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致死率100%!?芽殖孤虫の症状や感染経路、治療と予防について

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世の中には謎の多い生物がたくさん存在します。

その中に、芽殖孤虫という寄生虫がいます。

恐らく初めて聞くという方も多いでしょう。

もし人間が芽殖孤虫に寄生された場合、その致死率は100%と言われています。

寄生されたら100%死ぬなんて、何とも恐ろしい話ですね。

いったい芽殖孤虫とはどんな生物なのか。

今回は、芽殖孤虫の症状や感染経路、治療と予防についてご説明したいと思います。

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芽殖孤虫(がしょくこちゅう)とは

芽殖孤虫とは、条虫綱擬葉目裂頭条虫科に属する寄生虫の幼虫のことで、日本では1904年に初めて発見されました。

なぜ幼虫なのかと言うと、成虫になった姿をいまだ誰も発見していないからです。

寄生虫は、宿主となる生物に寄生して成長し最終的に成虫になります。

成虫になった姿を確認できないということは、つまり最終宿主となる動物もいまだ分かっていないということです。

このように、何の幼虫なのか分からない虫のことを“孤虫”と呼びます。

 

芽殖孤虫は数ミリ~1センチ程度と肉眼で確認できる大きさで、その形は不定形ですが、ワサビの根のようにシワシワな状態のものが多いです。

 

当然その生活史も不明な点が多く非常に謎の多い寄生虫ですが、人間に寄生し体内で増殖を繰り返して、最終的に人間を死に至らしめる危険な虫ということは分かっています。

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芽殖孤虫に寄生された場合の症状

それでは、芽殖孤虫に寄生された場合の症状についてみていきましょう。

 

人間が芽殖孤虫に寄生されると、幼虫移行症を引き起こします。

幼虫移行症とは、人間が宿主として適さない場合に幼虫のまま体内を動き回ることによって起きる症状のことを言います。

 

寄生されてすぐに症状が出るわけではないので、芽殖孤虫が人間の体内に侵入した当初はおそらく気づかないことが多いでしょう。

しかし、芽殖孤虫は体内に入ると急速に分裂して増殖し、さまざまな臓器を侵していきます。

体に異変を感じる頃にはすでに手遅れということも珍しくはないのです。

 

幼虫移行症の症状としては、

・嘔吐や下痢、掻痒感、結節、腹痛、頭痛、呼吸困難、言語障害、脳障害

などが挙げられます。

人によって症状は異なり、数年から十数年にかけて慢性的な症状が続き、最終的にはあらゆる組織器官に虫体が蔓延し死に至ります。

 

世界で芽殖孤虫に寄生されたという報告例は18件で、日本では8件報告されています。

8件というのは、世界的に見て最も多い件数なのです。

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治療法は?

芽殖孤虫に感染していることが分かっても、現時点でその治療法は確立されておらず、外科的手術によって幼虫を摘出するしかありません。

 

しかし、芽殖孤虫は単体での生殖が可能なため、1匹でも取り損ねると再び体内で分裂を繰り返すため完治は難しいと言われています。

その分裂スピードは非常に早く骨や脳までにも入り込んでしまうため、再びメスを入れたとしても完全に取り除くことはほぼ不可能と言って良いでしょう。

それが致死率100%と言われる所以です。

 

日本で起きた8例についても、半分以上の方の死亡が確認されています。

手術をして退院したという人も数人いますが、その方々がその後どうなったかについては不明です。

致死率100%と言われ続けるくらいなので、おそらく芽殖孤虫が原因で亡くなってしまったのかもしれません。

 

しかし、摘出手術を受けた後再発していない例もあるので、早期に摘出すれば助かる可能性や、分裂増殖しないタイプの芽殖孤虫もいる可能性があるようです。

 

とにかく一度寄生されたら最後。

厄介な病気にかからないためには、芽殖孤虫に寄生されないように気をつけるしかないのです。

 

感染経路は?

では一体、芽殖孤虫にはどのような状況下で寄生されてしまうのでしょう。

実は、芽殖孤虫の感染経路はいまだ正確には解明できていません。

宿主がはっきりしていないため、何が原因で体内に侵入してくるのか分からないのです。

 

ただ、過去の報告例を見ると、感染者の中には加熱処理が十分にされていないカエルやヘビの肉を食べたという人が多く、両生類の生肉が原因なのではないかと推測されています。

 

遺伝子的に近縁とされるマンソン裂頭条虫の場合は、ヘビやカエルを食すことや幼虫に寄生されたミジンコを含む水を飲むことで感染します。

それを考えると、芽殖孤虫の場合もミジンコを宿主とし、幼虫に寄生されたミジンコを摂取することによって感染することも考えられます。

ミジンコを含む水というと湧水や井戸水なども危険だと言われています。

実際に、日本での感染者の中に井戸水を飲んでいたという方がいるため、ミジンコによる感染の可能性も高いと言えるでしょう。

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寄生されないためには?

日本で芽殖孤虫に寄生される人が多い理由はいまだ分かっていません。

しかし、カエルやヘビが芽殖孤虫の宿主というならば、カエルの多い日本で感染者が多いのは頷けます。

いずれにしても、芽殖孤虫に寄生されないためにはカエルやヘビといった両生類の肉を生では食べないことが大事です。

もし食す場合には、十分に加熱されていることを確認してください。

両生類に限らず、食べられるか分からない動物の肉には手を出さないほうが安全でしょう。

 

また、ミジンコによる感染の可能性も高いことから、生水を決して飲まないようにしましょう。

湧水や井戸水を使用する場合には、必ず煮沸してから口にするように心がけてください。

特に、海外に行く際には注意が必要です。

海外では決して生水は口にせず、市販のミネラルウォーターを飲むように気をつけましょう。

 

まとめ

芽殖孤虫は、寄生虫の幼虫のことです。

芽殖孤虫に寄生されると、芽殖孤虫が人間の体内で分裂増殖を繰り返し幼虫移行症を起こして、その致死率は100%だとも言われています。

現在でもはっきりとした感染経路は分かっていませんが、カエルやヘビの肉、ミジンコがいる生水、が寄生される原因ではないかと言われています。

まだまだ謎の多い芽殖孤虫。

知らないうちに寄生されていたでは済まされません。

芽殖孤虫に対する知識をつけて、日頃からできる限りの予防に努めることが大切です。

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