毒グモのイメージが強いタランチュラ。
毛むくじゃらなうえに体も大きなタランチュラは非常にインパクトがあり、よくテレビ番組などにも登場し出演者を驚かせています。
もちろん、タランチュラは毒を持っています。
しかしその毒性は一体どの程度なのでしょうか?
毒グモでありながらも、近年ペットとしても人気なタランチュラ。
今回は、このタランチュラの毒性や生態について詳しくみていきたいと思います。
目次
タランチュラとは
タランチュラとは、オオツチグモ科に属するクモの総称です。
本来はヨーロッパの伝承に登場する毒グモのことを指すのですが、その伝承を知るヨーロッパ人が大陸を渡って出くわした大型のクモをタランチュラと呼んだことから“タランチュラ”という名が浸透しました。
当時ヨーロッパ人がタランチュラと呼んでいたのはアシダカグモ類やオオツチグモ科ですが、いつの間にか全身が毛で覆われているオオツチグモ科の総称となりました。
タランチュラの生態
さて、タランチュラはご存知の通りとても大きいです。
その胴体の長さは10cm前後で、脚の長さと合わせると20cm以上になることもあります。
一般的にメスのほうがオスよりも大きく力も強く長生きです。
寿命は、オスが2~3年であるのに対し、メスは10年以上、個体によっては20年以上も生きます。
オスの寿命が短いのは、種によっては交尾の後にメスに食べられてしまうという事情もあるようです。
タランチュラは、世界中の熱帯や亜熱帯、乾燥地帯に幅広く生息しています。
具体的にはアメリカ大陸、熱帯地域のアジアやアフリカ、地中海地方、ニューギニア島やオーストラリアなどです。
タランチュラの4つの名称パターン
タランチュラは世界中に800種類近く存在すると言われていますが、体が大きく全身が毛で覆われているという点は共通しています。
生活様式は地中性、地表性、樹上性と種によって様々ですが、生息地域と生活様式から次の4パターンに分けることができます。
タランチュラは、地域によって
・バードイーター、ツリースパイダー、アースタイガー、バブーン
と呼ばれます。
バードイーターは南アメリカやオーストラリアに生息する地表性のタランチュラで、性格は比較的おとなしい種が多いです。
ツリースパイダーは、地域に関係なく樹上性のタランチュラのことを言います。
ツリースパイダーには脚の長い種が多く、動きも早く凶暴であることが多いです。
アースタイガーは主にアジア、そしてオーストラリアなどに生息する地中性のタランチュラで、腹部に虎のような模様がある種がいることからそう呼ばれるようになりました。
気が荒い種が多く、場合によっては樹上まで行動範囲を広めることもあるようです。
最後に、バブーンはアフリカに生息する地中性のタランチュラで、気が荒く牙を擦り合わせたり脚を振り上げたりという威嚇行動をとります。
タランチュラの巣と糸
このようにタランチュラにはさまざまな種がいますが、ほとんどのタランチュラが巣を作ります。
それは、私たちが身近で見るクモの巣ではなく巣穴です。
糸は空中に張り巡らせるのではなく、巣穴の近くに張り巡らせます。
タランチュラは糸で獲物を捕らえるのではなく、糸は巣穴の近くに獲物が近付いてきたかを確認するためのセンサーの役割を果たすのです。
タランチュラの食性
タランチュラは肉食で、主に昆虫類や両生類、ネズミなどの小型哺乳類を捕食します。
バードイーターは、その名の通り小鳥を狙うこともあるようです。
夜行性であるため夜に捕食行動をとりますが、彼らは獲物を捕らえた後、鋏角という口器から毒を注入し麻痺させてからとどめを刺します。
そして、消化酵素を分泌し獲物の体を溶かして吸うのです。
いわゆる体外消化ですね。
体外消化は体内での消化効率が良くエネルギーもあまり消費しないため、非常に効率的な食べ方かもしれません。
タランチュラの毒性
さて、それではタランチュラの毒性についてみていきましょう。
タランチュラはその見た目とテレビなどのイメージから猛毒を持つと考えている方が多いと思いますが、実は毒性はそれほど強くありません。
タランチュラの毒は”タランチュラトキシン”という壊血性の毒なのですが、人間には作用しないと言われています。
毒は鋏角という2本の鋭い牙に含まれており、その鋏角で咬まれることによって毒が注入されます。
しかし、もし咬まれても少し炎症を起こす程度で、死に至る危険性はまずないと言って良いでしょう。
過去の死亡例もないに等しく、そのためタランチュラの毒に対する血清は作られていません。
とはいえ、アレルギーでアナフィラキシーショックを起こす可能性はありますので、もし咬まれて吐き気や血圧低下、意識障害といった症状があらわれた場合はすぐさま医療機関を受診しましょう。
また、毒性は弱いにしても鋏角は非常に鋭いため咬まれると激痛が走ります。
その威力はなかなか強く、プラスチックを貫通させるほどです。
とにかく、タランチュラに咬まれたらまず患部を冷水で洗い、保冷剤をあてるなどして冷やしましょう。
そして、市販されている虫さされ用ステロイド剤を塗って様子をみましょう。
もし数日経っても腫れや痛みが引かない場合は医療機関を受診してください。
タランチュラの刺激毛に注意!
タランチュラで気をつけなければならないのは、毒よりもむしろ刺激毛かもしれません。
タランチュラの腹部には刺激毛という細い毛があり、自己防衛のためにその刺激毛を飛ばしてくることがあります。
この刺激毛が皮膚に刺さると強烈なかゆみや痛みが襲ってきます。
発射する際は大量に毛を飛ばしてくるため、喉や鼻にも入ってしまうことがあります。
万が一目に入ったら炎症を起こし、最悪の場合失明する可能性もあるでしょう。
もし刺激毛を受けたらすぐさま水で洗い流しましょう。
鼻などの粘膜部分に付着して痛みが取れない場合は、医療機関を受診して処置してもらってください。
刺激毛を受けないためにはむやみにタランチュラを触らないことが大切です。
また触るにしても手袋を着用する、顔を近づけないといった防御策をとると良いでしょう。
ペットとして人気のタランチュラ
タランチュラは近年、ペットとしての人気があります。
日本には生息はしていないものの、ペットショップなどでは数千円から普通に販売されています。
人気の種は大人しい性格のバードイーターに属する種で、特に”ローズヘアータランチュラ”や”メキシカンレッドレッグレッグスパン”などが大人しくて飼育しやすいと言われています。
必要なグッズ、環境を整えれば初心者でも気軽に飼うことができるでしょう。
だた、タランチュラはまだまだ猛毒を持つというイメージが強いです。
当然クモ嫌いの人もたくさんいます。
飼育する際はくれぐれも逃がさないように気をつけましょう。
まとめ
タランチュラは、オオツチグモ科に属するクモの総称です。
なんとなく猛毒を持つイメージが強いかもしれませんが、実際はそれほど強い毒ではなく咬まれても死亡するようなことは滅多とないようです、
しかし、腹部にある刺激毛という細い毛を飛ばしてくることがあり、この刺激毛が皮膚に刺さると強烈なかゆみや痛みに襲われますので、むやみに素手で触らないように気を付けましょう。
タランチュラには多くの種類があり、その美しさからペットとしても人気があります。
ペットショップで数千円から買えるので、興味のある人は一度覗いてみて下さい。