イヌやネコと言ったペットを飼う際の大きな問題といえばノミ、ダニ被害ですよね。
イヌやネコのような動物にはノミ、ダニがつきやすく、放っておくと病気の原因にもなります。
特にノミは何カ所も刺してくるうえに刺されるつらい痒みが襲ってきます。
そして繁殖力と生命力が強く、ダニと違って駆除しにくい厄介な存在なのです。
そんなノミの中に、人間にも影響を及ぼすネコノミがいます。
今回は、ネコノミに刺された時の症状や対処法、駆除方法についてご説明します。
ネコノミとは
ネコノミはネコに寄生するノミのことを指しますが、実際はネコだけではなくイヌにも寄生します。
イヌに寄生するノミとしてはイヌノミが知られていますが、近年はネコノミに寄生されるイヌが増えているようです。
ネコノミの成虫は、体長がオスの場合で1.0~2.0㎜、メスの場合で1.6~3.0㎜と、基本的にはオスよりもメスのほうが大きいです。
ダニと違って肉眼で確認できるほどの大きさで、体色は淡褐色から黒褐色で体つきは扁平、後脚が長いです。
ネコノミは非常にジャンプ力があり、その後脚を使って自身の体長の100倍ほどの高さ、およそ30㎝も高く飛ぶことができるのです。
ネコを室内飼いしている方であれば、家の中でぴょんぴょん飛んでいるネコノミを見たことがあるかもしれませんね。
ネコノミはネコの体毛、外表皮に寄生しており、吸血・産卵を繰り返します。
繁殖力が非常に強く、成虫1匹につき1日10~20個の卵を産みます。
卵は約2日で孵化し、卵→幼→さなぎ→成虫という段階を踏んで成虫となります。
幼虫は吸血せず、成虫の糞や猫の食べかす、フケといった有機物を食べて育ちます。
ネコノミの寿命は約2カ月ですが、その間に1000個近い卵を産むというから驚きです。
彼らはまた生命力も強く、全く吸血しなくても生存し続けることができるのです。
ネコノミが繁殖するのは5~11月で、彼らにとって快適な環境は気温18~27℃、湿度70~90%程度であるため、特に梅雨から夏場は要注意です。
室内だと冬でも暖かい状態にすれば繁殖は可能です。
飼いネコが外に遊びに行く場合は、室内にネコノミを持ちこむ恐れがあります。
屋外では草むらなどに潜んでいて、近づいてきたネコの吐く二酸化炭素に反応して近づき寄生するのです。
室内に入り込んだネコノミは、幼虫のまま畳やカーペットの下、布団、ペット用クッション等に潜伏して繁殖します。
そして室内で繁殖したネコノミは、ネコのみならず人間にも近づき吸血します。
ただし、寄生はしません。
彼らの繁殖力を考えると、室内でネコノミの存在に気付いた場合、もしくは吸血されてしまった場合は、一刻も早く対策に乗り出す必要があります。
ネコノミに刺された時の症状
それでは、人間がネコノミに刺されるとどのような症状があらわれるのでしょうか。
まず、ネコノミに刺されると、とてつもない痒みが襲っています。
痒みは刺されてから1~2日後に出てきますが、その痒みは数日続き、ひどい場合には1カ月近く続くこともあります。
刺された箇所には1点の咬み跡が残り、赤い斑点のように腫れあがったり水ぶくれができたりします。
また、基本的にノミは1カ所吸血するだけでは終わらず、皮膚上を移動しながら何カ所も吸血します。
そのため、赤い斑点が1本のラインのようになります。
刺される場所は、大人の場合ほとんどがひざ下です。
ネコノミがジャンプできる高さがおよそ30cm、それがちょうどひざ下なのです。
ネコノミは、人間の体温や二酸化炭素、音に反応して飛び移ってきます。
そのため、体温が高く活発に動き回る子どもが狙われることも多いようです。
猫ひっかき病に注意!
さて、ネコノミが恐ろしいのはこれだけではありません。
ネコノミは猫を介してかかる人畜共通感染症、猫ひっかき病にも関与しているのです。
猫ひっかき病とは、猫が引っ掻いたり噛んだりすることにより感染する病気で、人間が感染すると、傷やリンパの腫れ、発熱、倦怠感などが数週間ほど続きます。
ネコ自身は猫ひっかき病に感染していても無症状ですが、ネコノミが感染猫の血を吸うことで自身にも菌が入り、菌が入ったネコノミの糞をネコが歯や爪に付着させることで人間にも感染すると考えられています。
ネコを飼育している人は多いため、猫ひっかき病患者も多いです。
患者の約60%が女性というデータが出ており、これは女性のほうがネコを世話することが多く引っ掻かれる機会も多いためと言えるでしょう。
猫ひっかき病は軽度であれば自然治癒しますが、重度の場合は麻痺や脊髄障害になることもあるため、少しでも腫れが生じたときは医師の診察を受けることをおすすめします。
ネコノミに刺されてしまった場合の対処法
話を戻して、ネコノミに刺されてしまった場合の対処法ついてご説明します。
ネコノミに刺されたときの痒みは尋常ではなく、何もせず我慢するということはまずできません。
市販の虫さされ用塗り薬もあまり期待できないため、速やかに皮膚科を受診したほうが良いでしょう。
応急処置としては、冷たいタオルなどで患部を冷やすことです。
冷やすことで痒みが少し和らぎます。
また、刺された箇所をアルカリ性石鹸で洗うと、酸性であるネコノミの唾液を中和させることができます。
また、消炎・殺菌作用のあるアロエを塗ると多少痒みが軽減するかもしれません。
しかし、あくまでも応急処置です。症状を悪化させないためにも、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
ネコノミの駆除方法
次に、ネコノミの駆除方法についてです。
まず、飼い猫にネコノミがついている場合は、ノミ取り用くし、ノミ取りシャンプーできれいにしましょう。
この際、決してノミを潰してはいけません。
ノミを潰すと卵が飛び散ってしまうのです。
ノミを潰さないよう細心の注意を払いながら行ってください。
また、スポットタイプの駆除剤を使用することもお勧めします。
市販もありますが、動物病院で販売されている駆除剤のほうが効果があります。
予防のためにも、ネコノミの繁殖時期は定期的につけるとよいでしょう。
室内にネコノミが繁殖した場合は、バルサンなどの燻煙タイプの殺虫剤を使用すると良いでしょう。
ただ、この場合卵や蛹には効果がありません。殺虫剤を使用した後は室内を掃除機で丁寧にかけて吸い取ってください。
布団などに繁殖した場合は布団乾燥機が有効です。
後はノミ取りホイホイのようなものを部屋の数カ所に設置すると良いでしょう。
とにかく、ネコノミの姿が見えなくなるまで、まめに掃除機をかけて清潔にするしかありません。
掃除機、殺虫剤をうまく併用しながら駆除を行ってください。
まとめ
ネコノミによる被害は恐いとはいえ、ネコ好きにとってネコはいなくてはならない存在ですよね。
しかし、ネコがいる限り、人間にも被害が及ぶ可能性があることが事実です。
人間がネコノミに刺されないために、また猫ひっかき病に感染しないために、完全に室内飼いにすることをお勧めします。
ネコノミはだいたいの場合、外に出ることで寄生されます。
室内飼いにすれば、ネコがネコノミに寄生される可能性がかなり低くなるのです。
室内飼いは、結果的に飼いネコ自身を交通事故や他ネコとの喧嘩などから守ることにもつながります。
ネコと人間が快適な生活を送るためにも、ネコを外に出しているご家庭は是非一度ご検討ください。