山にはいろいろな動物が棲んでいますが、遭遇して1番怖い動物はクマではないでしょうか?
実際、クマに襲われて死亡するという事件も起きています。
どんなに鍛えた男性でも、クマに襲われては勝ち目は少ないです。
クマの生態と対処法を事前に知っておくことで、危険を回避しましょう。
今回はクマの中でも本州に生息している「ツキノワグマの生態や対処法」についてご紹介しさせていただきます。
ツキノワグマの生態
学名 | Ursus thibetanus |
英名 | Asian black bear Asiatic black bear Himalayan black bear Moon bear |
分類 | ネコ目クマ科クマ属 |
分布・生息域 | 本州、四国、アジア |
大きさ | 体長100cm~150cm、体重60kg~100kg |
ツキノワグマはネコ目クマ科クマ属に属する、日本の本州と四国に生息しているクマです。
日本の他にも別名アジアクロクマ、ヒマラヤグマという名前で、主にアジア圏で生息しています。
体長は100cm~150cmほど、体重は60kg~100kgほどですが、オスで最大180cm、150kgまで成長します。
ツキノワグマの多くには、名前の由来になった三日月のようなV字型の白い毛が胸の部分にあります。
普段は夜行性で、森林を中心に生活していますが、エサを探す際は昼間でも活動していることがあります。
ツキノワグマは木登りや泳ぐのも得意です。
雑食性で、果実や山菜、木の実、動物の死体、昆虫など、環境に応じて様々な物を食べます。
家畜や農作物への被害がある一方で、四国全域・島根県・奈良県・広島県・三重県・山口県・和歌山県では、生息数が少ないため1994年からは、ツキノワグマの狩猟が禁止されています。
環境省の環境省レッドリストに記載され、動物愛護管理法の特定動物、鳥獣保護法の狩猟鳥獣、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の国際希少野生動植物種にも指定されています。
ツキノワグマは冬眠する?
ツキノワグマは晩秋から春になるまで、いわゆる冬眠をします。
ただし、食料が十分ではなく冬眠をしないクマもいますし、物音や刺激ですぐに起きて攻撃できる状態にいるので、冬場の山はクマがいなくて安心と思ってはいけません。
また、妊娠していたメスはこの冬の間に、冬眠している穴の中で出産をします。
冬も春先と同じように、山に入る時にはクマよけの鈴などを持ち対策を忘れないようにしましょう。
ツキノワグマと出会わないように
ツキノワグマは元々臆病な性格です。
そのため「人間がいる」とわかれば、自ら逃げていくことが多いとされています。
したがって、ツキノワグマに人間がいると教えるために山を歩く時は、出来れば多人数で大声で話しながら移動しましょう。
ただし、水辺などでは、人の声がかき消されてしまう恐れがあるので、周囲にツキノワグマがいないか特に気をつけないといけません。
犬を連れて行けば安心と思う人もいますが、狩猟用に訓練されていない普通のペットの犬を連れていくと、逆にツキノワグマが興味を持つことがあるので、キケンです。
香水や匂いのキツイ化粧品、柔軟剤、ペンキやガソリンの匂いもツキノワグマを刺激することになるので、山に入るときは気をつけましょう。
また山道を車で移動する際にも、ツキノワグマと遭遇することがあります。
車でもツキノワグマとぶつかれば、ただでは済みません。
普通車でも大破してしまうことがあります。
山間部では、なるべく徐行し、ツキノワグマを含めた野生動物に遭遇しても、すぐに逃げられるようにしましょう。
もしもツキノワグマと出会ったら?
【叫ばない、パニックにならない】
山を歩いていて、もしもツキノワグマに遭遇したら、叫びたくもなりますが、そこはグッとガマンしましょう。
刺激を与えると、いきなり襲ってくることがあります。
【走って逃げない!ゆっくり後ずさり】
ツキノワグマに背中を向けて一気に走って逃げるのも危険です。
本能的に逃げるものを追いたくなりますし、ツキノワグマは時速40km程度で走れるので、人間の足では勝ち目はありません。
目は逸らさずに、背中も見せずに、できるだけそっと後ずさりをするしかありません。
【クマ対策スプレー、武器の準備】
クマ対策スプレーがある時は、いつでも噴射できるように準備しましょう。
スプレーが無いは、長い棒などリーチのあるもの、それもないときは石を探しましょう。
まだ距離があるうちから石を投げたりすると、ツキノワグマを刺激してしまう可能性があるので、あくまで準備するだけにしましょう。
【持ち物で興味を引く】
もしも荷物を持っていれば、ツキノワグマと自分との間に投げてみましょう。
クマが興味をもって、荷物をさわっているうちに逃げることができる可能性があります。
【死んだふりはダメ!】
元々死んだ動物を食べる習性のあるツキノワグマにとって、死んだフリは意味がありません。
興味を持たれて、するどい爪で触られたら、それだけで大怪我を負ってしまいます。
動物は火を怖がるというイメージがありますが、ツキノワグマは火も怖がりません。
火を見せたからと行って、決してツキノワグマは逃げてくれませんし、下手に刺激を与えればすぐに襲い掛かってきます。
また、もしも出会ったツキノワグマが子供の熊でも、すぐに逃げましょう。
なぜなら、小熊のすぐ近くに母熊がいる可能性が高いので、子熊を守るためにすぐに襲いかかってくる可能性があります。
ちなみに、ツキノワグマは木登りも泳ぎも得意なので、木に登ろうが川に入ろうが意味がありません。
ツキノワグマに襲われたら
もしもツキノワグマに襲われたら、ツキノワグマの鼻先に攻撃をしましょう。
石や木などがあれば、それで思い切り叩いてみます。
一瞬、クマがひるんだら、そのすきに逃げましょう。
また、獣用の催涙スプレーがあれば、クマの目と鼻を狙って一気に全量を噴射しましょう。
大切なのは、あきらめずに死にものぐるいで抵抗反撃することです。
クマに襲われて生還している方の多くは、必死に戦ったという方達です。
まとめ
攻撃力が高いだけではなく、泳ぎも、走りも、木登りまで得意なツキノワグマには、人間は勝てそうにないですね。
しかし、ツキノワグマは基本的には臆病な動物です。
山道を歩く際は、できるだけ音を立ててツキノワグマに遭遇しないように気をつけましょう。
万一襲われたときは、鼻先を狙って必死に抵抗することが大切です。
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