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火の精霊!?ファイアサラマンダーの生態や毒性について

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ファイアサラマンダー。

ゲームに登場するキャラクター名のような、かっこいい名前ですよね。

ファイアサラマンダーとは、主にヨーロッパに生息する陸生有尾類です。

有尾類とは、イモリやサンショウウオのように、有尾目に属する両生類の総称なのですが、彼らは非常に色鮮やかな姿をしています。

日本には生息していない種なのですが、その鮮やかさからペットとして人気であるため、ご存知の方も多いかもしれません。

しかし、色鮮やかであるということはつまり毒を持つということにもつながります。

さて、今回はファイアサラマンダーの生態や毒性についてみていきましょう。

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ファイアサラマンダーとは

ファイアサラマンダー

出典:wikimedia

ファイアサラマンダーは、有尾目イモリ科に属する種で多くの亜種が存在します。

亜種の種類は10~15種ほどと言われていますが、研究者によって意見が異なるためいまだ明確な分類はできていません。

 

ファイアサラマンダーはヨーロッパでは神聖な生き物で、四大精霊一つである火の精霊であると言われてきました。

古代ギリシャのアリストテレスや古代ローマのプリニウスの著書でもファイアサラマンダーについての記述があり、神聖なものとして王室の紋章にも利用されています。

“サラマンダー(Salamandra)”はギリシャ語で“火のトカゲ”を意味し、毒を発射“ファイア”することからファイアサラマンダーと名付けられたようです。

 

ファイアサラマンダーは、現代では火の精霊のイメージから実際にゲームのキャラクターとして用いられています。

それ以外にも、商品のキャラクターに使われるなど、比較的馴染のある動物と言えるでしょう。

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体の特徴

さて、それではファイアサラマンダーの特徴についてみていきましょう。

 

ファイアサラマンダーは体長12~25cm程度、体重20gほどの小さな生き物です。

体色は黒色地に黄色の模様が入っている個体が多いですが、変異が多い種であるため、地域によっては黄色ではなく赤色やオレンジ色、地肌が黒色ではなく赤色といった個体も存在します。

いずれにしてもこの鮮やかな色彩は“警告色”であり、自分には毒があるぞということを示しているのです。

体型については、太く長い胴体に太く短い四肢、やや短く細い尾を持ちます。

全体的にがっしりとした体つきで、基本的にはオスのほうが若干メスよりも大きいです。

 

毒腺の大きさは有尾類の中で最大で、毒腺は後頭部の両側にある耳腺、そして背部の正中線に沿って2列の毒腺が顆粒状に存在しています。

 

生態

ファイアサラマンダー

出典:wikimedia

えさは、ミミズやナメクジ、クモ、小型の昆虫、小型の両生類などです。

ファイアサラマンダーは視覚と嗅覚が優れており、少し明るいときは視覚を、暗闇では嗅覚を頼って獲物をとらえます。

獲物は唾液腺のついた舌を伸ばして捕らえたり、直接噛みついて丸飲みしたりと捕食方法は獲物によって異なります。

 

ファイアサラマンダーの繁殖形態についてはほとんどの種が卵胎生で、初夏に繁殖期を迎えます。

繁殖期にはオスの総排泄孔が膨れ上がり、交尾は有尾類としては珍しく陸上で行われます。

 

卵はメスの卵管内で孵化し、無精卵を食べてそのまま成長を続けます。

そして孵化から約9ヶ月後に、メスは水中で2.5~3.5mmの幼生を数十匹出産します。

 

なお、寿命は両生類の中では非常に長く、数十年近く生きることができるようです。

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分布域、どんな場所に生息している?

ファイアサラマンダーはヨーロッパの多くの地域に生息しており、他にはアフリカ北西部、アジア南西部などにも分布しています。

そのほとんどが、標高 400~1000 mほどの山地や丘陵地の林に生息しています。

暗くじめじめとしたところを好み、岩や倒木の下、他の動物の巣穴などに潜んでいます。

また、産卵のために水辺に近いところを選ぶ傾向があるようです。

ファイアサラマンダー

出典:wikipedia

活動時間は夜で、昼間は日光で体表の水分が蒸発してしまわないように、じめじめしたところでじっとしていることが多いようです。

帰巣本能が強い種で、えさを探しに遠くまで出かけても必ず元の場所に戻っていきます。

 

冬場は地面の下で冬眠しますが、それも住み慣れた場所を選びます。

 

ファイアサラマンダーの毒性

ファイアサラマンダー

出典:wikimedia

それではファイアサラマンダーの毒性についてみていきましょう。

 

有尾類は、そのほとんどが外敵から身を守るために皮膚から毒性あるいは刺激性のある分泌液を出します。

ファイアサラマンダーの毒の成分はサマンダリンというアルカロイド系の神経毒で、この毒が脊椎動物の体内に入ると筋肉の痙攣血圧上昇による過呼吸といった症状が引き起こされます。

 

基本的にファイアサラマンダーが毒を放出するのは身の危険を感じたときのみで、獲物を捕らえるときなどに毒を利用することはありません。

 

外敵に襲われたら、まず毒腺がある耳腺を相手に向けるという警告の姿勢をとります。

そして、秒速3mという速さで乳白色の毒液を発射するのです。

ファイアサラマンダーの毒腺は骨格筋に囲まれているため、筋肉を収縮させることによってこれだけの早さで発射できると考えられています。

 

私たち人間に対しても、危険と判断した場合には毒を発射される可能性がありますので、むやみに近づいたりしないようにしましょう。

因みに、この毒は身を守るためだけではなく、表皮につく細菌や寄生虫の繁殖を防ぐ役割も果たしているようです。

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ファイアサラマンダーの保護活動

ヨーロッパ広域に多く生息し各国にペットとして輸出されているファイアサラマンダーですが、近年は生息地近辺の環境破壊が進み、その影響が心配されています。

幼生が生育する水場の破壊、化学物質による汚染が原因で、地域によっては生息数が減少しているところもあるようです。

 

そのため、ヨーロッパ各国では保護活動が行われ、生息地を分断する道路の下にトンネルを設置、繁殖池の設置、生息地への車両立ち入り制限などが実施されています。

ファイアサラマンダーも環境破壊の犠牲とならないよう願っています。

 

まとめ

ファイアサラマンダーは、おもにヨーロッパに生息するイモリ科の生物です。

体色は黒地に黄色の模様が入っている個体が多く、その鮮やかな色彩は自分には毒があるぞという“警告色”となっています。

身の危険を感じると、後頭部の両側にある耳腺から秒速3mという速さで乳白色の毒液を発射します。

 

ファイアサラマンダーは毒があるとはいえ、見た目が色鮮やかできれいであるためペットとして人気です。

流通量も多く、飼育も特に難しいわけではありませんが、彼らは変温動物であるため温度管理には気を付けるなどいくつかの注意点はあります。

もし飼育を希望する場合は、飼育方法についてよく確認したうえで購入するようにしましょう。

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