デンキナマズといえば、デンキウナギの次に強い電気を放出する怪魚として知られています。
顔だけ見ると、デンキウナギに似ていますね。
今回の記事では、デンキナマズの電圧、生態や特徴について解説します。
目次
デンキナマズとは
デンキナマズは、ナマズ目・デンキナマズ科・デンキナマズ属に属する淡水魚です。
デンキナマズ科は、デンキナマズ属18種・Paradoxoglanis属3種の、2属21種が存在しています。
※分類には諸説あり
学名「Malapterurus electricus」、英名「Electric catfish」、和名「デンキナマズ」です。
別名「シビレナマズ」とも呼ばれます。
分布域、どんな場所に生息している?
デンキナマズの分布域はアフリカ中~西部で、ナイル川水系・ニジェール川水系・コンゴ川・タンガニィカ湖などです。
沼・湖沼・河川などで、濁った水・流れのよどんだ所場所・岩や木の根の隙間などを好んで生息しています。
体の特徴
デンキナマズの体長は1mほどで、最大でも120㎝ほど、体重は20㎏ほどになります。
体形はふっくらと丸みを帯びた円筒状で、体には鱗がありません。
背鰭はなく、うちわのような尾鰭が特徴的ですね。
体色は灰褐色で、黒い斑点があり、体の後ろの方には黒い縦のストライプが入ってます。
目は小さく、上顎に1対・下顎2対、合わせて3対ある口ヒゲが感覚器官の役割を果たしています。
離れた位置についている目と、タラコ唇、モジャと広がるヒゲがチャームポイントになって、なんともユニークでカワイイですよね。
体内には浮力調節のために、体の後ろにまで伸びる細長い浮袋が2つあります。
この浮袋がないと水中に沈んでしまいます。
デンキナマズには最大の特徴でもある「発電器官」があります。
「発電器官」は皮膚が変化したもので、頭とシッポ以外の部分にあり、頭の方がマイナス極、シッポの方がプラス極になっています。
デンキナマズの生態
デンキナマズの食性は動物食で、小魚などを食べています。
夜行性なので日中は物陰や水底でじっとして、暗くなると自らが作り出した電場を利用して、獲物が来るのを待っています。
獲物が近づくのを察知すると、電気ショックでしびれさせて捕食します。
メスは水底のくぼみに産卵して、ふ化したら稚魚を口の中で守る習性がありますが、その他の繁殖方法などは未だ不明です。
謎の多い生物なのですね。
寿命は、8~10年ほどだそうです。
デンキナマズはなぜ電気を出す?電圧は?
デンキナマズは夜行性の種が多いため、ナマズ目のほとんどは体の表面に電場を感じる「電気受容器」を持っていて、水中での電場の変化を感じ取る感覚器として使われています。
この「電気受容器」は、進化の過程で「発電器官」の前段階とされています。
そして、デンキナマズ科の魚類はその「発電器官」を持っていて、最大で400Vほどの電圧を出すことが可能です。
ちなみに生物の中で最高電圧を出せるデンキウナギは500~800Vにもなります。
デンキナマズは自分の周りに弱い電気を放出して電場を作り、この電場によって濁った水中や夜間でも周囲の状況を知る事ができます。
電場とは、マンガの世界で例えるなら結界のようなものですね。
結界に触れたり、結界を超えて侵入してきたものがあれば、すぐにわかるという便利な能力です。
これが獲物なら良いのですが、ただの侵入者であれば、電場を乱すだけの存在なので、デンキナマズは執拗に「電撃」で攻撃をします。
デンキナマズは本当にしびれるのか!?(沼津港深海水族館)↓
デンキナマズは古代の電気治療に使われた?
現代では電気治療器具は広く一般的に使われていますよね。
実は紀元前3000年頃から始まった古代エジプト文明の壁画などにデンキナマズが描かれていることから、古代人が治療のためにデンキナマズを利用していたと考えられているのです。
けっこう危険な民間療法ですが、妙なおまじないよりも効き目はあったのでしょうね。
私はチャレンジする勇気はありませんが…。
天敵は? 捕食者はいる?
デンキナマズは生態系ピラミッドの頂点に君臨する魚です。
と言っても、大抵小さいうちは他の肉食動物の餌になってしまいますが、デンキナマズは5㎝ほどの幼魚でも放電できます。
かなり無敵度の高い生物と言えますね。
ちなみに、ワニですら感電させられますが、何度も放電した直後は充電切れ状態になり、他の肉食動物の餌になってしまいます。
「電撃」が出せないデンキナマズは「ただのナマズ」になってしまうのですね。
デンキナマズは飼える?
デンキナマズはペットショップでも簡単に手に入る魚です。
発電魚であり、怪魚として有名なので、ちょっと飼ってみたいと思う方もいると思います。
ところが、デンキナマズの飼育には最終的に120㎝の大型水槽が必要ですし、夜になって目が覚めると暴れん坊に豹変する魚です。
また、デンキナマズは単体飼育しかできないうえに、絵的に地味な魚です。
要するに、デンキナマズは極々一部のマニアに向いている魚といえるのです。
「体が丈夫=飼育しやすい」と思って飼い始めると大変なことになります。
マニアっぷりに自信のない方にはペットにはおすすめできない魚ですね。
まとめ
デンキナマズは、アフリカ中~西部に生息する淡水魚です。
デンキナマズは自分の周りに電気を放出し電場を作り、濁った水中や夜間でも周囲の状況を知る事ができます。
そして、獲物を捕まえる時や危険を感じた時には、最大400Vほどの電気を放出します。
日本でもペットショップで入手できますが、1mくらいまで成長することや他の魚と共生できない事などから、あまりおススメできる魚ではないようです。