サメといえば海に生息するものですが、実は川などの淡水にも適応できる種類が存在します。
それはオオメジロザメというサメです。
彼らは基本的には海にいますが、川や湖にも平気で侵入していきます。
サメが川に出没するだけでも恐ろしいのに、オオメジロザメは人食いザメとしても有名であるため非常に厄介なのです。
今回は、オオメジロザメの生態や危険性について詳しく見ていきましょう。
オオメジロザメの生態
それでは、オオメジロザメの生態についてご説明します。
オオメジロザメは、メジロザメ目メジロザメ科に属するサメで、漢字で大目白鮫と書きます。
英名ではブルシャーク(Bull Shark)と言うため、日本でもウシザメ(牛鮫)と呼ばれることがあります。
ちなみに、沖縄ではシロナカーと呼ばれています。
オオメジロザメの体長は3~3.5m程度で、最大で4mほどになります。
基本的にメスのほうがオスよりも大きく、メスの平均は2.4m、オスの平均は2.2mです。
体重は2m前後の個体で約100kgと、サメとしては比較的中型の部類に入ります。
体色は腹側は白色、背側は暗灰色をしており、流線形でがっしりとした体つきをしています。
吻は丸く短く、エラが短いのが特徴です。
また、背ビレは大きな鎌形をしており、若い個体ではヒレの先が少し白いです。
非常に強靭な歯を持っており、上あごの歯はほぼ正三角形であるのに対し、下あごの歯は細長くなっています。
この歯はのこぎり状になっており、亀の甲羅などの固いものでも噛み砕くことができます。
オオメジロザメの繁殖形態は胎盤を形成する胎生で、約10カ月の妊娠期間を経て1~13尾の幼魚を出産します。
平均寿命は12年~16年と言われています。
生息域
オオメジロザメは世界中の熱帯、亜熱帯の海域に生息しており、紅海とモルディブ、地中海以外の暖かい海域の沿岸部にいることが多いです。
また、オオメジロザメは淡水域でも目撃されることが多く、アマゾン川の上流3700km地点やミシシッピ川の上流3000km地点、さらにはニカラグア湖など海から離れた場所で生息していることが確認されています。
他にもインドのガンジス川やアフリカのザンベジ川など淡水域での分布は幅広く、日本では沖縄付近の海域や河川で目撃されています。
実際に沖縄では、国際通り付近の安里川でオオメジロザメを釣り上げたという報告が何件かあります。
オオメジロザメはサメの中で唯一、淡水の中で生息することができる種なのです。
食性
オオメジロザメの食性についてですが、雑食性で小型のサメを含む硬骨魚類やカメ、海鳥などを捕食します。
また、甲殻類やエイ、イルカなども捕食し、川では牛などの哺乳類も襲うことがあるようです。
また、オオメジロザメは人間を襲うことでも知られ、人食いザメとして恐れられています。
河川にも生息しているため人と遭遇することが多く、実際に川での被害も多数起きています。
そのためニカラグア湖では乱獲がすすみ、現在絶滅の危機に瀕しているようです。
オオメジロザメの危険性
次に、オオメジロザメの危険性についてみていきましょう。
オオメジロザメは中型のサメでありながら、非常に凶暴な性格のためホオジロザメ、イタチザメに次いで人間を襲った例が多いサメです。
淡水域に侵入できるだけでなく、狭い場所などにも入り込むことができるため、人間と遭遇する機会が多いことも原因として挙げられます。
現に、沖縄近海でもオオメジロザメに襲われた報告が多いため、非常に危険なサメであるとして沖縄県では海水浴客に注意喚起しています。
ビーチの近くでオオメジロザメが目撃された場合には、サメがいなくなるまでビーチを封鎖し決して海に入らないよう呼びかけているとのことです。
しかし、彼らは川にも侵入してくるため、海に入らなければ大丈夫というわけではないのが非常に厄介な点です。
オオメジロザメの口は腹側にあるのですが、獲物を襲う際は顎全体を前方に突き出し口を大きく開けることにより、閉じたときの力がより強力になる仕組みになっています。
また、三角形の歯は非常に鋭く頑丈であるため、人間が噛まれた場合は致命傷となる可能性が高いのです。
日本での死亡事故
・1996年7月、沖縄県宮古島でサンゴの生育調査をしていた男性がオオメジロサメに襲われ、右胸から下腹部を食いちぎられて死亡しました。
水族館でも見れる?
オオメジロザメのその凶暴性は、水族館での飼育下でも明らかです。
現在日本では、沖縄美ら海水族館や、京急油壺マリンパークなどの水族館でオオメジロザメを見ることができます。
オオメジロザメは雑食性で、他の魚をどんどん捕食してしまうため飼育が難しいとされています。
現に美ら海水族館では、同じ水槽内の巨大ザメが何度もオオメジロザメにより襲われているようです。
私たちが水族館で観賞する場合は、ただただサメの大きさと恐ろしさに圧倒されるばかりで、サメ同士の戦いなど気づくこともないですが、サメや他の魚たちをうまく共存させながら飼育していくというのはとても大変なことなのですね。
ちなみに、美ら海水族館では1978年からオオメジロザメを飼育しており、最長飼育記録を更新し続けている個体がいるだけでなく、繁殖にも成功しているため繁殖賞を受賞しています。
まとめ
オオメジロザメは、メジロザメ目メジロザメ科に属するサメです。
世界中の熱帯、亜熱帯の海域に生息しており、日本近海にも生息しています。
また、オオメジロザメはサメの中で唯一、淡水の中で生息することができるという特徴があります。
人間を襲うことでも知られ、日本でも死亡事故が起きたことがあり人食いザメとして恐れられています。
2016年には、沖縄県北谷町のビーチでオオメジロザメが目撃され遊泳禁止となりました。
その後このサメは捕獲されましたが、観光客も多い人気なビーチでの出来事だけにとても怖いですね。