今世界中には約2500種類もの蚊が生息していると言われています。
そのうち日本に生息している蚊は約100種類。
そんなにたくさんの蚊がいるのかとびっくりですよね。
日本でよく目にする蚊としてはヒトスジシマカやアカイエカ、コガタアカイエカ、チカイエカ、トウゴウヤブカが挙げられます。
刺されると痒いだけでなく、羽音を聞くだけでも不快な思いをする蚊。
今回は、蚊の種類ごとの生態についてご紹介させていただきます。
ヒトスジシマカ
蚊といわれると、まず思い描くのは足がシマシマ模様のヒトスジシマカではないでしょうか。
ヒトスジシマカはヤブカ属で体長は約4.5mmほどです。
体は黒色で胸部の背面中央に白色の縦線が1本あり、脚も縞状になっているのが特徴です。
ヒトスジシマカは寒さが苦手とされており、その生息地の北限は岩手県となっています。
日本では、岩手県から沖縄県までが生息地となります。
ただし、現在は温暖化の影響などからも、その生息地が徐々に北上してくる可能性が懸念されています。
定着の確認はされていませんが、秋田県や青森県でも、ヒトスジシマカのコロニーが確認されているのです。
おもに昼間の庭や公園の草むらにいて、人が近づいたところで吸血します。
とにかく人が大好きな蚊です。
私たちの蚊のイメージとして強いのは、昼間よく見かけるためだったのですね。
25℃~30℃の暖かい環境で発育し、植木鉢の受け皿や側溝など水のたまったところでよく発生します。
基本的に水がある場所であればどこでも生息できるので、空き缶に溜まった雨水程度でも、十分に繁殖することができます。
成虫として活動する時期は5月~10月で、成虫としての寿命は40日程度です。
ちなみにヒトスジシマカは、冬になると卵の状態で越冬します。
以前問題となったデング熱を媒介するのは、このヒトスジシマカです。
ヒトスジシマカについてはこちらの記事をご参考下さい。
アカイエカ
次にアカイエカについて説明します。
アカイエカはイエカ属で体長約5.5mm、赤褐色の蚊です。
日本での生息地は、沖縄と小笠原諸島を除く全域です。
屋内にいることが多く、活動時間も夜間のため寝ている人をよく吸血します。
夜、耳元でプ~ンという音を聞かせて睡眠を邪魔するのはこいつですね。
活動時期は3月~11月で、秋に羽化したメスの成虫は吸血をせず成虫で越冬します。
アカイエカの寿命は30日程度と言われていますが、秋に羽化する成虫は越冬するため6カ月ほど生きていると考えられます。
このアカイエカは、犬のフィラリアを媒介するので、犬を飼っている家庭は注意が必要な蚊です。
チカイエカ
チカイエカはアカエイカと同じイエカ属で体長約5.5mm、赤褐色をしています。
このチカイエカとアカイエカは見た目がとてもそっくりです。
日本での生息地は、四国や九州、本州の都市部などです。
寒さに強いため冬になっても冬眠せず、地下街やオフィスなど冬でも寒くない場所にひそみ吸血行動をします。
冬なのに蚊に刺された!?って時はこいつが犯人です。
活動時間も昼夜を問わず1日中なので厄介な蚊ですね。
アカイエカと異なる点は、吸血をしなくても1回は産卵できるということです。
2回目以降は吸血欲がでるので、鳥や人などから吸血することによって産卵を繰り返します。
また、成虫の寿命は他の蚊と同じく30日程度です。
このチカイエカも、フィラリアを媒介します。
コガタアカイエカ
次にコガタアカイエカについて説明します。
コガタアカイエカはイエカ属で体長約4.5mm、灰褐色の蚊です。
活動時期は夏から秋で、主に夕方から夜にかけて活発に活動します。
水田や沼地に生息します。
また飛翔能力が高く、7日間で約8km飛んだことが報告されています。
生息地は北海道を除く本州以南で、飛翔能力もあることを考えると日本の幅広い地域に生息していると考えられます。
コガタアカイエカが厄介とされているのは日本脳炎を媒介するためです。
コガタアカイエカは豚や鳥といった家畜の血を好み、その豚などの動物の体内でウイルスが増殖され、その血を吸った蚊が人を吸血することにより感染する中枢神経系の疾患です。
豚舎などの近くに住む人は注意が必要で、コガタアカイエカも日本各地に生息しているため、日本脳炎は予防接種が必要とされています。
トウゴウヤブカ
トウゴウヤブカはヤブカ属で、体長はやや大きく約6mmほどになります。
脚に、6本の白い帯があるのが特徴です。
日本での生息地は、ほぼ日本全域です。
トウゴウヤブカの幼虫は、強い耐塩性があるので、海水の潮溜まりに大発生することもあります。
海で蚊に刺された!?って時は大抵こいつが犯人でしょう。
トウゴウヤブカはフィラリアを媒介し、南九州、四国で流行したことがあります。
まとめ
以上、それぞれの蚊の特徴を挙げてみました。
蚊について調べてみてもやはり刺されると痒いというイメージが強く、あまり好きになることができませんね。
私たち人間にとって害虫でしかない蚊、見つけたら叩いてつぶしてしまおうとしか考えていませんが、蚊は蚊で生きていくため、そして新たな命を生み出すため吸血するのは必要な行動なのだなとは理解できました。
そうはいってもやはり見つけたらつぶさないと自分たちがつらい目にあってしまいます。
ただ痒いだけではなく、世界ではデング熱やマラリヤなど、蚊が媒介することによって人間が感染してしまう病気がたくさんあります。
そういったことを考えると、できるだけ蚊を増やさないための対策も必要となってきます。
まずは蚊の発生源となる水場を作らないことですね。
水田や噴水などはどうしようもないですが、地域によっては側溝をこまめに掃除しようと対策に乗り出しているところもあります。
より快適な生活のため、また感染症を防ぐため、一人ひとりが蚊から身を守るための対策をしていけば蚊の発生数も自然と減るのではないでしょうか。
蚊についてはこちらの記事もご参考下さい。