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危険なクモ

ハイイロゴケグモの毒性と症状、治療について。もし見つけたら?

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2005年に施行された外来生物法のなかで、特定外来生物として1次指定された毒グモは全部で4種います。

その4種とは、セアカゴケグモ、クロゴケグモ、ジュウサンボシゴケグモ、ハイイロゴケグモです。

セアカゴケグモとクロゴケグモについては以前ご紹介したとおりです。

ジュウサンボシゴケグモは強毒を持つクモですが、今のところ日本で確認されたことはありません。

ではハイイロゴケグモはどうでしょうか。

こちらは、今までに複数の都道府県で発見されたことのある、気をつけるべき毒グモなのです。

今回は、ハイイロゴケグモの毒性と症状、治療についてご紹介させていただきます。

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ハイイロゴケグモとは

ハイイロゴケグモ

出典:wikimedia

ハイイロゴケグモは、ヒメグモ科ゴケグモ属に属する、亜熱帯地方が原産の毒グモです。

成熟したメスの体長は6~16mm程度、オスはメスの半分以下の2.5~4mm程度と比較的小型のクモです。

 

毒を持つのはメスのみでオスは無毒です。

メスの腹部は丸く、体色については、一般的にメスは黒色で腹部背側に赤色の模様が縦に入り、腹部腹側にも砂時計のような形をした赤色の模様があります。

一方、オスは灰白色で中央に白色の斑紋が入り、その両側に黒線が2本並んでいます。

非常に変異の多い種であるため、メスでも茶色や灰色の個体が存在し判別が難しいですが、腹部の背側腹側にある赤色模様で見分けることができるでしょう。

ハイイロゴケグモ 雌   

    メス 出典:flickr              オス 出典:wikimedia

 

ハイイロゴケグモは1回の繁殖時に5000個近い卵を産むため、ゴケグモ属のなかでは多産と言われています。

寿命についてはメスは2~3年、オスは半年~1年程度です。

 

ハイイロゴケグモの生息域、日本で発見された場所は?

ハイイロゴケグモはオーストラリアや中南米など、世界中の熱帯、亜熱帯地域に広範囲に生息しています。

日本では、平成27年9月10日現在で13都道府県で確認されています。

具体的には、

・東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、山口県、福岡県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

で確認されています。

 

東京都など関東でも見つかっているため繁殖しているのではと心配になりますが、今のところ日本では定着していないようです。

日本に侵入してきたのは、海外からのコンテナ等に付着していたためと考えられています。

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どんな場所にいる?

ハイイロゴケグモは日当たりの良い暖かい場所にある物陰を好み、地面や建造物の隙間、裏側などに営巣します。

営巣場所の具体例は、

・ベンチや自動販売機の裏、フェンスや壁の隙間、室外機、側溝、外に出ているサンダルの中

などです。

外に置きっぱなしにしている靴などがありましたら、使用前に一度確認をすると良いでしょう。

 

巣の形は不定形で埃のように見えることもあります。

食性は昆虫食で、アリやカメムシといった小型の昆虫を食します。

性格はおとなしく攻撃性は低いため、人間に対してはちょっかいを出さない限り襲ってくることはないでしょう。

 

ハイイロゴケグモの毒性

ハイイロゴケグモ

出典:wikimedia

それでは、ハイイロゴケグモの毒性についてみていきましょう。

 

毒は、前述したとおりメスのみが保有しますが、その成分はα-ラトロトキシンという神経毒です。

以前ご紹介したセアカゴケグモやクロゴケグモと同じ成分で、非常に強い毒性を持ちます。

 

昆虫が咬まれた場合は、神経伝達物質であるグルタミン酸の伝達が阻害されるため動けなくなります。

しかし、人間の場合は咬まれても毒の注入量が微量であるため、生息数が多いとされる中南米でもここ数十年は死亡例は報告されていません。

 

とはいえ、咬まれた際は激痛があります。

また、熱感掻痒感筋肉痛頭痛嘔吐といった症状があらわれることもあります。

基本的には数日で症状は治まりますが、重症化すると筋肉麻痺が引き起こされる場合があります。

死亡例はないとはいえ、決して油断はできないのです。

 

日本においては、今のところ咬傷被害の報告自体が出ていない状況です。

攻撃性が低いため、触らない限りは咬まれることはないでしょう。

もしハイイロゴケグモらしきクモを見かけても、むやみに手を出さないことが大切です。

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咬まれた時の対処法と治療

万一、ハイイロゴケグモに咬まれてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

 

もし咬まれたら、まずは石鹸を使って患部を洗い流し、余分な毒を取り除きましょう。

ポイズンリムーバーという毒を絞り出す道具があるので、念のため常備しておくのも良いでしょう。

 

 

そして、毒が回るのを遅らせるために患部を保冷材等で冷やしてください。

これは腫れを防ぐのにも有効です。

 

これらの処置をした後は、できるだけ体は動かさないようにすみやかに医療機関を受診しましょう。

受診の際、クモの種類が分かったほうが適切な治療を受けることができます。

可能であれば、咬んだクモを殺して持参すると良いでしょう。

 

現在は血清があるため、早めに治療を受ければ死亡する危険性はないので、焦らずに落ち着いて行動してください。

 

咬傷被害を防ぐためにはとにかくクモには触らないことです。

しかし、目立たないところに生息しているため、気づかずにうっかり触ってしまうことがあります。

日頃からハイイロゴケグモがいそうなところはむやみに触らず、側溝の掃除や土を触る場合には軍手あるいはゴム手袋を着用するように心がけましょう。

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もし見つけたら?駆除方法は?

さて、ハイイロゴケグモを見つけた場合は、駆除も必要です。

ハイイロゴケグモに限らずゴケグモ属を見つけた場合は、繁殖を防ぐためにも駆除しなければなりません。

 

駆除方法は、靴で踏みつぶすのが簡単ですが、他にはピレスロイド系の殺虫剤を噴霧する熱湯をかけるといった方法があります。

ただ、卵嚢を見つけた場合は殺虫剤は効きませんので、卵嚢に関しては踏みつぶすか焼却するようにしましょう。

 

そして、ゴケグモ属を見つけた場合は、お住まいの自治体に連絡する必要もあります。

他にも生息していないか確認する必要がありますので、必ず連絡をいれるようにしましょう。

 

まとめ

ハイイロゴケグモは、中南米やオーストラリア原産のクモです。

セアカゴケグモと同様に神経毒を持ち、咬まれると痛みや熱感、頭痛、嘔吐といった症状があらわれることもあります。

ここ数十年、ハイイロゴケグモによる死亡例はありませんが、決して油断はできません。

 

日本にはいるはずのないハイイロゴケグモ。

セアカゴケグモは、ほぼ全国で発見されるほど拡散してしまったため認知度が高いですが、ハイイロゴケグモに関してはご存じない方も多いでしょう。

ハイイロゴケグモに似ている在来種も実際に存在するため、危険なクモと気づかずに触ってしまうことがあるかもしれません。

 

貿易が盛んになった今、外来種の日本への侵入はもはや防げません。

危険な外来種から身を守るためには、どこで何が見つかったか常にアンテナを張り、その生物に対する知識を身につける必要があるでしょう。

自分の住む地域にはまだいないからと安心せず、何かがいるかもしれないという危機感を常に持つようにしたいですね。

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