどの草食動物と同じでとても珍しいことです。
長い脚に秘められたパワー
細く長い脚は美脚というだけではありません。
その脚を使って走るスピードはなんと時速90km以上にも達すると言われます。
スーパーモデルの様でありながら、イヌ科動物最速のスプリンターでもあるのです。
タテガミオオカミの危険性
タテガミオオカミは臆病な動物です。
基本的には、人間を襲うことはありません。
しかし、ニワトリなどの家禽を襲う場合がある為、現地の人には害獣扱いされ駆除されてしまうこともあります。
ちなみに、日本においてタテガミオオカミは、特定動物に指定されているため飼育には許可が必要となります。
絶滅の危惧
タテガミオオカミの生息数は減少し、その生息数は今では2000頭ほどと言われています。
国際自然保護連合(IUCN)という組織により、準絶滅危惧種としてレッドリストに指定されています。
このまま減少し続ければ、絶滅危惧種への格上げ(格下げ?)は避けられないでしょう。
減少の主な原因は、
・開発による生息地の環境破壊
・害獣として駆除される事
などです。
時速90キロメートルなんてとんでもなく早く走れるのだから、人間に殺される前にサッサと逃げられるだろうと思うのですが、簡単に殺されてしまうのには理由があったのです。
それは短い距離を走った後、立ち止まり、周りの安全確認をするという悲しい習性です。
臆病だからこそ、立ち止まって周りの状況確認をするのでしょうが、このタイミングを人間が逃すはずはありません。
こうしてタテガミオオカミは人間に易々と殺されてしまうのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
タテガミオオカミはオオカミと言う名前こそ付いていますがキツネに近い種類で、オオカミとは見た目も生態も全く異なる動物でした。
長い脚は背の高い草地での移動に適し、走ればチーターに匹敵するようなスピードを出すことが出来ます。
しかし、走っては立ち止まる習性から、家禽を襲う害獣として人間に簡単に殺されてしまい、また開発によって生息地を追われ、タテガミオオカミの数は減少し続けています。
現在は準絶滅危惧種ですが、保護活動を行わなければそのうち地球上から姿を消してしまうでしょう。
美しいスタイルを持ち、驚異のスピードで走る孤高の存在・タテガミオオカミ。
彼らの姿を見られなくなるというのは悲しい事だと思いませんか?