家の中の小さな敵、それはダニです。
1軒の家の中には何十種類というダニがいて、全部で数百万匹~数億匹いると考えられています。
普段はダニの存在なんて気にせずに生活していますが、それほどの数のダニがいると思うとぞっとしますね。
今回はそんなダニのうち、ハウスダストの原因となるチリダニ(ヒョウヒダニ)の生態や被害、駆除法などについてみていきたいと思います。
チリダニとは
チリダニは、無気門亜目チリダニ科に属するダニの総称で、屋内にいるダニのうち70~90%がチリダニです。
チリダニの成虫は、体長0.1~0.4mmと肉眼では確認できないほど小さいです。
体色は乳白色で、口器と脚は薄褐色をしています。
4対の脚を持ち、第一脚の先端に2本、そして第三脚の膝節に1本の感覚毛があります。
また、体表には細かいシワがあります。
メスは一日に1~3個の卵を産み、死ぬまでに産卵する数は100~300個と言われています。
孵化して約1カ月で成虫となり、2~3ヶ月でその生涯を閉じます。
ちなみに、チリダニには空気中の水分を体表面から吸収・放散して体内の水分量を調整するという特徴があります。
チリダニの好む場所
チリダニは、湿度が高く暖かい場所を好みます。
チリダニの生育には“温度”と“湿度”が大きく関係していると言われ、温度は25℃~30℃、湿度は60~80%の高温多湿状態がチリダニにとっての快適な環境になります。
時期でみると6~10月、特に梅雨の時期が最も繁殖しやすいと言えるでしょう。
また、チリダニが繁殖しやすいのは餌が豊富で住み心地が良いところです。
チリダニの餌と言えば、人体から出るフケやアカが主食で、それ以外にもホコリ、カビ、細菌、花粉等を食します。
私たちに人間は、気づかないうちに多くのフケやアカ、皮膚片などを撒き散らしており、チリダニにとってそれは最高の餌なのです。
そして、チリダニにとって住み心地が良いところは外敵に見つかりにくいところです。
布や毛でできた繊維が密集しているところ、例えばカーペットやぬいぐるみ、布団、ソファなどは最適の場所となります。
特に布団は長時間人間と接しているため、餌となるフケやアカが豊富です。
また、寝ている間人間は汗をかくため湿度も高いです。
干さずに敷きっぱなしなどにしていたら、チリダニはあっと言う間に繁殖してしまうでしょう。
人体への影響
それでは、チリダニによる人体への影響についてご説明します。
まず、チリダニは人体を刺すことはありません。
刺す被害があるのはツメダニです。
ではどういった被害があるかと言うと、チリダニの死骸や糞を吸いこむことによるアレルギー症状です。
つまり喘息や鼻炎、眼アレルギー、アトピー性皮膚炎の原因となるのです。
チリダニの糞は0.01~0.04mmと非常に小さく、吸いこんで気管に入りやすい物質です。
肉眼では確認できないため、気づかないうちにアレルギー症状が引き起こされてしまうのです。
また、チリダニが増えるとチリダニを捕食するツメダニの繁殖にもつながるので、ツメダニによる被害も出てくる可能性があります。
一度アレルギー症状があらわれると治療は長期間に及びます。
つらい思いをしないためにも、日頃からチリダニの駆除を心がけなければなりません。
チリダニの駆除方法
チリダニの駆除として効果的なのは掃除機です。
布団や毛布などにチリダニが繁殖した場合は、まずは天気の良い日に外に干してください。
チリダニは約50℃の熱で死滅するため天日干しが有効なのです。
もちろん、布団乾燥機でも大丈夫です。
ただ、アレルギーの原因となるのはチリダニの死骸や糞であるため、死滅させただけでは意味がありません。
アレルゲンとなる死骸や糞を取り除くために、掃除機で吸いこむ必要があるのです。
このとき、掃除機はゆっくり丁寧にかけることが大切です。
また、天日干ししても当然生き残っているいるチリダニはいます。
彼らは強風などの刺激を受けると繊維にしがみついて離れないという習性があるため、軽く掃除機をかけただけでは吸いこまれません。
確実に死骸や糞を除去するためには水洗いすると良いでしょう。
畳やじゅうたんなど、天日干しも水洗いもできないものの場合は、乾燥した状態の時にゆっくり何度も掃除機をかけると良いでしょう。
近年はレイコップという布団クリーナーが販売されています。
レイコップを使えば、天日干しせずともダニを吸いこむことができるので、アレルギーに悩んでいるご家庭であればあるとよいかもしれません。
繁殖させないための対策
さて、チリダニを駆除したあとは再び繁殖させないための対策です。
チリダニの繁殖を防ぐには、
①定期的に換気をして室内の湿度を下げる
②まめに掃除機をかける
の2点を行うと良いでしょう。
湿度を55%以下に保てば、ダニは生きていくことができません。
当然、繁殖も防ぐことができるでしょう。
起床後、帰宅後など、1日に数回換気することでダニが生存しにくい環境を作ることができるのです。
そして、掃除機をかけて室内をきれいにすることも大切です。
ほこりや食べカスなど、チリダニの餌となるものが長期間放置されている状態だと危険です。
特に子どもやペットのいるご家庭だと室内が汚れやすくなりますので、どんなに忙しくてもこまめな掃除を心がけましょう。
家具や電化製品の裏などに溜まったほこりもダニの住みかとなります。
こちらも定期的に掃除すると良いでしょう。
これら2点だけでは心配と言うかたは、防虫シート↓や殺虫剤などもうまく利用してみてください。
まとめ
肉眼ではみえないチリダニ。
普段そんなチリダニの存在など気にも留めずに生活している方も多いことでしょう。
しかし、アレルギー症状というのはいつ発症するか分かりません。
今、自己の免疫システムがうまく働かず、アレルギー症状に悩む方が増えています。
このアレルギー症状を引き起こす原因の約8割がダニ、特にチリダニなのです。
自分自身は大丈夫でも、大切な家族、特に子どもが発症するとその子どもがつらい思いをします。
ダニの繁殖を防ぐための対策をすることは家を清潔に保つことであり、それは心身の健康にもつながります。
快適で豊かな生活をするためにも、是非チリダニの繁殖しにくい環境づくりを行ってみてください。