秋田犬と言えば忠犬ハチ公ですね。
他にも、東日本大震災の後、被災地支援をしてくれたロシアへのお礼としてプーチン大統領に贈られたことが報道番組で何度も取り上げられました。
しかし、この秋田犬、日本の一部地域や海外では危険犬種とされ飼育が規制されている事もあるのです。
今回の記事では、秋田犬の性格・特徴・危険性・事件について解説します。
秋田犬のルーツ
秋田犬は秋田県原産の犬で「アキタイヌ」と読みます。
具体的には大館市のあたりが原産とされたため、昔は「大館犬」とも呼ばれていました。
スピッツ系とされます。
古代日本のお墓から秋田犬によく似た犬の骨が出土していますが、これは秋田犬を作出する際に土着の犬を使ったからとされます。
犬種としての歴史は17世紀からです。
17世紀、現在の秋田県に流刑された貴族が、鹿狩りや熊狩りに使われていた中型~中大型犬を集めて繁殖させたことが秋田犬という犬種のルーツとされます。
古くから秋田で猟師たちの狩りをサポートしてきたこの犬たちは、猟犬特有の唸り声で獲物を威嚇し、獲物の身動きが取れないようにしていました。
これら秋田犬のルーツとなる犬たちは、当時「猟犬」「マタギ犬」と呼ばれているだけで、特に犬種というものは意識されていなかったのです。
流刑されたという貴族は、この犬たちの中から特に優秀な犬ばかりを集めて、秋田犬を作り出しました。
19世紀終わり頃、秋田藩主佐竹氏が闘犬好きであったため、秋田犬は猟犬から闘犬として利用されるようになります。
「新秋田犬」とも呼ばれました。
それはつまり、せっかく作り上げた秋田犬という犬種に、土佐犬や大型の洋犬(ジャーマンシェパードやクレートデーンなど)の血を混ぜることでした。
20世紀初め、1916年になると日本での闘犬が禁止されます。
昭和初期に入ると、もう一度純粋な秋田犬を復活させようという動きが出てきて、1927年に「日本秋田犬保存会」が設立されます。
その後、1931年(昭和6年)7月31日に秋田犬は国指定天然記念物になりました。
ところが秋田犬の受難はまだ終わりません。
第二次世界大戦(1939~1945年)の間、防寒服を作るため、軍用犬のジャーマンシェパード以外の犬は天然記念物の秋田犬ですら軍に提出させられたのです。
秋田犬をなんとかして残そうと、ジャーマンシェパードと交配したり、こっそり疎開させるなど、苦しい戦時下において懸命な保存活動が続けられました。
終戦直後、純血の秋田犬は20頭以下と激減しましたが、それでもその犬たちを元にして現代の秋田犬が再度作られたのです。
体の特徴
秋田犬のオスは体高64~71㎝・体重39~59kgで、メスは体高58~66㎝・体重27~50㎏で、日本における北方系日本犬のなかでも最大の大型犬です。
耳は少し小さめの三角、逞しく発達した胸、首・手足・巻き尾は太めになります。
被毛の色は赤・白・黒・胡麻・虎・斑(マダラ)で、5㎝ほどの硬い直毛の上毛と、密集している下毛のダブルコートを持っています。
がっしりとした骨格と筋肉は、雪深い場所でも活発に動くことを可能にしてくれますし、二重の被毛は、雨・雪・寒さ・冷たい風から体を守ってくれます。
性格
秋田犬の性格は、温厚で忍耐強く、飼い主に従順で忠実で、家族を守るとされます。
ですが、大きな獲物を相手にできる大胆さと、猟犬ならではの自立心の高さと頑固さも兼ね備えています。
それはつまり、番犬特有性質である「家族以外の人間全員に吠える・威嚇する」「他の犬に攻撃的」という性格でもあります。
また、運動不足になると、ストレスから問題行動が出てきます。
しかも猟犬という性質を持っているため、ただの運動ではなく、知的好奇心も満たす必要があります。
大きな犬が飼いたい・大きいけれど可愛い、そんな理由だけでは決して飼えない、飼い主を選ぶ犬種なのです。
秋田犬の危険性
秋田犬はただ「体が大きいから危険」と言う犬種ではありません。
上記で述べたように、制御が難しいため、簡単には飼育できない犬種なのです。
このため、日本では茨城県のように「特定犬種」に指定され、オリの中でしか飼育ができない地域もあります。
また、海外でも秋田犬に対して規制されている国はあります。
マレーシアでは飼育自体が禁止されており、シンガポールやアイルランドでは飼育や輸入に制限がかかっています。
過去の事件
秋田犬は正しく飼わないと悲しい事件が起きてしまいます。
そこで秋田犬が起こした事件をまとめました。
・2012年12月にイギリスで3歳の男の子が秋田犬に襲われました。この事件で男の子は顔面に100針縫うケガをしました。
ただし、この事件は飼い主の飼い方に問題があったわけではないとされ、この秋田犬は殺処分を免れました。
他にもイギリスでは、
・2010年に8歳の女の子が175針を縫う大けが
・2012年には9歳の女の子20針を縫う大けが
・2013年には1歳の赤ちゃんが襲われる
という事件が起きています。
日本では
・2000年10月7日、青森県で7歳の男の子が秋田犬に咬まれ死亡しました。
・2009年10月11日、福岡県で4歳の男の子がロットワイラーと秋田犬に全身を咬まれ死亡しました。
記憶に新しい所で、
・2017年4月17日、北海道の斜里町で79歳の女性が飼い犬の秋田犬に噛まれ、出血死する事件が起きてしまいました。
まとめ
秋田犬は、日本の秋田県原産の犬です。
温厚で忍耐強く飼い主に従順な性格ですが、猟犬や闘犬に使われてきた過去もあり、勇敢で家族以外の人間や他の犬に攻撃的という一面もあります。
茨城県では、「特定危険犬種」に指定されているので、オリの中でしか飼育ができません。
秋田犬の性質を良く知らない人が見ると、秋田犬はあたかも柴犬を大きくしただけの犬種に思えますね。
でも実際は飼うのがとても難しいのです。
ネット上で配信されている動画などを見ると、つい「秋田犬かわいい」と飼いたくなりますが、安易な気持ちで飼うと悲しい事故が起きてしまいます。
このようなことが起きないよう、飼い主側に責任を問うだけでなく、秋田犬の子犬を売る側にも配慮を求める必要がありますよね。