猛毒がある危険なカエルと言えば、ヤドクガエルが有名ですね。
とても鮮やな色をしていますが、人間でも命を落とすほどの強力な毒をもっています。
その種の中でも、特に美しい体色をしている、コバルトヤドクガエルというカエルがいます。
今回は、コバルトヤドクガエルの毒性や生態について紹介しましょう。
コバルトヤドクガエルの生態
コバルトヤドクガエルは、ヤドクガエル科ヤドクガエル属に属するカエルです。
南米北東部のスリナム共和国に生息しています。
体長3cm~4cmぐらいの小さなカエルですが、ヤドクガエル科の中では比較的大きい種類です。
オスとメスによる違いはほとんどありませんが、メスの方はやや体が大きめです。
主に森林地帯に住んでおり、その中でも、水辺などの水が多くある場所の地上で生活しています。
カエルですから、湿った場所を好んでいるわけです。
全身がとても鮮やかな青色をしており、頭や胴体に黒い斑点があります。
このカエルは、世界で最も美しいカエルとされており、「青い宝石」と呼ばれることもあります。
その美しさには、思わず見とれてしまうほどです。
コバルトヤドクガエルは猛毒を持っているため、この目立つ色は、周囲に対しての警告になっているのですね。
また、いくら目立つ色をしていると言っても暗くてはあまり効果がないため、活動時間帯は昼間です。
特に朝夕は活発になり、その時間帯は短く飛び跳ねて元気に動き回ります。
群れを作らずに単独で行動し、それぞれが縄張りを持っていることも特徴です。
肉食であり、エサはアリ・ハエ・クモなどです。
昆虫の幼虫を食べることもあります。
コバルトヤドクガエルの天敵はヘビや大型のクモなどです。
特に、ノハラツヤヘビ属のヘビはヤドクカエルの抗体を持っているため最大の天敵と言えるようです。
繁殖と成長
コバルトヤドクガエルの繁殖期は、南米の雨季にあたる2月~3月頃です。
この時期になると、オスを巡ってメス同士が激しく争ったりします。
また、オスとメスが追いかけっこをしたり格闘したりすることもあり、美しい見た目ながらも荒々しい行動が目立ちます。
そうした争いの果てに、メスが前足でオスを撫でるという求愛行動を始めるのです。
その後はいよいよ産卵となり、岩や倒木の下などにある湿った地面に、5個~10個ほどの卵を産みます。
それらが約2週間で孵化してオタマジャクシになりますが、それまでの保護や湿度の管理をするのは、基本的にオスの役割になります。
メスも稀に同じような行為がみられるようです。
孵化したあとは、オスがオタマジャクシを背に乗せて、水があるところまで運ぶという特徴があります。
危険なカエルとはいえ、この点は微笑ましく感じます。
オタマジャクシは約12週間で生体になり、2年~3年かけて成熟します。
コバルトヤドクガエルの寿命は、野生なら5年ほど、飼育下なら10年ほどです。
飼育は世界中で行われており、繁殖方法も確立されてきているようです。
しかし、自然化においては環境破壊などで生息域がかなり狭まっているという問題はあります。
ヤドクカエル科の中には、絶滅危惧種に指定されている種もいます。
そのため、保護するたの努力も行われています。
コバルトヤドクガエルの毒性
コバルトヤドクガエルは、その鮮やかなコバルトブルーの背中から、強力なアルカロイド系の神経毒を分泌させます。
種により毒の強さや成分は異なりますが、ヤドクガエル属のカエルの毒には、バトラコトキシン、ヒストリオニコトキシン、プミリオトキシン、と3種類あります。
特に、バトラコトキシンはわずか0.01mgで人を死亡させるほど強力な毒なのです。
これは人間にとっても非常に危険なので、きれいな色に惹かれたからといって、うかつに触ってはいけません。
1匹で10人の命を奪うほどの恐ろしい猛毒ですから、触れただけでも危険性はあります。
人間には「きれいなバラには棘がある」という言葉がありますが、
これはカエルに対しても当てはまる言葉なんですね。
しかし、この猛毒がヒトにとって危険な面ばかりだというわけではありません。
ヤドクガエルの毒が医薬品になる可能性があるようで、医療業界での研究が現在も進められているそうです。
無毒なコバルトヤドクガエル?
コバルトヤドクガエルを始めとするヤドクガエルの毒は、エサであるアリやハエから生成され、体内に蓄積されています。
したがって、毒を作るエサさえなければ、無害なただの美しいカエルになるということです。
このため、エサの管理をした無毒の飼育用のコバルトヤドクガエルも売られているのです。
なにしろ宝石のような美しさですから、毒さえなければぜひ飼育してみたいという人は多く、ペットとしても高い人気があります。
コバルトヤドクガエルは、ヤドクガエルの中では比較的飼育しやすいということも人気の理由のようです。
ちなみに、お値段は2万円ほどだそうです。
飼育するときのエサは、主にショウジョウバエかコオロギになります。
これによって毒の生成を防ぐことができるのです。
しかし、いくら無害とわかっていても、初めて触るときには少し緊張しまいそうですよね。
まとめ
コバルトヤドクガエルは、南米北東部の森林に生息するカエルです。
鮮やかな青色が美しいカエルですが、自然化の個体には毒があります。
飼育用に販売されているものならば無害ですから、世界一の美しさを自宅で観賞することができますね。
しかし、それ以外の野生のものは大変危険です。
カエルに限ったことではありませんが、あまり鮮やかな色や毒々しい色があるものは、不用意に手を出さないようにしましょう。
命に関わる危険もあるわけですから、十分な注意が必要です。