北海道に大自然を見に行きたい、そう考える方も多いと思います。
でも北海道には本州にはいない巨大なクマ「ヒグマ」が生息しているんです。
北海道でも、何度かヒグマによる死亡事件も起きています。
今回はそんな、ヒグマの生態と対策、出会ったときの対処法について紹介します。
目次
ヒグマってどんな動物?
学名 | Ursus arctos |
英名 | Brown bear |
分類 | ネコ目(食肉目)クマ科クマ属 |
分布・生息域 | 北海道、ユーラシア大陸、北アメリカ大陸 |
大きさ | 体長150~300cm 体重100~500kg |
ヒグマは、ヨーロッパからアジアにかけてのユーラシア大陸と北アメリカ大陸に生息しています。
日本では、北海道に「エゾヒグマ」という種類のヒグマが生息しています。
このヒグマは、日本では北海道にしか生息していません。
ヒグマは日本国内で最も大きい陸上動物になります。
なんとオスは最大で3mの大きさまで成長し、体重は最大で500kgにもなります。
メスはオスに比べて、全体的にもうひとまわり小さくなります。
日本に生息している陸上の哺乳類の中で、ヒグマはダントツの大きさを誇ります。
本州にいるクマとは違うの?
本州にいるクマは「ツキノワグマ」という種類で、北海道にいる「エゾヒグマ」ほど大きく成長することはありません。
ツキノワグマは最大でも180cm、150kgに成長するとされていて、クマの中では比較的小柄な方です。
ツキノワグマのおよそ9割には、胸の部分に、白い毛でできた月のようなマークがあります。
ヒグマもツキノワグマも同じ雑食性なので、何でも食べますが、ツキノワグマの方が植物をメインに食べています。
もちろん、出会ったときの危険性は同じなので、ヒグマのいる北海道より、本州の方が安心というわけではありません。
ヒグマは危険?
ヒグマは雑食です。
イメージ通り川で鮭を獲って食べることもあれば、木の実も食べます。
哺乳類や鳥類、同じヒグマの小熊を食べることさえあります。
意外にも、アリが好物だそうです。
つまり、何でも食べてしまうのです。
もちろん人間も、過去には食べられた記録が多々残っています。
1度でも人を食べたヒグマは、味を覚えてまた人間を襲う傾向があり、きわめて危険だといわれています。
ヒグマの大きさから考えると、出会って攻撃されれば、戦っても人間に勝ち目はありません。
また時速約50kmの速さで走れるので、車でない限り、人間の足で走って逃げることもできません。
被害に会いたくないのなら、ヒグマには出会わないようにするしかありません。
ヒグマが冬眠している時期は?
エゾヒグマは、晩秋から初冬にかけて冬眠します。
この冬眠中に、メスは巣穴の中で出産します。
小熊が1-2歳になるまでは、母熊と一緒に行動しているので、もしも春先に小熊を見かけたら、必ず母熊もいるので、早く逃げましょう。
ヒグマ対策。出会わないために気をつけることは?
ヒグマと遭遇してしまったら、人間に勝ち目はありません。
そのために、普段から出会わない努力が必要です。
もしも、どうしてもヒグマの生息地である山に入らなければいけない場合は、
・荷物に大きな鈴をつけていく
・移動中は木を棒で叩いて音を鳴らしたり、笛を吹いたりする
といったように、音を出すことでこちらの存在を知らせ、ヒグマとばったり出会うことを防ぐようにしましょう。
よくラジオを流しながら、と聞きますが、ラジオのようにずっと音が鳴っている物は、自分が周りの物音に気づけなくなる可能性もあるので危険です。
ちなみに、ヒグマは動物の中でも火を恐れないと言われています。
焚き火をしていれば、ヒグマがやってこないとは言い切れないので、油断してはいけません。
また、ヒグマの足跡やフンといった痕跡を見つけることができれば、ヒグマとの遭遇を避けやすくなります。
足跡やフンの見分け方については、コチラのサイトを参考にしてみて下さい。
もしもヒグマに遭遇してしまったら?
【パニックにならない、死んだふりは厳禁】
もしもヒグマに遭遇してしまったら、慌てないこと落ち着くことです。
ちなみに、死んだふりは絶対に止めましょう。
もともとヒグマは、生きた肉より、死んだ肉を好んで食べる傾向があるので、死んだふりをしても見逃してくれません。
【走って逃げない】
また、ヒグマに背中を向けて逃げるのもよくありません。
逃げる動物を追いかける習性がある上に、人間よりも早く走るので、あっという間に追いつかれてしまいます。
【ゆっくり後ずさり】
もしも近距離で目が合ったなら、決して目を逸らさずにゆっくりと後退してください。
足元とかを見たりせず、すり足で地面を確かめながら後退するくらいのつもりで
【クマ対策スプレー、武器の準備】
ゆっくり後ずさりしながら、クマ対策スプレーを持っている際はいつでも噴射できるように準備しましょう。
スプレーを持っていないときは、長い棒などリーチのあるもの、それもないときは石を探しましょう。
しかし、まだ距離があるうちから石を投げたりすると、ヒグマを挑発してしまう可能性もあるので、あくまで準備するだけにしましょう。
【持ち物で興味を引く】
おすすめなのは、何かしら食べ物の入った荷物をヒグマのそばに投げる方法です。
荷物に気をとられている隙を見て、ヒグマから視線を外さずに後ずさりをするのです。
しかし、どんな大切な荷物が入っていたとしても、1度ヒグマが触った荷物を回収しようとしてはいけません。
ヒグマは異常に執着心が強い動物なので、1度自分が触った獲物は、自分が死ぬまで追いかけます。
1970年に福岡大学の大学生が3名、ヒグマに襲われ亡くなった事件がありました。
その事件の発端も、1度ヒグマがあさった荷物を、取り返したこととされています。
人間が絶対に勝てない相手なので、命が惜しかったら荷物は諦めましょう。
ヒグマに襲われた!?
ヒグマに襲われたら…人間に勝ち目はありません。
倒すことなど不可能です。
しかし、こちらの反撃に驚いて退散してくれる可能性はあります。
まず、至近距離(3~4m)まで迫られた場合、クマ撃退スプレーがあれば、クマの目と鼻を狙って一気に全量を噴射しましょう。
クマによる事故を分析された、カナダのカルガリー大学のヘレロ博士の調査結果では、クマスプレーはクマの攻撃的な行動を90%以上の確率で停止させることができるそうです。
しかし、スプレーが効かない、持ってない時は、ダメ元で唯一の急所と言われる鼻先を攻撃することをオススメします。
手に石や腕時計、スマートフォンなど、何か硬い物を持ち、ヒグマの鼻先にぶつけます。
大切なのは、あきらめずに死にものぐるいで抵抗反撃することです。
もし、ヒグマがひるんだら、その隙に後ずさりをしながら逃げ出しましょう。
まとめ
ヒグマは北海道に生息する大型のクマです。
雑食なので、人も含めてなんでも食べます。
もし出会ってしまったら、慌てずにゆっくり後ずさりしながわ逃げましょう。
走って逃げたり、死んだふりは厳禁です。
最近は、クマが人里に降りてくることが増えたので、山に行かなくてもクマに遭遇する機会が増えてきました。
特に恐ろしいヒグマには遭遇しないためにも、北海道の山間部に観光に行くのなら、必ず荷物には鈴を付けていくことをオススメします。
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