ワニは陸上と水中の両方で生活できる爬虫類です。
ワニの遠い祖先は2億年も前の三畳紀に出現したとされます。
超大陸パンゲアや超大陸ゴンドワナが大陸移動するときにできた浅瀬や沼地に適応するため、ワニの祖先は進化を重ねてきました。
今回の記事では、ワニ(鰐)の種類や特徴について詳しくお話しします。
目次
ワニの種類
ワニは、ワニ目・正鰐亜目の爬虫類です。
アリゲーター科・クロコダイル科・ガビアル科の3科があり、全23種が存在しています。
アリゲーター科
・アリゲーター属
アメリカアリゲーター・・・別名ミシシッピワニ、最大で6mにもなる大型種で、北アメリカ大陸の東南部に生息しています。人間を襲った例もあり。
ヨウスコウアリゲーター・・・別名ヨウスコウワニ、最大2mほどになり、中国の固有種です。人間には無害だとされています。
・カイマン属
メガネカイマン・・・最大で体長3mになり、中南米に生息しています。目の間の隆起がメガネに見えることが名前の由来です。
クチビロカイマン・・・最大で体長2.5mになり、南米に生息しています。
パラグアイカイマン・・・最大で体長2mほどの小型種で、南米に生息しています。ふ化した子供を母親が守る子育てワニとして知られています。
・クロカイマン属
クロカイマン・・・最大で体長4.5mになり、南米に生息しています。皮目的の乱獲により生息数が減り、絶滅の恐れも出ています。
・コビトカイマン属
コビトカイマン・・・別名キュビエムカシカイマン、最大で体長1.7m程の小型種で、南米に生息しています。大人しい性質で人に危害を加えることは無いとされています。
ブラジルカイマン・・・別名シュナイダームカシカイマン、最大で体長1.7mになり、南米に生息しています。
アリゲーター科のワニは上記の8種です。
クロコダイル科
・クロコダイル属
ナイルワニ 出典:wikimedia イリエワニ 出典:flickr
アメリカワニ・・・最大で体長6.5mになり、アメリカ合衆国(フロリダ)や中米に生息しています。大型種ですが臆病な性格で人間を見ると逃げて行くことも多いそうです。
キューバワニ・・・最大で体長3.5mになり、キューバに生息しています。獰猛な性格で人を襲う危険もあります。生息数は少なく絶滅も恐れもあります。
モレレットワニ・・・別名グァテマラワニ、最大で体長3mになり、中米に生息しています。
オリノコワニ・・・最大で体長6mになり、南米のオリノコ川に生息しています。生息数が少なく絶滅が危惧されています。
オーストラリアワニ・・・別名ジョンストンワニ、最大で体長3mになり、オーストラリアに生息しています。動きが早く陸上で時速50km以上で走ることが出来るそうです。
ニューギニアワニ・・・最大で体長3mになり、パプアニューギニアに生息しています。ワニ革製品としてよく利用されている種です。
ナイルワニ・・・最大で体長6mになり、アフリカとマダガスカルに生息しています。獰猛な性格でバッファローなどの大型動物をも襲い、人間も襲われた例が多数ある危険なワニです。
アフリカクチナガワニ・・・別名ハナナガワニ、最大で体長4mになり、アフリカの西部から中部に生息しています。汽水域にも現れることがあります。
イリエワニ・・・最大で体長8mにもなると言われる爬虫類最大種で、インド、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア北部などに生息しています。人間を襲った例も多く危険なワニです。海を泳いで渡ることが出来るとされ、日本でも西表島や奄美大島、八丈島に流れ着いた死骸が発見されたことがあるそうです。
ヌマワニ・・・最大で体長5mになり、インド、イラン、ネパール、スリランカなどに生息しています。汽水域にも現れることがあります。
シャムワニ・・・最大で体長4mになり、インドネシアやタイなどの東南アジアに生息しています。
ミンドロワニ・・・別名フィリピンワニ、最大で体長2.5mになり、フィリピンに生息しています。生息数が少なく絶滅が危惧されています。
・コビトワニ属
ニシアフリカコビトワニ・・・別名ニシアフリカコガタワニ、最大で体長2mほどの小型種で、アフリカ中部から西部に生息しています。クロコダイル科にしては大人しい性格だそうです。
・マレーガビアル属
マレーガビアル・・・別名ガビアルモドキ、最大で体長5mになり、インドネシアやマレーシアなどに生息しています。とても細長い吻が特徴です。生息数が減少しており絶滅も恐れもあります。
クロコダイル科のワニは上記の14種です。
ガビアル科
・ガビアル属
インドガビアル・・・最大で体長6mになり、インドやネパールなどに生息しています。細長い吻が特徴的でオスには鼻先にコブがあります。生息数が激減しており絶滅が危惧されています。
ガビアル科のワニは上記の1種です。
分布域は? どんな場所に生息している?
