通称ピットブルは正式名「アメリカンピットブルテリア」で、闘犬として有名すぎるくらい有名な犬種ですね。
日本でもかつて闘犬が盛んだった頃に輸入され、より優れた闘犬を作出するために掛け合わされました。
また、ピットブルは最も危険な犬種で名前が挙げられることもあるので、危険な犬として聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ピットブルの特徴、危険性、事件について解説します。
ピットブルのルーツ
ピットブルはアメリカ原産の大型犬です。
1870年代にイギリスからアメリカに連れて来られたスタッフォードシャーブルテリアという闘犬をベースに、ブルドッグなどを掛け合わせて作出されました。
1898年にユナイテッドケンネルクラブに犬種として登録されます。
1900年にアメリカで闘犬が禁止されるものの、闇賭博が絡む闘犬はその後100年近くも続きました。
ピットブルの特徴
ピットブルのオスの体重は25~30㎏、メスの体重は20~25㎏です。
闘犬として作られた割には小柄ですね、ちょっと驚きました。
体についている筋肉量からして、同じ体重の大型犬と見比べると、一回り小柄に見えるかもしれません。
ピットブルは大型犬に分類されますが、個体によっては10㎏台もいるため、場合によっては中型犬に分類されることもありますね。
被毛は艶のある短毛で、カラーや模様には決まりがありません。
目がやや離れているので、愛嬌のある顔をしています。
耳は垂れ耳で、シッポは鞭のように細くしなやかです。
以前は断耳・断尾をしていましたが、最近では動物愛護の精神から行われなくなっていますね。
ピットブルの性格
ピットブルは闘犬として作出されたので、当然ですが攻撃的な性格をしています。
その攻撃的な性格ゆえに、多くの国では輸入や飼育が禁止されています。
ピットブルは服従心が強く、飼い主には愛情深い犬とされますが、犬種の特性を理解していない人は「誰にでも飼える犬」と勘違いをしてしまうので、個人的にはあまり使いたくない表現です。
服従心の強さと深い愛情をピットブルに求めるためには、飼い主のリーダーとしての性質も問われるのです。
飼い主が群れのリーダーに相応しい場合においてのみ、ピットブルは明るく無邪気で、大人しくて、ペット向きの犬になれることを覚えておいてください。
ピットブルの危険性
ピットブルが闘犬として品種改良された最大の理由は、噛む力の強さにあります。顎の力が強いのですね。
犬であれば小型犬だろうと噛む力は強いのですが、ピットブルは顎から首にかけてが太く、非常に発達しているため、他の犬種よりも圧倒的に噛みつく力が強いのです。
ピットブルの顎の力と攻撃的な性格から、世界的に見てもオーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、フランス、ドイツなど多くの国で法律によって輸入や飼育が禁止されています。
輸入や飼育を禁止する対策には色々と議論されていますが、正しく飼育できない人間が安易に飼育する危険性の方がはるかに高いため、規制は必要だと思われます。
日本でもピットブルは茨城県で危険犬種(特定犬)に指定され、飼育には許可が必要になります。
ピットブルの事件
ピットブルを正しく飼育しない場合、どのような事件事故が起きるのが調べてみました。
・2001年、群馬県にて、飼い犬のフンの処理をしなかった男性に対して、飼い主の女がピットブルをけしかけ、男性にケガを負わせるという非常識な事件が起きました。
・2002年、佐賀県にて、放し飼いにされていたピットブルが女性にけがを負わせました。そもそも小型犬ですら放し飼いにされていれば、おとなしい性格の大型犬にケガを負わせるのですから、あり得ないことですね。
・2003年、愛知県でも放し飼いのピットブルが男性に噛みつきました。
・2016年9月、沖縄県にて、ピットブルが路上で小学生の男の子と女の子に噛みつく事件が起きました。ピットブルは繋がれていたものの、首輪が抜けて脱走したとのこと。
日本においてピットブルは、かなり非常識な人間に飼われていた事がトラブルの原因となった例の多さが問題となっていますね。
また、海外においてもピットブルに襲われた人間が死亡するという事件は数多くあります。
そして、襲われた人間の7割は飼い主だったそうです。
このことからも、ピットブルは簡単に飼える犬ではないと言えるでしょうね。
まとめ
ピットブルは最も危険な犬種とされますが、意外にもヘレンケラー、エジソン、ルーズベルト大統領などの有名人にも飼われていました。
とは言え、決して簡単に飼育できる犬種ではありません。
「ヘレンケラーが飼っていたくらいだから、うちでも飼えるわ」などど考えてはいけませんよ。
もしピットブルの外見が気に入ったのであれば、よく似ているけれど温厚な性格の「アメリカンスタッフォードシャーテリア」をおすすめします。
今回ご紹介したように、飼い方や接し方によってピットブルに危険な一面があるのは事実かもしれません。
しかし覚えておいてほしいのは、人間の欲望を満たすためだけに行われた闘犬では、記録にあるだけでも1年間で1500頭のピットブルが死んでいるのです。
実際はもっと多いでしょうし、ピットブルが作出されてから140年近い間に、何十万頭、何百万頭、下手をしたら何千万頭ものピットブルが闘犬で死んでいることも忘れないでください。