コモドオオトカゲと言えば、まるで恐竜のような外見の大トカゲとして有名ですね。
コモドドラゴンと呼ばれたりもします。
このコモドオオトカゲは、ただ大きいだけのトカゲではありません。
実はとても危険な一面をもっており、人間が襲われ死亡した例もあるのです。
今回は、コモドオオトカゲ(コモドドラゴン)の毒性、生態や危険性についてご紹介させていただきます。
コモドオオトカゲとは
コモドオオトカゲは、オオトカゲ科オオトカゲ属に分類されるトカゲです。
体長は最大で約3メートル、体重は140kgを越えるものもあり、とてつもなく大きいのが特徴です。
全長だけならもっと長いトカゲもいますが、これほどの重量がある全体的に巨大なトカゲは、このコモドオオトカゲだけです。
日本の小さなトカゲと比べると、もはや別の生き物のようですね。恐竜と言われるのも納得です。
その全身は暗灰色の頑丈なウロコに覆われ、鋭い爪をもっています。
足や尾も太くて大きく、凄い迫力があります。
このような姿から、発見された当初は、「全長が7mある」「火を吐く」などと言われることもあり、とても恐れられていたのです。
生息地と活動域
コモドオオトカゲは、インドネシアのコモド島、リンチャ島などの小スンダ列島と呼ばれる島々に生息しています。
その中でも、サバンナのような乾燥地帯や、落葉樹林などが主な生活地域です。
小型の個体ならば木に登ることもあり、特に幼体は木の上にいることが多いです。
また、水の中での活動も可能であり、450mを泳いだとか、4mの深さまで潜ったという例もあるほどです。
陸の上を這っているイメージが強いですが、意外と活動範囲は広いのです。
繁殖は単為生殖も可能
繁殖は卵生で、9月頃に10個~30個の卵を産みます。
交尾を始めるのは5月~8月であり、その際、オスがメスを争って戦うことがあます。
お互いに直立して戦うその様子はコンバットダンスと呼ばれていますが、ダンスと言っても、優雅さや可愛らしさはありません。
重量級の大トカゲ同士が立ち上がって激突するわけですから、非常に激しいものなのです。
これに勝ち残ったオスは、メスの背中のウロコに爪を立てて音をだします。
これが受け入れられると、晴れて交尾をすることができるのです。
また、コモドオオトカゲは単為生殖をすることが可能であり、メスはオスとの交尾なしで卵を産むこともできます。
単為生殖を行う爬虫類は他にもいますが、単為生殖で生まれる子はメスであるのが一般的です。
しかし、コモドオオトカゲの場合は単為生殖で生まれる子はオスであるそうです。
これは、オスのいない環境になるとメスが単為生殖でオスを産み、オスが成体となってからメス親と交尾を行い繁殖するためではないかと考えられているようです。
食性と狩り
コモドオオトカゲは肉食で、イノシシやシカ、水牛やヤギなど、かなり大きな動物も捕食します。
他にも、ジャコウネコやサル、コウモリや鳥類なども食べます。
動物ならなんでも食べてしまいそうな勢いですが、他の動物を食べるだけでなく、なんと同じコモドオオトカゲの幼体も食べることもあるのです。
幼体は樹の上にいることが多いと前述しましたが、これは成体から襲われるのを防ぐためだそうです。
食事の量も多く、自分の体重の80%に当たる量をもりもりと食べます。
これにより、一度満腹になると、その後は一ヵ月近くも食べないで生活することができます。
エサにありつけないことも多いため、その過酷な環境に適応しているというわけです。
こうした旺盛な食欲の対象には人間も含まれます。
まれに現地の人や観光客が襲われることがあります。
水牛なども食べるような大トカゲに襲われたりしたら、人間でもひとたまりもありませんね。
そんなコモドオオトカゲの狩りの方法は、相手の不意をつくことです。
コモドオオトカゲは、成長途中ならかなり素早い動きが可能ですが、大きくなるとさすがに動きは遅くなります。
そのため、茂みなどに身を隠して獲物が通りかかるのを待ち伏せたり、背後から忍び寄って、相手が無防備なところを襲いかかるという戦法をとります。
足や喉に噛みついて動きを止めてしまえば、あとは持ち前の巨体を生かして相手をなぎ倒し、確実に仕留めることができるのです。
また、持久力が高く、素早い動きが出来なくとも、じわじわと獲物が弱るまで追いかけ回すという方法をとることもあります。
コモドオオトカゲは数キロ先の獲物を嗅ぎ分ける鋭い嗅覚もあるので、追跡は得意なのです。
獲物が動けなくなるまで、時には何日も追いかけるようです。
コモドオオトカゲが巨大バッファローを捕えて喰う↓
コモドオオトカゲの毒性
コモドオオトカゲが大きな相手を仕留めることができるのは、その不意打ちや巨体だけが理由ではありません。
コモドオオトカゲには毒があり、それによって大きな獲物でも無力化することができるのです。
この毒に関しては、最初から確認されていたわけではなく、後々の研究によって明らかになったものです。
それまでは、獲物が弱ったり命を落としたりするのは、口の中にある大量の細菌が原因と考えられていました。
コモドオオトカゲの口の中には、食べかすなどが基になって繁殖した60種類ものバクテリアが存在します。
噛みつかれた獲物は、この細菌に感染して敗血症を起こしているとされてきました。
しかし、実は細菌だけでなく、強力な出血毒(ヘモトキシン)をもっていることが分かったのです。
コモドオオトカゲの歯の間には、複数の毒の管があり、噛みついた時に獲物に毒を注入します。
これにはノコギリ状の鋭い歯も役立っており、がっちり噛みついて引っ張るようにすることで、管から毒が流し込まれるという仕組みになてっているのです。
この毒は、出血が止まらなくなる作用があり、噛んだ相手を失血死させます。
このため、たとえ逃げることができたとしても、一度噛まれた獲物は確実に衰弱していきます。
そして、弱ったところを持久力と嗅覚でもって確保するというわけです。
この毒の威力は凄まじいもので、陸の毒蛇の中では最も強力なナイリクタイパンに匹敵します。
ナイリクタイパンの毒は、1回で12万5千頭のマウスを仕留められるほどの強力です。
それと同じくらいの猛毒となれば、噛まれたら一巻の終わりですね。
まとめ
コモドオオトカゲは、インドネシアの小スンダ列島に生息している最大3mにもなる大型のトカゲです。
強力な出血毒を持っており、人間が襲われ死亡した例もある非常に危険な生物です。
しかし、その一方では、皮を目的とした乱獲などにより、生息数が減ってしまうという問題も起こりました。
そのため、コモド島やリンチャ島などをコモド国立公園として、保護が行われているのです。
そのような事情もあり、コモドオオトカゲは、現在は日本の動物園で見ることができません。