ワニの分布域は、熱帯から亜熱帯です。
アフリカ大陸・インドとその周辺の国々・東南アジア・オセアニアの北部・北米大陸南部・中米・南米大陸などです。
生息地は水辺を好み、基本的に河川や湖沼といった淡水域に生息しますが、汽水域にも生息する種もいます。
体温調整のために、太陽が出ている時間帯に陸上に上がり大きな口を開けて日光浴をすることもあります。
体の特徴
小型のワニは、全長1.5mほどです。
大型ワニの代表イリエワニになると、爬虫類の中でも最大クラスとなり、最大全長は8mほど、体重は1トン以上にもなるとされています。
捕獲された個体としては、全長6.17mという記録があります。
ワニは「吻(ふん)」と呼ばれる長い口・水面から覗く目と鼻の穴・長い尾が特徴的です。
ワニの歯は一度捕まえた獲物を離さないよう、交互に生えています。
また、音域が広いので聴力がとても良いです。
背中の鱗は「鱗板(りんばん)」と呼ばれ、角質化して硬くなっています。
クロコダイル科のワニには「鱗板」に熱感知器官があり、アリゲーター科のワニにはありません。
ワニは凶暴な性格で知られていますが、クロコダイル科のワニは脳が大きく賢いため、3科の中で最も危険とされます。
逆にわりと穏やかな性格の個体が多いのはアリゲーター科のワニとされます。
とは言え、ワニが危険な生物である事には変わりありませんが。
生態
ワニの餌は、水生生物の魚類・水生昆虫・甲殻類・貝類、水辺に来た爬虫類・哺乳類・鳥類などです。
丸のみにできないほど大きな獲物は、交互に並んだ歯と強力な顎でしっかり押さえ、自分の体を回転させて、獲物の体を食べやすい大きさに引きちぎります。
赤ちゃんワニは、水生昆虫や甲殻類を食べています。
ワニの泳ぎ方は、手足を体にくっつけて、シッポを左右に振ります。
陸上では、短い距離ならば走ることもできます。
ワニは爬虫類の中でも珍しく社会性の高い種類で、鳴き声でコミュニケーションをとります。
赤ちゃんワニは危険が迫ると鳴き声を出して母ワニに助けを求めますし、オスは繁殖期になると鳴き声でメスを誘います。
繁殖方法
ワニのメスは巣を作り産卵をします。
産みっぱなしにする爬虫類が多い中で、母ワニは卵が孵化するまでそばにいて、ふ化した後も赤ちゃんワニを守る習性があります。
ちなみに、ワニは環境温度によってオスとメスの産まれる確率が変化します。
これは「温度による性決定(TSD)」と呼ばれるもので、ワニの場合、高温や低温状態ではメスばかりが産まれるとされます。
天敵は? 捕食者はいる?
ワニは淡水における食物連鎖ピラミッドの頂点に君臨する生物です。
卵や、赤ちゃんワニの時期には自分よりも大きな肉食動物に捕食されることもありますが、成長して体が大きくなると天敵は人間のみになります。
ワニの皮革は丈夫なため、皮目当てに乱獲されてしまい、生息数が激減してしまった種もいます。
ワニの肉は美味しい?
ワニの肉は、鶏肉(ささみ)に似ているとされ、弾力がありとても美味しいそうです。
また、高タンパク低カロリーの食材として健康に良いと注目されています。
海外では日常的に食べられている地域もあります。
日本では、通販で買えるので興味のある方は是非お試しください。
ワニの捕まえ方
ワニは恐ろしく凶暴なイメージですよね。
実際口を閉じる力は凄まじいのですが、意外にも口を開く力は弱いのです。
この特徴を利用して、ワニを捕獲するときには背後から近づき、ワニの背中にまたがりながら口をロープで縛ります。
こうするとワニを無抵抗で捕獲できるそうです。
わりとあっけなくて拍子抜けですね。
ただし、尻尾の力はとても強力なので口を縛った後も油断して尻尾に近づかないようにしましょう。
まとめ
ワニは、3科8属にわかれ23種類がいます。
よく人食いワニと恐れられるのは、クロコダイル科のワニがほとんどになります。
中でも、イリエワニとナイルワニはとても獰猛な大型種で、人間を襲った例も多い非常に危険なワニです。
しかし、逆に人間がワニ革目的のために乱獲したせいで個体数が激減し絶滅に瀕している種も多数います。
ワニからしても人間以上に危険な生き物はいないでしょう。