カバキコマチグモってご存知ですか?いったいどこで区切るのやら分からない名前ですよね。
漢字で書くと樺黄小町蜘蛛。
漢字を見ると、ちょっとおしゃれな蜘蛛のようです。
しかし、カバキコマチグモは日本のクモの中では一番強い毒をもっている毒蜘蛛なんです。
今回は、カバキコマチグモの生態や危険性、噛まれた場合の対処法などをご紹介します。
カバキコマチグモの生態
カバキコマチグモは、フクログモ科コマチグモ属のクモです。
体は黄色から茶褐色で、上下のあごと下唇は黒色です。
カバキコマチグモの体長は、オスで約8〜13mm、メスで約12〜15mm程度です。
そんなに大きな蜘蛛ではないのですね。
ちなみに、オスはほっそりとした体に長い脚を持っていて、メスよりも優雅な雰囲気です。
沖縄を除く日本中の田んぼや原っぱ、林など、どこにでも生息しています。
カバキコマチグモは、幼いうちは草むらに住んでいますが、大人になるとイネやススキなどのイネ科の植物に隠れて暮らしています。
一般的な「蜘蛛の巣」は作らず、夜になるとエサである生きた昆虫を探しに草むらを徘徊します。
武器である猛毒を駆使して、獲物を麻痺させて食べるそうです。
カバキコマチグモは、6~8月にかけて交尾と産卵の時期を迎えます。
子どもの蜘蛛は夏に孵化し、冬を越した次の夏に大人になります。
母蜘蛛は、子どもが孵化してから脱皮までの間、一生懸命に外敵から我が子を守ります。
しかし、子どもの蜘蛛は、一回目の脱皮が終わった後に、自分を守り続けてくれた母親の体を食べてしまうという驚きの習性があります。
カバキコマチグモの巣は特徴的
カバキコマチグモの巣は特徴的で、ススキなどイネ科の植物の葉っぱをまるで「ちまき」のようにくるくると丸めて、巣を作ります。
巣といっても、普段から「ちまき」の中で暮らしているわけではなく、産卵用の巣です。
メスはこの中で卵を産んで、孵化した子を守ります。
カバキコマチグモは特徴的な巣なので、比較的簡単に見つけられるかもしれません。
しかし、どの生き物にもよくあることですが、子どものいるメスは攻撃的になっています。
カバキコマチグモは、日本のクモの中では一番強い毒をもち、噛まれるとしばらく強い痛みに襲われます。
巣を見つけても、観察するときは十分注意してください。
カバキコマチグモの由来
カバキコマチグモのカバキとは、茶色がかった黄色(樺黄色)を意味しています。
コマチ(小町)は小野小町から来ています。
小野小町といえば、世界三大美女のひとりですね。
小野小町のように美人さんの黄色い蜘蛛ということでしょうか。
しかし、よくバラの例えにあるように、美しいものには刺があります。
美しいカバキコマチグモは、猛毒を持っています!
美しさに見とれて、噛まれないようにご注意ください。
カバキコマチグモの毒
カバキコマチグモの毒は、獲物を捕食するための神経毒です。
毒の成分には他にも、セロトニン、カテコールアミン、ヒスタミンが含まれています。
カバキコマチグモの毒は非常に強力で、世界の猛毒生物ランキングで6位に入っているほどです。
噛まれた場合は、患部が赤く腫れあがり激しい痛みに襲われます。
ひどいときは頭痛や発熱、嘔吐などのショック症状が出ることもあるそうです。
しかし、カバキコマチグモは牙が小さく注入される毒量も少ないので、人間が死亡した例はありません。
もし噛まれたら?
カバキコマチグモに噛まれて人間が死亡したという報告は今のところないそうですが、猛毒を持つ蜘蛛には、できれば噛まれたくないですよね。
カバキコマチグモに噛まれたという報告は、繁殖期の6~8月にかけての夏に多く、特に6月が最も多いそうです。
ただし、人間側から手を出さない限り、蜘蛛側から進んで攻撃してくることは滅多にありません。
不用意に触らないよう気をつけましょう。
しかし、いくら気をつけていても世の中に事故はつきもの。
万が一、噛まれてしまったら、自分で判断せずに医療機関を受診しましょう。
抗毒血清は、今のところないそうなので対症療法になります。
抗ヒスタミン剤、ステロイド軟膏などの外用薬が使われるようです。
また、出来ることなら、治療の判断のためにも噛まれたクモの死骸を病院に持っていくといいでしょう。
また、ポイズンリムーバーという毒を絞り出す道具があるので、念のため常備しておくのも良いでしょう。
カバキコマチグモが家に入ってきたら?
不運にも、カバキコマチグモが家の中に入ってきてしまったら、どうすればいいのでしょうか?
あまり刺激はしたくないけど、外に出すか駆除するかしたいですよね。
そんなときは、絶対に素手ではつかまずに、
・掃除機で吸い取ってゴミと一緒に捨てる
・ホウキや菜箸、ピンセットなどの長いものを使って外に出す
・ハエたたきなどで叩く
・市販の殺虫剤を使う
といった方法が考えられます。
ただし、駆除に失敗して怒らせてしまっては逆効果。
駆除をするなら、一発でしとめられそうな方法を場合によって選択してください。
また、庭の除草をしっかりとして、カバキコマチグモの生息場所をなくすことが、いちばんの駆除方法になると思います。
まとめ
カバキコマチグモは、強い毒性を持つ毒蜘蛛です。
ススキなどイネ科の植物の葉っぱをくるくると丸めた特徴的な巣を作ります。
母グモは最終的に、自分が育てた子グモに食べられるという変わった特性があります。
6~8月に咬傷被害が増えますので、ススキなどがある原っぱに入るときは長袖を着ていくようにしましょう。
噛まれて死亡することはありませんが、しばらく激しい痛みに襲われることになります。
最悪の場合、ショック症状に陥る可能性もあるので、もし噛まれた場合は、医療機関を受診するようにしましょう。