日本には数多くのクラゲが生息しています。
その数は200種類近くとも言われていますが、私たちが認識しているクラゲというのはほんのわずかですよね。
よく見かけるクラゲの一つに、アンドンクラゲがいます。
水族館で見たという方も多いと思いますが、アンドンクラゲはお盆の時期に海に大発生します。
そしてこのクラゲは小さいので、存在に気づかず刺されてしまったという事故も多いです。
さて、今回はアンドンクラゲの生態や毒性、刺された時の症状と処置についてについてご紹介させていただきます。
アンドンクラゲの生態
アンドンクラゲ(行灯水母)は箱虫綱立方クラゲ目アンドンクラゲ科に属するクラゲで、直径3cm程度の立方形の傘を持つ小型のクラゲです。
アンドンクラゲの名前の由来は、この立方形の傘の形からきています。
そしてこの傘の四隅から長さ20cm程度の触手が4本出ており、この触手には毒針の入った刺胞が多数存在します。
無色透明で非常に遊泳力に優れていることから、海水浴で近くにいても気づくことが難しいクラゲです。
アンドンクラゲは熱帯性のクラゲなのですが、黒潮に乗って北海道付近まで北上するので日本各地の海岸にいると言ってよいでしょう。
発生時期は6月~9月頃です。
6月頃は幼体であるポリプの状態なのですが、この時期はまだ西日本に生息しています。
海水温の上昇とともに成体へと遊離し、黒潮に乗って北上していくのです。
地域によって差がありますが、海水浴場にあらわれるのは8月中旬のお盆過ぎになります。
よくお盆を過ぎたらクラゲに注意と聞きますが、これはアンドンクラゲのことを指しているようです。
しかし、最近では温暖化の影響か、お盆前にも見られるので注意が必要です。
アンドンクラゲは基本的に群れで生活するため、海水浴場にも群れをなしてやってくることがあります。
さすがにその数が多い場合は、海水浴場を閉鎖することもあるようですね。
刺された時の症状
さて、それではこのアンドンクラゲに刺されるとどのような症状が出るのでしょうか。
アンドンクラゲの刺胞に触れると、ビリビリッとした強い痛みを感じ、患部はミミズ腫れのように赤くなります。
アンドンクラゲも、カツオノエボシと同じように“電気クラゲ”と呼ばれているくらい強い痛みなのです。
アンドンクラゲは水面を泳いでいることが多いので、顔や腕といった上半身が刺されることが多いようです。
もちろん、浅瀬で足首を刺されてしまったというケースもよくあります。
幸い、アンドンクラゲに刺されても重篤になることはほとんどありませんが、ビリっとした痛みに驚くことでしょう。
この痛みは、毒により皮膚組織が破壊されているために起こるもので、症状がひどいと傷跡が残ってしまう場合があります。
そして、アンドンクラゲの場合も何度も刺されるとアナフィラキシーショックが起きる可能性もあるので、決して甘くみてはいけません。
痛みのほかに、頭痛や嘔吐といった症状があらわれた場合は、念のため病院へ行った方がいいでしょう。
刺された場合の応急処置
ここで、アンドンクラゲに刺された場合の応急処置についてご説明します。
1、遊泳中にアンドンクラゲに刺されてしまったら、速やかに陸に上がって海水で患部を洗い流してください。
この時、決してこすらないようにしましょう。
また、真水だと浸透圧の関係で毒が体内に回る可能性があるので、必ず海水で行いましょう。
2、タオルやピンセットなどを使って患部に残っている刺胞を取り除いてください。
クラゲの触手が皮膚に残っている場合は素手で取ろうとはせず、タオルを使ったり、ピンセットや毛抜きなどで取り除きましょう。
3、刺胞を取り除いたら、患部に酢を30秒以上たっぷりとかけて刺胞毒を不活化させましょう。
ここで注意なのは、酢はアンドンクラゲには有効ですが、その他すべてのクラゲに有効なものではありません。
酢をかける行為はカツオノエボシに対しては逆効果となりますので、もしカツオノエボシに刺された場合は絶対に酢をかけないでください。
もし、刺された相手が何なのかわからない時も酢は使わないようにしましょう。
4、ここまで処置をしてまだ患部の痛みが強い場合は、冷水などで冷やすと多少痛みが緩和します。
ちなみに、刺された直後から患部を冷やすと逆に毒の放出を促進することになります。
必ず海水での洗浄や刺胞の除去などといった処置をしたあとに冷やしましょう。
症状が軽い場合は、市販薬の抗ヒスタミン軟膏や副腎皮質ホルモン入り軟膏で様子を見ても良いかもしれません。
時間とともに患部にかゆみが出てきますが、掻かないように我慢しましょう。
症状がひどい場合や自分での対処が不安な場合は、皮膚科を受診してください。
小さな子どもが刺された場合も病院で診てもらったほうが良いでしょう。
クラゲに刺されないための対策
せっかく海水浴に来たのに、クラゲに刺されてしまっては台無しです。
海に入る際にはクラゲに刺されないための対策をとりましょう。
最近の海水浴場は、クラゲ侵入防止ネットが設置されているところも多いので、ネットがある海水浴場を選ぶようにしましょう。
特にお子様連れのかたは、防止ネットがある場所を事前に確認しておくことをおすすめします。
ちなみに、台風の後などは、ネット内にも侵入していることがあるので注意しましょう。
また、クラゲ侵入防止ネットがある海水浴場で遊ぶ時も、ネットには近づかないようにしましょう。
ネットにクラゲやちぎれた触手が絡みついている可能性もあるからです。
服装としては、ウエットスーツやラッシュガード、長ズボンなどを着用することにより、被害を最小限にできます。
できるだけ肌の露出を少なくするようにしましょう。
また、クラゲ予防ローションというものも販売されています。
こちらは、日焼け止めも兼ねて肌に塗るものですが、ケチらずガッツリ塗るとそこそこ効果もあるようです。
クラゲ対策グッズは通販で買える?
クラゲローションやラッシュガードなど、クラゲ対策グッズは通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーからそれぞれの検索結果をチェックしてみてください。
まとめ
アンドンクラゲは、夏になるとよく大発生する小さなクラゲです。
触手には毒針の入った刺胞があり、刺されると強い痛みを感じ患部はミミズ腫れになります。
クラゲに刺されないための対処法は、何度も言いますが自己防衛が大切です。
海に入る際はラッシュガードなどの長袖、長ズボンを着用してできるだけ肌の露出を防ぎましょう。
クラゲよけローションを塗るのも効果的です。
一番いい予防策はもちろん海に入らないことですが、そうは言っても暑い夏、どうしても海で泳ぎたくなることがありますよね。
海に入る以上、どんな対策をとっても刺されるときは刺されます。
せめて海に行く際は、酢や薬などを持参し、刺されてもすぐに対処できるようにしておきましょう。